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幼少期の「おうち性教育」ちょっと待って!保育士目線のこんな意見も聞いてみて

 はい、みなさんこんにちは!男性保育士のRyU先生です。

 元号が変わっても、日々やそれぞれの人生は地続きで進んでいるのに、「令和」になったことで大きな転換期を迎えたことがとても多くあるな、と感じています。

 今回、考えてみる「性教育」についてもそうですし、「SNS」や「誹謗中傷(ネットリテラシー)」、「ジェンダー」、「SDGs」なども、令和になって熱心に議論され始めたものではないでしょうか?この中の幾つかについても、別の記事で私見をまとめてみたいと思います。

 では、今回「性教育」の何を考えるのか?

 学び始める年齢とおおよその内容、そして保育施設や学校、そして家庭での教育について、保育士として、そして一人の日本に生きる成人男性としての考えていきたいと思います。

 結論からすると、「いつから始めたら良いのかは正直分かんない」けれど、「小学校低学年~3,4年生には始める」必要性を感じるが、軽率に「性教育」に触れる年齢を決めてはいけない。

 また、これまでの「生殖行為と避妊」のみにフォーカスした限定的な内容ではなく、より広義に「性教育」を扱うべき。とりわけ「生理や月経」、「勃起、射精」について男女平等に伝え、「生殖と性行為」について知ることも必要。

 家庭での性教育についての意見も書きたいと思います。が、あくまで私見なので、「性教育」とい課題に対しての一つの意見として受け取ってもらって、みなさんも一緒に考えてみてください!

「性教育」に対する印象と望まれること

 「性教育」と聞くと、正直少し気おくれをしてしまうというか、子ども達と話すのは恥ずかしいような、少しネガティブな感情を抱きがちです。少なくとも僕は今のところ、保育園やその他の施設で従事している間に「性教育」を行ったことはありません。

 この記事を読んでくれている方は、少なからず子どもへの「性教育」に関心があり、ともすれば現行の「性教育」について何かしらの苦言を持っている方だと想像します。そんな皆さんでも、保育士が関わる子ども達では「性教育」はあまりにも早い!と感じる人が多いのではないかなと思います。

 早期の「性教育」と、より広い内容の「性教育」が求められている理由としては「少子化」だったり、「婚姻、出産の権利」に起因することだったり、単純に「他国と比べて内容が薄い」こと、「低年齢での妊娠」や「性被害」など、様々あるかと思います。

 「性の乱れ」として、よく引き合いに出されるのは「ポルノビデオ」であったり、「出会い系サイト」、今は「SNS」でも交流が深まることで危険にさらされるケースも珍しくなく、これらの被害者が子ども達に多いことは看過できるものではありませんね。

 性教育の充実によって求められていることの大きな部分は、そうした危険に対して子ども達が「性被害者にならない」、そして誤った知識で子ども達が「性加害者にならない」為に「性」という分野についての正しい知識を培って欲しい。ということなんだと思います。

あの有名タレントが本気で「性教育」を行っている

 学校での性教育の在り方も議論されていたり、今は多くの「性教育」に関連する書籍も販売されています。

 間接的に僕がこの記事を書こうと思った理由の一つに、家庭で始める性教育ーーその中でも幼児期から始めることが望ましい、とする書籍が少なからず見られるようになったからでした。

 僕は専門家でも学者でもないので、その内容の是非や成否について断言することはできませんが、大学で心理学を受けていた身としては幼児期に性に触れることの危険性をどうしても考えてしまう部分があるのです。これについては後に詳しく書いていきます。

〇タレントのシェリーさんが「性教育」youtubeを開始!

