旅行記4 タイ

全く楽しめなかったマレーシアを離れ、タイのバンコクへと到着。タイには5年前にも旅をしたことがあり、タイで再び旅ができることを楽しみにしていた。5年前は香港から中国ベトナムへと渡り、東南アジアを周遊したのちバンコクが最後の都市となった。
若かったあの頃から、再び同じ地に降り立ち、何を感じるか。
バックパッカーの聖地とも言われるカオサンの近くに宿をとった。
午後10時、宿へ向かっていると感じる青臭い匂い。5年前には感じられなかった大麻の匂いがそこかしこから感じられた。
タイは大麻合法化に舵を切り、世界中から旅人が集まるカオサンには至る所にディスペンサリーが出来ていた。旅の始まりから出鼻をくじき、気持ち的に落ち込んでいた自分にとって、何年も感じていなかった大麻の香りは突き抜けるように新鮮だった。旅は始まったばかりだと思い直させるには十分だった。一本のジョイントを手に、宿に着く。
陰鬱としたムードを吹き飛ばすべく、火をつけた。

1人で旅をするというのは寂しい物である。


バンコクに4日間ほど滞在すると、気持ちは徐々に市内から離れ、どこかへいきたくなった。来週にはいくつかのワクチンを接種する予定があり、バンコクの赤十字に行かなくては行けないが、その間バックパッカーらしく別の場所に行き何か見てまわりたい。思えばクアラルンプールから始まり、都会にしかいないのだ。今後のいく先は特に決めていないが、タイを北上し、古都スコータイへ行ってみようと思いたつ。

タイ王国始まりの地として知られるスコータイは、まごう事なき田舎だった。

夕焼けに赤い未舗装道路が輝く。東南アジアの田舎といえばこの風景だ。

はてしなく広がる空、心地よい風。
スコータイ歴史公園には、タイ王朝初期の廃寺がいくつも残されている。
実際のところ自分は寺や廃寺にはあまり興味がない。東南アジアを旅をしているといくつもの寺を見ることになるが、徐々に違いが分からなくなってくるものだ。
スコータイの廃寺群も、いわゆる東南アジアお馴染みの廃寺だった。それよりもバイクで走りつつ垣間見える地元の暮らしが興味深かった。
こんな田舎にも学校はあり、学生たちが楽しそうに帰宅している。青春は田舎にある。

宿に帰ると、部屋にいたイギリス人のバックパッカーに話しかけられる。一緒にマリファナをやろう、と。もちろんSureと言い放ち。宿の屋上でジョイントを回し始める。少しおしゃべりをしたが、私はすぐに回ってしまい、お互いに無言になってしまった。
遠くから夕日の差し込む絶景を胸に、ただ気持ちのいい風を体に受けていた。

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