関心領域(The Zone of Interest)

見終わった後、関心領域という和訳は、素晴らしいと思いました。

予告編などを観て、アウシュビッツ収容所の隣で豊かに暮らしている家族は、壁の向こうで起きていることに関心がない、つまり、自分たちの平穏な生活だけに関心があるということがテーマかと思っていました。勝手に。

ところが、どっこい、それは、私の関心にだけにスポットを当てた、いわはバイアスがかかった解釈だということが分かりました😢

ヘス所長は、変な髪型をした、まぁ小役人です。奥さんも、めちゃくちゃ強いので、なかなか転勤の辞令が出たことを言い出せません。それは、組織で働き、家族を持っている身では、しょうがないですよ、ホント。

奥さん役の女優が上手いし、怖い😱実は、壁の向こうで起きていることも知りつつ、ユダヤ人から巻き上げた毛皮のコートとかを品定めしています。この人は、自分なりの正当化をして、ユダヤ人は抹殺されて当然だと、罪悪感を感じないようにしているのでしょう。

しかも、自分が所長官舎の隣に作った庭に、ものすごく手を掛けていて、絶対ここを離れたくないと言って、小役人の夫にヒットラーに嘆願しろ!とのたまいます。いゃ〜、小役人としては、肝が冷えます🥶

奥さんのお母さん(ヘス所長の義母)が所長官舎に遊びに来て、裕福な暮らし振りを見て、あなたも幸せね、なんて声を掛けていたのですが、義母が夜中に目が覚めて、隣の収容所の煙突がゴーっていう音を立てて燃えているのにビビって、娘に何も言わずに帰ってしまいます。

その炎は、ユダヤ人たちが24時間体制で、ガス室で殺され、燃やされてる音なんですよね。

ただ、この映画の凄いところは、そういう陰惨な映像は全くない。ただ、ずっと隣の家族の生活で、背景に、叫び声とか銃声とか常に聞こえいて、想像させられます。映像を観るより想像を掻き立てられ、怖い。

色んな意味の解釈ができますが、すごい映画です。

ちなみに、The Zone of Interestに相当するドイツ語の意味は、ナチスがアウシュビッツ収容所周辺を、もろに大量虐殺していることを言いたくなくて、「婉曲的に」表現するために使われていた表現らしいです。やっぱり普通の人は、お仕事は?ときかれて、いゃ〜強制収容所で働いてます!とか言いたくないんでしよう。

すごい映画と思いますので、必見です。

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