 さて、これまで何となく触れ難かった「性教育」という分野に、一早く発信を開始した著名人がいます。それが、タレントのシェリーさんです。

シェリー(タレント)
チャンネル名「SHELLYのお風呂場」
SNS媒体   youtube

 今年初めに開設されたyoutubeチャンネルは現在18万人以上の登録者がおり、内容のほとんどは子ども達、若い人に向けた「性教育」になっています。また、ジェンダーに関する見解を述べられていたりもするので、とても勉強になるチャンネルの一つかなと個人的に思っています。

 一つ注意点を上げるなら、シェリーさんの「性教育」のメインターゲットは恐らく中高生や大学生の動画が今のところは多いのかなと思います。ただ、兼ねてより「性」についての発信をしていきたいと願っていたということで、お子さんもいらっしゃいますし、より低年齢にフォーカスした動画も今後アップされることがあるんじゃないかと期待しています。

◆性教育youtuberには注意が必要

 この項目については現時点での、僕の完全な独断と偏見になりますが、「性教育系youtuber」と名乗っているチャンネルには、十分注意を払って欲しいと思います。

 特に、ご自身のお子さんと一緒に観て学ぶ予定であれば、

1.そのyoutuberがどんな人物か?
2.出されている動画が「性教育」のみを扱っているか?
3.投稿されている内容は子どもが観るのに適した内容か?

 少なくともこの3点については、大人が責任を持って確認をするようにしてください。また、今のところ子どもだけに見せるというのはかなりリスクが高いのではないかなと思っています。

 僕がシェリーさん以外でも勉強になるチャンネルは無いか?と、短時間で調べてみた感じだと「性教育」というテーマを謳うことで人を集め、中身は「性教育」とはとても呼べるものではなく、「ポルノ」、「性行為」について面白おかしく喋っているだけのチャンネルが溢れていました。

 動画の中にはかなり具体的に「生殖器の特徴」や「性行為」について触れているものもありましたが、現行のルールでは取り締まられることがないようです。子どもにとって有害と感じるものもありますので、十分に注意してください。

「性教育」を始める年齢は安易に決めてはいけない

 ここからは僕の私見に戻って、まずは性教育を開始する年齢について考えていこうと思います。

 現行の「性教育」では、小学校1年生から「命の尊さ」など道徳的な観点も含めたものを学び、小学4年生くらいから「身体の成長」、5,6年生ではネットリテラシーなど自分を守る為の地域を学ぶようになるみたいですね。

 ある意味で「性教育」というイメージのある「生殖」だったり「性感染症」などの内容については、中学生以降という記事を見かけました。(自治体や学校で異なるかもしれませんが)

 その記事に書き加えられていたのが「海外の性教育」についてで、小学校高学年で「避妊具」の実習を行ったり、「性の多様化」について学ぶ機会があったりと、
 日本よりも早い時期に、より具体的な内容を教わっている国も多くあるということでした。

公的な性暴力にだけはなってはいけない

 少し脱線しますが、性的虐待の中には直接的な「性行為の強要」などと共に、「子どもに性器や性行為を見せる」ということも含まれています。

 勿論これらは悪意を持って行われる場合が想定されているのだと思いますが、あまりにも早期に、年齢によっては受け入れるのが難しい性教育を行うことが性暴力になってしまわないか?という懸念が個人的に拭えないでいます。

◆性的虐待が子どもに及ぼす影響

 幼児期に性的暴力を受けた子どもは後に「うつ病」や「PTSD(心的外傷後ストレス症候群)」になるリスクが高く、自殺率や引きこもりになってしまうケースも増加するとされています。

 また、性的倒錯を引き起こしてしまうことで、「自身も性暴力の加害者になってしまう」ケースや、自分の身体を大切にできなくなって「不適切な性行動を繰り返してしまう」ケースも少なくありません。

〇幼児期の性教育の特集を観た個人的な感想

大前提として自分の身体も他人の身体も大切にしましょう。と伝えていくものではあるのですが、幼児期から始める性教育の著書を紹介するニュースの特集の中で

 年長児さんの女の子がママと一緒にカードを使って「雌蕊」と「雄蕊」と「受粉」を引き合いに、「精子」と「卵子」そして「受精」が人間では起こることを学んでいる光景がありました。

 その知識を伝えるということは、必然的に「生殖器」にも内容として触れる必要性が出てきます。その知識は「自身の身体への興味」や「他人の身体への興味」にも及ぶことになるのは自然な流れではないかと思います。

