花束みたいな恋をした(2020)

当時、良い映画と話題になっていましたが、見逃していました。

菅田将暉が演ずる映画やドラマを観たことがなかったので、Amazonで見つけてようやく観ました。

大学生の男女の出会いと別れまでを自然に描いた作品。

ああ、こういう出会いってあるだろうなぁという感じで二人のやり取りが始まり、最初は、なんでこんな人話が合うんだろうと、いちいた嬉しくなったり、ドキドキしたり。
最初のときめきが、やがて二人でいるのが日常になり、当たり前の生活の一部になる。
そのうち、楽しくも責任もない学生時代も時が進むと、就職活動で二人とも社会の厳しさに初めて遭遇。彼女は、就活の始めに「圧迫面接」を受けてつらい思いをしますが、それが原因で、正社員など安定しつつも責任も伴う、他方で定型的な仕事を避けるようになったのかな?
彼は、就職が決まるのは遅れたが、IT会社の営業マンになり、どんどんとサラリーマン化し、しっかりとした、地に足のついた社会人になる。だけど、彼女は、映画や小説を大事にしつつ事務の仕事をするなど、すれ違いが生まれてくる。
決定的なのは、彼の先輩の葬式。彼にとっては大切な存在だが、彼女にとっては、その先輩は恋人にも暴力は振るうは女には手を出すはで、あまり悲しい気持ちを共有できない。この葬式の夜のことが、決定的な分岐点になったのでしょうね。

二人が、社会人として落ち着いてそれなりの年齢になって知り合っていたら、違ったんでしょうね。それはそれで、趣味も価値観も合わず、お互いに惹かれなかったかもしれないけど。

このラブストーリーを要約すると、学生時代はまだ働いてもおらず、社会のことも見えず、自己を形成する過程なので、その時に好きになった者同士が社会人になり、立場が定まりつつあるようになると、自己が固まってきて、お互いの違いが明らかになる、ということなんだろうと理解しました。要は、大人になる、そうすることの辛さ、成人するための通過儀礼。

勝手な解釈を書きましたが、これだけ考えを巡らせることができるのは、優れた物語ということなんだと思います。

菅田将暉も、有村架純も、自然な演技で良かったけど、演技力としてすごいかどうかは判断するだけの素材、状況の設定がなかったように思います。菅田将暉の演技は、これからも興味を持ってみていきたいです。

エンディングは、ジメジメせずにさらっとということなのでしょうが、なんか、観終わった後の余韻は残らなかった感あり。もっと早く終わらせても良かったかもと思います。

全体として、普通の人たちの普通のお話を大げさにせずに描いた、超大作ではないけれども、佳作です。

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