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留学生のアメリカ就活事情(前半)

当初の想定では、1月に就活を始めれば、3月末には仕事が決まるかなと思っていた。現実は甘くなく、5月中旬時点でアプライした数は凡そ90件、インタビューまでたどり着いたのは2件、その他は、お断り/音沙汰なしである。OPTの開始日が7月1日なので、9月末までに仕事が見つからなければアメリカを出国しなければならない。残り数か月間、資金が底をつくか、メンタルは大丈夫か、仕事が見つかる可能性はそもそもあるのか、人生における優先順位は、など、日々見極める必要あり

  • 2024年、アメリカのジョブマーケットが非常に悪い

    • ホワイトカラーが数年前から定期的に解雇されているので、そもそも仕事を見つけようとしているタレントプールが大きい。従って、一つの募集に殺到する人数が半端なく多い

      • 新しく空いたポジションも、数日で約200‐300件の申込みが入るらしい(テック大手)。基本的にインターナルで決まる

      • 一年以上無職で就活している、一年間で300件以上ポジションに申し込んだという求職者もざらにいる

    • https://www.cbsnews.com/news/layoffs-economy-2024-why-are-job-cuts-happening/

    • https://www.cnbc.com/2024/03/15/laid-off-techies-struggle-to-find-jobs-with-cuts-at-highest-since-2001.html

    • https://www.businessinsider.com/job-market-high-pay-employees-labor-economy-finding-work-2024-4

    • MIT(スローン)やハーバードビジネススクールのMBAの生徒とも少し話したが、今年のバッチは仕事が見つかった人が通年と比べて低いらしく、生徒もキャリアセンターもかなり焦っている様子

    • 5月に、MITの授業でゲストスピーカーを呼んだパネルディスカッションが催された際、Googleでサステナビリティチームを率いる方が、何に取り組んでいるか簡単に説明した後、「これは先週までの話で、私もチームも全員首になりました」と締めくくった

    • その数日後、テスラでサステナビリティに取り組んでいる卒業生と話した際、「先週、2人にオファーを出す予定だったが、急遽ハイヤリングがストップされた。私も、チームも、来週まだテスラにいられるかわからない」と言っていた

  • 非アメリカ人の学生は、「ビザ」という大きな壁がある

    • OPT/STEM OPTいずれも留学中に勉強した内容と関係あるものでないとNG。従って、特にポリシーの学校だと、企業のポジションよりも、研究員のほうがフィットする

    • 前述のとおり、どちらも、学問の延長である位置づけ=インターンの色味が強いので、経験年数が多いミッドキャリアなどはより仕事が見つけづらいようだ

    • STEM OPTだと、企業が「トレーニングプラン」を個人のために作成し、研修員も別途用意しなくてはならない。その他、政府に提出するペーパーワークも多々あるので、正直、企業にとってはコストである

    • 仮に、企業が学生をOPT/STEMで3年間雇ったとしても、以降、その学生を就労ビザでキープできるかは、就労ビザの抽選システムに運がかかっている。抽選に落ちれば、その3年間の投資は無駄になるので、企業にとってはリスクである
      https://www.indeed.com/hire/c/info/stem-opt

    • 更に、トランプが再当選した際、移民への風当りが強くなるのでは、と懸念されているのも、非アメリカ人の雇用を躊躇っている理由であるとも言われている

    • アプリケーションの段階で、「現在もしくは将来的にビザスポンサーが必要ですか?」という質問があれば、もう終わりと思っていい

STEM OPTを特定している

多くの会社(特にコンサル)は、基本的にはスポンサーをしないと明言している

例外を除き、スポンサーをしないと記載


OPT/STEMの場合はインターンやCo-opなら雇用可能と記載
  • 学校のキャリアページにある募集件数も、「ビザあり」で絞ると、結果が116件から14件と、1割に減る。なお、無給インターンを含む結果なので、実際は数件しかない

  • 他校のサステナビリティ関連のキャリアサイトでも、F-1ビザで絞ると結果が61件から9件と、1割強に減る

  • 私は1~4月の間で80件応募したが、半分は連絡が来ず残り半分はお祈りされた。1件だけ最終面接まで通ったが、数日後に断られた

  • 私のプログラム(MCMPA)の卒業生や在学生の大半は、自国および前の会社に戻る、もしくは大学で研究員として残る。5月時点では、アメリカの会社からオファーをもらった非アメリカ人の話は聞いていない

  • 友人で最終面接までいった人たちも、理由も教えられず、もしくはビザのことを話したあとに結局落とされている

  • アメリカでの就活は、ネットワーキングがすべてと言われている。しかも、オンラインではなく、きちんと顔を合わせたネットワーキング。コーヒー代が嵩む

  • リファーラルは最低限必要だが、それよりもハイヤリングマネジャーを知っているか、につきる。結局キャリアサイト等ではたくさん雇用機会があるように見えるけれども、①内部で既に決まっている、②オファー受諾待ち、のいずれかであることがほとんど。あとは、ポジションはないけれど、中のパワーがある人に「私はこれができます」とアピールすることで、新規にポジションを作ってもらう、なども良く聞く話。いずれにしても、無視され続けてもコールドコール・メールをする行動力と負けない精神、粘り強さ、ネットワークの広さが非常に重要

  • アメリカでは、受けるポジションに合わせてレジュメを調整すること、そしてカバーレターを書くことがほぼ必須であるため、一つのポジションに書類を提出するのに、2‐3時間は要すると思った方が良い。なお、レジュメ・カバーレターいずれもJDに記載されている用語をそのまま使うことが推奨される。AIを使ってスクリーニングされるらしい。例えば、「Senior Managementへのプレゼン」と記載されていたら、「Senior Executive」ではなく、「Senior Management」と書かないとスクリーニングにひっかからないというのだ

  • 「アメリカではなく、他のマーケットも見てみたら(欧州、中東など)?」と良く聞かれるが、これらも基本的に就労ビザを保有していることが前提なので、レジュメが通らない。コロナ前はここまで厳しくなかったように記憶しているので、世界は変わってきている・・・

シンガポールのポジション。スポンサー不要の人が優先されるとJDに記載されている。アプリケーションフォームにもスポンサーが必要か質問が用意されている
Citizenshipステータスが選択式になっており、対象外の人は申し込めない仕組み

国際機関(UN、WB等)も、もちろんネットワークが非常に重要なのだが、さらにインタビュープロセスが非常に長いので、卒業間際ではなく、最低でも半年前には動き出したほうが良さそうだ


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