データ・インカム

ー「最近、好きなことができるようになったんだ。データ・インカムって知ってる?」
「なにそれ?」
ー「勝手に収入が入ってくるんだよ。」
私はBGM代わりにラジオをつけた。

「そんな、良いことあるの?」
ー「うん。条件付きで。」
「勝手にじゃないじゃん。やばい条件じゃないの?」
ー「ぜんぜん。スマホを会社からもらった物に変えるだけだよ。」
『今日から新しいキャスターとなりました、ねまちゃんです!(^^)』
ラジオは言っている。

「なんか他にも、契約の時に言われたことなかったの?」
ー「ああ。[スマホを使ってあなたのデータを収集します。その代わりに端末代無料で、収入もありますよ。もちろん、もらったデータはあなたの情報だと分からないようにしてます。会社の人でさえ、分からないです。]なんて言ってたかなあ。ここのマンゴージュースうまい!」
『オフには、友人とカフェでグチりますね。最近、仕事で困ってる友人が多いんですよ。自分もだから、語ろーって。』

「いくらくらいなの?」
ー「前の会社の7割くらい。少し節約すれば良いから、やめちゃった。今は絵を描くのに集中してる。昨日は絵を買ってくれた人がいて、趣味に落ちそうだったのが、昔みたいに戻りそう。」
『私が好きなものですか。。あっ、マンゴージュースはよく飲みますね。カフェでいつも頼むんですよ。』

「結構良いなあ。でも、情報取られるのって嫌じゃない?」
ー「え?いつもツイートとか、インスタあげとかしてるし、そんなのと変わりないと思うよ。今のところ、危険なことに巻き込まれてないし。まあ、なんかあっても、黒帯持ってる私だから、多少のことは大丈夫でしょ。」
『最近、絵をまた描き始めたんです。仕事に追われてて、あまりできなかったんですけど。どんどん感覚が戻ってきて、買い手も見つかったんですよ。すごくないですか?』

「・・・。本当に大丈夫かな?」
ー「大丈夫だよ。位置を特定されて、AI兵器送られたってぶっ壊してやるからさw それにまさか、私と同じ行動するAIを作るわけでもないしさ。」
『私だって、映画を見て泣きますよ AIじゃないですから。』

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