 また、「おうちで性教育」を始める際の個人的な懸念の一つとして、(なんの分野でも転換期に起こりがち)意識が高くスタートが他の子よりも早かったが為に、マイノリティとして奇異な目でお友達に観られてしまわないだろうか?という心配もあります。
 学校での性教育が低年齢化されて”一斉のせ”でスタートできれば問題ありませんが、家庭で先行する場合にはこうしたリスクについても大人は考えてあげないといけないのかなと思います。

 僕は実際にその著書を読んだわけではありません。とはいえ無論そうした書籍では性暴力にならない為の表現の工夫や、適切な年齢なども解説されていることとは思うのですが、率直な感想として「幼児期から具体的な性教育を行う必要はあるのか?」と思いました。

 ただ、根底の部分として「幼児期や小学生、中学生の子ども達が、悪意ある者からの性被害を受けない様に、自分自身を守る為の知識を身に着ける」というとても大切な教え、願いがあることは紛れもない事実だと思っています。

教育では狭義ではなく広義の「性」を扱うべき

 次いで「性教育の内容」についてですが、僕は17年前?くらいに中学生で保健体育を受けていたかと思うのですが、正直な所「性教育」の中で何を教わったのかに関して明確に覚えていません。

 本当に恥ずかしい話ですが、クラスの雰囲気を含め、僕自身の感性でも「性教育をまじめに受けるなんて恥ずかしい」という雰囲気がありました。保健体育で高得点取ると冷やかされる風潮というのも実際にありましたしね。

 記憶をどうにか辿ってみると「第二次性徴」や「生殖」、「妊娠から出産までのイラスト図解での過程」、「避妊」、「性病」については授業で受けたと思います。ただ、今思うとどれも局所的で、学生ながらに「教育が何かを隠している?」という違和感みたいなものを持っていた様にも思うのです。

 その違和感こそが、「本来の性教育」で扱われるべきテーマが扱われず、狭義の「性教育」が行われていた気持ち悪さ、日本の性教育の遅れなのかなと今は考えています。

 では、広義の性教育とは何を教えるべきなのか?というと、やはり大切なのは「子ども達が、悪意ある者からの性被害を受けない様に、自分自身を守る為の知識を身に着ける。自分の身体と他者の身体を十分に知り、大切にする」という根本的なテーマに沿った内容を適齢期には隠さずに伝えることなのかなと思います。

 「生殖行為」、「生殖を伴わないセックスや性的同意」、「男女の身体の仕組みや特徴」、「生理や月経、射精」、「性感染症」、加えて「不妊や不妊治療」などについても知っておくべき知識なのではないかと個人的に思っています。

 あとは「性的マイノリティー」や「SNSのリスク」などについても、扱うのであればそれは「性教育」の大切な一部かなと思います。

 もし広義の性教育をするのなら、これまで布をかけていた部分も、開示するということです。内容による適齢期の見定めが不可欠ですし、「広義の性教育を受けていない教師」が「広義の性教育」を十分に行えるようにガイドラインの作成なども必要になってくることだと思います。

「おうち性教育」は必用か?

 メインテーマになりますが、「おうち性教育」について考えていきましょう。

 ます前提として、「性教育の内容を吟味」して、「子どもの年齢や成長に合わせた内容を扱う」のであれば、学校教育だけに任せるよりも確実にお子さんの知識となり身になるとは思います。

 ただ、難しいのはこれまでに論じてきた様に、内容による適齢期の判断が非常に難しいのではないか?ということです。

〇おうちだからこその性教育

 さて、知識として身に着ける「性教育」は、これからも学校教育の場でより深く扱ってもらうとして、おうちだからこそできる性教育もあるのではないでしょうか?

