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なぜ動画編集者は安く買い叩かれるのか?(背景を知っておきましょ)

動画編集の界隈で叫ばれている「低単価問題」。

実際にクラウドワークスで見てみると、1本500円の案件だったり、「実績を作れるから無料やってください!」というのまである。

こうした現状をお伝えするべく、今回はなぜ低単価問題が出てきたのか。

この”背景”を深堀りしていきます。

本記事は、特に低単価に苦しんでいる方への処方箋(しょほうせん)になります。

どうしてそうなったのか?という背景を理解することで、単価を上げるにはどうすればいいか、という「次の行動」が見えてくるからです。

例えば、体の調子が悪い時は病院に行きますよね。そこで、医師にどこが悪いかを診断してもらい(病気の背景を知る)→薬を飲む(次の行動)。

このように、背景を理解することで始めて次のステップに踏めるものは、日常生活でもあふれています。

「なぜ低単価の案件がなくならないのか」

「なぜ時給”数百円”にも満たない案件を、請け負う人が続出するのか」


これらを理解することで、今の自分の状況と比較し、単価を上げていく道がうっすらと見えてきます。

本記事は、今まさに低単価で苦しんでいる人に向けて書きました。が、すでに先に進んでいる方にも参考になる内容だと思います。サクッとご一読ください。

そして1つ注意点。最初にはっきりお伝えしておきますが、この記事に特定の個人やグループを批判するような意図は一切ありません。

低単価問題に対して、もはや「賛成」か「反対」かを述べる段階にはないと思っています。すでに根は地中の奥深くまで張り付いている。

「低単価問題が存在する」というこの状況を理解し、受け入れた上で、どう立ち回るべきか。


本記事はここに焦点を当てていきます。

ニュースで解説するかのごとく、できる限り中立の立場から書きました。
一意見としてお楽しみください。

ではいきます。


2020年はそこまで表面化していなかった

僕が動画編集をかじり始めた2020年の段階では、「低単価クソくらえ!」と今ほど騒がれていなかったと記憶している。

動画編集についてYouTubeで発信しているインフルエンサーも少なかったし、Premiere Proの解説動画なんかも今ほど多くなかった。

クラウドワークス等でも案件募集はあったけど、そもそも数が少なかったし、応募している人を見た感じプロっぽい人が多く、一般人が副業として応募しまくっているという印象は一切なかった。

このような中、動画編集ブームが始まった1つの大きな理由として「YouTubeに参入する個人・法人」が激増したことが挙げられる。

もちろん2020年の段階でもYouTubeチャンネルを作る人は多かったけど、さらに拍車をかけて広まっていった印象。

俗に言う「YouTuber」として成功を収めた一般人が

「ちょっと忙しくなってきて、自分たちでは編集する時間がなくなった。誰かに頼むか〜」


と編集者を雇う。それでも足りず、編集者を数人雇う「編集チーム」を作る。

このような、従来からある動きが「加速」することによって、「動画編集の需要」が上がっていったと認識している。

編集に興味がある人が増えると、編集ソフトの解説動画を出して登録者を伸ばそうとする人が増える。

解説動画が大量に登場したことで、動画編集「未経験」の人でも気軽に学べるようになる。

このような流れで、初心者でも基礎編集スキルを無料で学べる段階に入り、これが編集者の人数を爆発させた1つの大きな要因だと思う。

そしてもう一点。「あれ、動画編集もしかして稼げる?」と気づき始めた人が動画編集ビジネスを始めたこと。これが需要を爆発させたもう1つの要因だと推測する。

有名なビジネス系インフルエンサー等、影響力のある人々が「稼げる動画編集!」というスローガンを掲げたことにより、もともと副業に興味があった層や、「副業全然興味なかったけどお金は稼ぎたい!」という層をごっそり持っていった。

そして、スクールやコンサルが次々とでき、動画編集を副業、しいては本業にする人が出てくる。ざっとこのような流れで、動画編集者が爆増したと考えている。


起こるべくして起きた「低単価競争」

そんな中、徐々に浮き彫りになってきたのが「低単価問題」。

いわゆる「動画編集で小銭稼ぎをしたい層」が巨大になり、ライバルに勝つために「安く編集します!」「無料でやります!」と申し出る人が続出。

この流れが編集者を雇いたい人にも伝わり、

「なんか安く編集してくれるらしいぞ。お金かけなくて済むんだったら、安い方に頼むか!」


と、「単価の相場」を下げてしまった。こんな感じの流れだと思う。

前述してきたことを全て踏まえると、

「意識の低い動画編集者が増えたから単価が下がった」

「スクールやコンサルが低単価問題の元凶だ」


というよりは、YouTubeの案件から始まる「動画編集への巨大な需要」が、低単価を生んだ「根っこ」だと予想している。

動画編集をやろうと思ったきっかけが違えど、動画編集者が激増。

初心者〜中級者レベルの編集者が増えすぎた結果、案件の奪い合いが生じ、その対抗策として「自分は安くてもやります!」という人が続出した。

これが低単価でも請け負う人が出てきた経緯だと感じる。これはある種の「価格競争」と言い換えられる。

んで、この価格競争って、動画編集だけでなく色々な業界で起きているんですよね。

例えば牛丼

下記の記事を参考にすると、お馴染みの大手チェーン店が過去に激しい価格競争を繰り広げていたことが分かる。

もちろんジャンルが違いすぎるので、単純に比較はできない。

だけど、「安ければ安いほどいい」という価格競争は、どこでも起きうることなのが理解できます。

■牛丼値下げ合戦、過熱のワケ-日本経済新聞(2010/4/15)


