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描くことと、紙との出会い。 vol.1


1.じゆうちょうからノートへ

幼い頃から絵を描くことがとにかく大好きだった。

幼稚園では一冊に画用紙が30枚ほど束ねられたお絵かき帳を、どれだけたくさんの絵を描き早く使い切られるかが、

私の自分の中での”たたかい”のようだったと記憶している。

そういえば、早く使い切ろうとするがゆえに同じ絵を何度も繰り返し描いてしまったり、一枚の紙に適当なクレヨンの線を殴り書きするだけの無駄遣いをして、先生にやさしく叱られた。

それからだろうか、幼少期の私は丁寧に絵を描くようになった。大好きだった飛行機やトイストーリー、友達の絵ばかりをひたすら描いていた。


小学校に入学してからといっても、休み時間も、校庭に出て遊ぶことも忘れ、教室で絵ばかりを描いていた。


この頃に出会ったのが「自由帳」である。今までは大きなザラザラした画用紙を使っていた自分には大きな衝撃だった事を今でもよく覚えている。


なんといっても自由帳の持ち運びやすさと紙質の新しさには驚いたものだ。従来使っていた画用紙の落書き帳はどうしても色を塗るとガサガサしてしまう。つまり解像度の低い絵になってしまいがちだったのだ。

しかし自由帳の紙には、つるつるした普通紙が用いられているので圧倒的に描き心地がいい。

そして紙が薄めだから、下に敷いたものが若干透ける。

透けることで、当時好きだったクレヨンしんちゃんを上手に描き写すことができたのだった。これは画期的な発見であった。

このなめらかな描きごごちと、若干の透過性を持つ紙との出会いが、私のお絵かきの幅を広げたことは言うまでもない。


そして月日も経てば自分で自由帳を買いに行くと言うフェーズが訪れてくる。小学校三年生の頃だっただろうか、このころの僕は文房具屋が大好きであった。

当時よく通っていたお店は、Loft、今は無き地元の本屋さん、各スーパーマーケットの文房具コーナーなどだった。

自由帳には様々なバリエーションがあることを発見したのがこの頃。

自由帳には大きく2種類ある。糸綴じか、ノリ綴じかである。

糸綴じのノートにはしっかりと綴じられているという安定感があるが、よくノートを破って絵を描いていた自分にはとても不便だったのだ。

ノリ綴じの自由帳は簡単にノートから1枚の紙を切り離せるだけでなく、机に置いた時に描きやすい。どう描きやすいかと言うと、綴じた部分の引っ張りが糸綴じよりも弱いので強く押さえなくても絵を描ける。

畑しかない田舎の小学生だった頃は、糸綴じのジャポニカを頻繁に利用していたため、ノリ綴じとは程遠い生活をしていた。

しかし小学校三年生で、その田舎からつくばと言うド都会に引っ越してきてからは、文房具はどこでも手に入れられるようになった。

それから様々なメーカーの自由帳をお小遣いで買い漁った。その結果当時安定して愛用していたのはコクヨのキャンパスノートの無地である。


表紙に”じゆうちょう”と書かれていないシンプルで垢抜けた感じがカッコよく、小学5年生にして他の同級生との差別化を図ることに成功した。


それから今に至るまで、私は様々なノートに出会ってきた。

このシリーズでは様々なノートの種類や紙、スケッチについてゆるく呟いていこうと思う。






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