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今、何が大切なのか?

数ヶ月前に岐阜県の錫杖岳にクライマー仲間4人で2泊3日のクライミングに行って来た。

錫杖岳は晴れて最高だった。

僕は20歳からクライミングに明け暮れて生きてきた。
季節労働で数ヶ月だけお金を稼ぎ休みの日やそれ以外の時間は山とクライミングに注ぎ込んだ。
車中泊やテントで岩場や山に住み込んで毎日クライミングに出かけた。

山は季節を楽しむもの

夏に飽き足らず冬も山に通った。
スキー、アイスクライミング、沢登り。
気がつけば、できる山の遊びを片っ端から楽しむ様になっていた。

そこから更に山だけだけではなく海でも遊びたい!
と思う様になりサーフィンを始めた。
一つ決めると一直線な僕は夏場だけ四国の海辺の民宿で住み込みのアルバイトをしながらサーフィン漬けの生活を2シーズン送った。

夏のサーフィンは最高だった。

プロサーファーやプロを目指すキッズサーファーに混じって、そんなものを目指す訳でもない僕は自分だけの海を楽しんでいた。

コロナをきっかけに遠くにも行くことが難しくなり、また新しく何かを始めたいという思いがあった。
日本は島国で、どこまでも遠く行くには海を渡らなければならない。
そんな僕にヨットという文字が響いた。
今思えば遠くに行けない状況の中でより遠くに行く事を考えていたのが面白い。
家の近くのヨットクラブに入ってヨットを教えてもらうことにした。

軽い気持ちで始めたけど気がつけば、コロナが終わる頃には国際ヨットレースに行くまでになっていた。

長くなったけど最初の話に戻ろう。
錫杖岳でクライミングを楽しんだ帰路の車を運転している時に、次は小笠原諸島に向けてヨットで1ヶ月の航海に出かけると話してたら、
そんな生活をしている僕の事を最初からずっと知っているクライマー仲間が僕にこんな質問をしたのだ、
「今は山より海なの?
ヨットでどこかに行く事を優先してるの?」

うーん。
少し考えた。

何かを選ぶという事は時として大きな悩みの種になるものだ。
たくさん色々なことに手を出して風呂敷を広げれば、どうしても一つ一つの事が中途半端になってしまう。
高いレベルでクライマーとしての能力を維持しながら他の遊びに全力を向けるのは難しい。
クライマーとしての自分を捨ててまで海に行くのか?
そんな事に少し悩んだ事もあった気がする。

でも僕の選んだ答えはとってもシンプルなものだった。
「はっきり言うと、
山とか海とか、クライミングとかヨットとか、
なーんにも考えてないんです。
ただ一つだけ、
今しかできない事をいつも選んでるだけです。
小笠原にヨットで行くなんでいうチャンスは今後の人生でもなさそうなので行く。
ただそれだけですよ。」
クライマー仲間の質問に自然とそう答えていた。

色々な事をやりたいでも諦めなければいけない事がある。
そんな事は誰にでもあるのではないだろうか?

いつしか僕は諦める事を諦めたのだと思う。
小さい事は考えずにやりたい事をやりたいだけやる。
今しかできない事を選ぶのに
「今しかできないんだから」というそれ以上の理由は何もいらないんじゃないだろうか?

太平洋の日の出を背に

かくして僕はまたしても小笠原諸島に向けて太平洋のど真ん中を漂うという、僕の人生において2度とあるかわからない貴重な体験を味わってきたのだった。

持論になるけど、
人生は選んだ様になっていくもんだと思っている。
それぞれがそれぞれの思う様に明日を選んでいるのだと思う。

きっと僕は僕が見たい明日を今日も選ぶだろう。

#自分で選んでよかったこと

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