 例えば「初潮」や「精通」に対する親のリアクションや、どのように説明をするのか?「妊娠」についての疑問などについて説明する、これもとても立派な「性教育」の一部です。

 初潮や精通を迎えると、子ども達は突然の自分の身体の異変に不安な気持ちが大きくなります。例え、学校での性教育で知識として知っていたとしても、実際に経血や精液を見た時の衝撃は大きいものでしょう。

ある記事の中では、こうした時には「事実」を淡々と伝えて、どのように「対処」して欲しいのかを伝えるだけで良い。と解説されていました。

 具体例としては、「○○も精通したんだね、精液のついたパンツは今度から軽く洗って洗濯機に入れるようにしてね」と、何が起きたのかこれからはどのように対処して欲しいのかを伝えるのが良いということでした。変に言葉を濁したりせずに、淡々と伝えることが大切なのだそうです。

 「性」に関することを子どもと話すのは、大人でもなかなか平常心でいられませんよね。でも、それでも子ども達の不安を考えると、大人は無理やりにでも冷静になって説明をするしかありません。

 お子さんの成長や疑問に対して、家族だからこそ伝えることができることはあると思います。

 これまでの日本では家庭で「性」の話をする機会はほとんどなかったのではないかと思いますが、正しい知識でお子さんが大切な身体を、大切な人を守ることが出来るようにする為に、少しずつ私たち大人も心の準備や知識を蓄えておく必要があるのかもしれませんね。

保育園は「性教育」を扱う様になるのか?

 最後に、保育園(幼稚園)で「性教育」を扱う様になるのか?ここでは「性教育」という活動の時間を設定することがあるのか?について個人的な予想をしていきます。

 これからもっとIT化なども進んで、児童心理の解明、性教育の適齢期についての研究が進んだ未来では、一つの活動として「性教育」に関する活動がカリキュラムに入る可能性は無いとは言えません。

 とはいえ、日本は未だ小学生のカリキュラムすら内容や開始時期について考えている段階ですから、あと5年、10年で保育園に「性教育」というカリキュラムが組まれることはないと思います。

 ですが、幼い子どもの性被害を防ぐ為に「自分の身体を大切にしよう」、「自分の身体と他人の身体を知ろう」、そして「他人の身体も大切にしよう」というテーマについては、「性教育」とカテゴライズされることは無くても、段々と充実していくと思いますし、もしかしたら就学前の時期には「性教育」について少しずつ触れる機会も出てくるかもしれませんね。

そうなった時に、大人が恥ずかしがってしまったり、避けるようなそぶりがあっては正しい教育にはならないので、昨今議論されている低年齢への「性教育」について、アンテナを張っておく必要があるのではないかと思っています。

開始時期は慎重に、家庭ならではの「性」の話も

 今回は「性教育」について、現行の教育から、議論されているより低年齢への性教育の実施について、狭義ではなく広義の性教育の必要性、「おうち性教育」について、そして保育園で性教育を扱う時が来るのかについて個人的な見解をまとめてみました。

 子ども達を狙った犯罪やリスクというのは、どれだけ大人が注意を払っていても、子どもが無自覚に近づいてしまったり、正しい知識が無かったことで避けられなかったり、「保育士が児童の身体を触り逮捕される」という許しがたい事件があったように不透明で発見しずらい環境で、起こったりします。

 そうしたリスクを未然に防ぐ為には、年齢に合った正しい知識が必要です。また正しい知識は「自分の身体を知る」ことであり、「自分の身体を大切にする」こと、「他人の身体も大切にする」ことにも繋がっていく大切な教育の一つです。

 また、家庭ならではの「性教育」というのも大切で、包み隠したり、恥ずかしがったり、ましてや汚らしいと避けることはあってはいけません。子ども達は、子どもですが、「性」についても知る権利を持った1人の人間です。お子さんとの対話も大切にしたいですね。

 今回の記事は「性教育」についての私見を述べたものに過ぎません。一つの考え方の参考として受け取ってもらい、ご自身が考えている「性教育」をもう一度振り返ってみる機会にしてもらえたら嬉しいです。

では、また学ぼうね~!


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保育士りゅう先生

 保育士りゅう先生(「RyU先生」で子育てに関する記事の執筆を依頼を受けてしていました)

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