このようにビジネスの世界で起きていることが、動画編集界隈でも起きている、ということ。

ここに加え『ビジネスを知らない素人が単価を設定する+安ければ安いほどいい』という日本人特有の潜在意識が相まって、低単価で請け負うことをためらわなくなる。

これが良いとか悪いとかではなくて、この意識が余計に問題をこじらせている。ここが背景としてあるのを実感している。


低単価問題は、「もはや個人の力ではどうにもならない」

しかし編集者の立場に立つと、事はそう単純じゃない。

低単価に不満を覚えているが、自分の力では「どうにもならない」と諦めている

できるものなら上げたいが、具体的な上げ方が分からず、仕方なく現状維持で頑張っている。目をつむっている。


このような編集者が多いのが現実ではないだろうか。

もちろん、1人ずつ意識を変えていけば、低単価問題はいずれ無くなっていくと思う。

だがそれは、例えば「世界各国が、一国ずつ武器を捨てていけば平和は実現される」という主張と本質は同じである。

確かに理屈上ではそうなることは分かっていても、じゃあ本当に武器を捨てるのかといえば、捨てない。「いや、それで武器を捨てた瞬間に、他国に付け入れられて侵略されたらどうしよう…しかも自分の国が武器を捨てたからといって、他の国も同じようにしてくれるとは限らない。信用できない。武器は捨てずに持っとこ」となるので、我先にやる人は出てこない。

動画編集も同様。

そこら辺に出回っているYouTube案件の世界だと、「自分は低単価いやなので、高単価しか受け付けません」と主張しても、「じゃあもっと安く請け負ってくれる別の編集者さんに頼みます」と言われておしまいだと思ってしまう。だからこそ、高単価の案件が欲しくとも手に入れることができない。

こう振り返ると、やはり「個人として」この問題は手をつけられないところまで来ていることが分かる。(ただし、例えば業界のトップが方針を大転換し、他もそれについてくる事態になれば、問題を解消できる可能性はある)

このような背景から、「低単価問題を解消しようとする大きな動き」が個人のレベルでも出てこないのだろう。

しかし、これは編集者としての「破滅(はめつ)」を意味する。


終わりに:『破滅』を避けるには

あえて「破滅」という強い言葉を使った。が、これは決して誇張にはならないと思っている。

例えば、毎日毎日、寝る時間を削って編集しているのに単価が上がらない。


このような場合は、最終的に「ジリ貧」になっていく。最初は新鮮味があって頑張れるけど、徐々に不満が出てきてやる気を失う。

だけど当人たちは、本当に一生懸命やっているだけ。必死に編集してるだけ。僕も低単価の時があったので、痛いほど分かる。

でも最終的にこうなってしまう方々を今まで何人も見てきた。

せっかく「動画編集頑張ろう!」とスキルを学び、案件を獲得する段階まで登ってきたのに諦めてしまう人々を。

したがって、単価を上げるための工夫が必要になってくる。

企業が自分の商品をブランド化し、値段を上げてお客さんに買ってもらうように(例えば、スターバックスが「空間」を一つのブランドとして確立しているように)、自らを「編集者」という”商品”として差別化し、ディレクター・クライアントに売り込む。もしくは闘う土俵を変える。これをやらないと、「破滅」という沼にどんどん沈んでいってしまう。

こうした状況を考えたとき、例えば営業資料作って、映像会社やクライアントに直談判する、MEO業界などまだそこまで副業勢が参入していない領域で営業を仕掛けるなど、そもそもの土俵を変える対応策がある。

しかし、それでもTwitter応募やクラウドソーシングサイトで闘っていくなら、この問題を受け入れて「単価を上げる」工夫をしていくしかない。

『応募が多い案件で、自分が選ばれるためにはどうすればいいか』

『低単価競争の中で、単価を上げていくために必要なことは何か』

これらを自分なりに考え、1つずつ実行してみてください。

辛い現状は、変えようと努力しない限り、一生変わりません。

せっかく始めた動画編集から脱線しないためにも、普段から情報収集したりしながら、先の道を作ることから始めてみてください。
陰ながら応援しております。

追伸

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そこら辺で見るありきたりな情報ではなく、実体験に即した”具体的”な内容を書いています。動画編集で結果を出していきたい方は参考にしてください。では。



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