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「ドライブの精神」

「ドライブ」

これは早稲田大学ア式蹴球部のチームスローガンである。
昨年度から採用し、今年度も継続して掲げている。

語源はラグビー。
タックルして少しでも前に進める、という意味らしい。
ざっくり言うと、「ドライブ」=「前進」。


「いきなりどうした?」と思ったかもしれませんが、とある会話がきっかけです。

10/20に行われた関東リーグ第17節・立正大学戦の試合前、外池監督から「今のチーム状況をどう見てる?」と聞かれました。
突然聞かれたもので、その時はチグハグな回答に終始してしまいました。
ただ、その後に自分の考えを整理することができたので、自分自身の想いを発信したいと思います。



「ドライブ」

これは早稲田大学ア式蹴球部のチームスローガンである。

去年のチームは「ドライブ」を口癖のように使っていた。練習中も、試合中も。なんなら、外池さんが試合中にテクニカルエリアから発するワードのほとんどが「ドライブ〜」か「謙虚に〜」だったくらい。
ただ、今年に入ってからというもの、チームから「ドライブ」というワードをほとんど聞かなくなってしまった。スローガンに掲げたはずなのに。去年から継続しているはずなのに。

去年のチームには「ドライブ」の体現者がいた。
相馬勇紀くん。
彼はチームのムードメーカーで、グラウンドに彼が来た瞬間、グラウンドの雰囲気がパッと明るくなる。
練習に入ると、いつも大きな声を出してチームを鼓舞する。
誰かのプレーがパッとしなければ、「ドライブ、ドライブ!!」といつも言っていた。
そして何より、ひとたびボールを持てば、ドリブルで果敢にゴール前へと侵入していく。たとえ失敗しても、何度も何度も。
まさに「ドライブ」の体現者だ。
プレー面でも、プレー面以外でも。

「ドライブ」の体現者・相馬くんの活躍もあり、チームは3年ぶりのリーグ制覇を果たした。

ただ、今年の早稲田は苦しんでいる。
開幕戦で2部から昇格してきた立正大学に逆転負けを喫し、そこから第7節の東洋大学戦で勝利するまで6戦勝ちなし。
『「アミノバイタル®︎」カップ』も2回戦で敗退し、総理大臣杯に出場することは叶わなかった。
前期リーグを勝点10の10位、降格圏内の11位とは勝点差6でリーグ戦を折り返す。
そして、後期に入ってからは連敗を喫することなく粘り強く勝ち点を積み重ね、第16節終了時点で11位との勝点差は7になった。
ただ、第18節で11位・流通経済大学に敗れ、降格圏内との勝点差を4にまで縮められてしまった。

誰が見ても、今年のチーム状況は苦しい。
「どうすればいい?」「どうすればチーム状況が上向く?」

得点王とアシスト王、リーグMVPが卒業してしまった今、選手のタレント性で言えば確かに昨季の方が上かもしれない。
それをチーム不調の理由に挙げる人はもちろんいる。
「今年の4年がダメだ、だらしない」という人もいる。

でも、それが問題の本質か?

違うと思う。

早稲田は他の大学に比べると、「ノリと勢い」のチームだと感じる。
選手云々だとか戦術云々が全てのチームではないと思う。

じゃあ、その「ノリと勢い」を左右しているのは何?

「ドライブの精神」だ。


「ドライブ」の体現者が今年のチームにはいないのかもしれない。
「ドライブ」をチームに広めるインフルエンサーがいないのかもしれない。

「ドライブ」の体現者の素質を持った人が今年のチームにいないのか?
いや、そんなことはないと思う。
それを表現し切れていないだけのように感じる。


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3年の梁賢柱。
彼はポスト・相馬勇紀(「ドライブ」の体現者、という観点で)の筆頭だと個人的には思っている。
明るい性格でとにかく負けず嫌い。ゴールに貪欲で、獲物を前にした猛獣のようにゴールに迫っていく。
まさに「ドライブ」。
ただ、早稲田に来てから伸び悩んで本来の力を出し切れなかったり、今年は大怪我があったり。
でも、持っている能力は"ホンモノ"だ。
怪我から復帰した後に出場したIリーグでのプレーは圧巻だった。彼がピッチに立った瞬間にチームの雰囲気が変わるというか。ゴールへの推進力が高まるのが明らかに目に見えた。

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2年の田中雄大。
彼のプレースタイルもまさに「ドライブ」だ。
ダイナミックというわけではないものの、細かいタッチで相手DFを切り裂いていく姿がなんとも清々しい。
ただ、今シーズンのチーム立ち上げ当初からスタメンを張ってきたものの、関東リーグ第2節以降は怪我で戦線離脱を余儀なくされ、いまだに復帰できていない。

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1年の西堂久俊。
彼が入部してきた当初は彼のドリブル能力に誰もが驚いた。
1年生ながらリーグ開幕戦に途中出場し、世代別の日本代表にも選出され、早慶戦のピッチにも立った。
ただ、そこから伸び悩んでいる。
怪我もあった。ア式の文化だったり、1年生の役回りに苦しんでいる部分もあるだろう。
精神的なモヤモヤがプレーそのものに影響をきたしているのだろうか。プレーが4月に比べて小さく感じる。

このように、今年のチームに「ドライブ」を体現できる選手がいないわけではない。表現し切れていないのだ。


忘れかけている「ドライブの精神」を是非とも思い出してほしい。身体の中から呼び起こしてほしい。
苦しいチーム状況を変えることができるのは「ドライブの精神」だ。


流経大が迫っている。これは事実だ。ただ、あくまで事実。

追われる展開は去年だってそうだった。
前期リーグを首位で終えた。2位との勝点差は5だった。
後期初戦は明治大学に1-6で完敗し、次の桐蔭横浜大学戦でも引き分け。2連勝した明大に迫られた。勢いでは完全に負けていた。「飲み込まれる」誰もが思っていた。
でも、決して逃げなかったし、守りに入らなかった。攻めの姿勢を貫いた。
2度目の1-6での敗戦があり、直後には筑波大学と勝点差6で首位攻防戦を迎えることになった。でも、逃げなかった。

その結果が優勝だった。
常にチームが「ドライブ」していた。


今年はどうか。
流経大が迫ってきている。
そこで守りに入っているんじゃないか。勝点差を守ろうとしているんじゃないか。

違う、攻めなきゃ。
守りに入ったら食われる。相手の方が勢いがあるから。

選手でもない自分がこんなことを言うとひんしゅくを買うかもしれないが、追われる状況を楽しむくらいの余裕がないと。
当然、相手は必死に迫ってくる。勝たないと順位で上回れないから。
その相手の勢いをこっちのエネルギーに変えてしまおうと考えるくらいの余裕がないと。

後ろは見ない。前進しよう。
これこそまさに「ドライブ」だ。


大熱狂のラグビーW杯に感化され、日本国内がラグビーの話題で持ちきりになっている今、
我々早稲田大学ア式蹴球部がラグビーから学ぶものは「ノーサイドの精神」でも「One Team」でもなく、
我々のスローガンである「ドライブの精神」ではないだろうか。


「ドライブ」しよう。
そして、歴史的残留を必ず果たそう。

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