ちょっとした「リアルさ」を感じさせれば空想も現実味を帯びる~映画『あたしの!』~
少女マンガを原作とした、イケメンと女の子の恋愛ストーリー映画。
言ってしまえば、よくあるパターンですよね。
内容的にもそうですが、観に来るお客さんはイケメン俳優目当てと思われる女性ばかり。
男性客はざっと見たところ、私のみでした。
いいんですけどね、映画に関しては完全に雑食性の私は、このタイプの映画も良く観ているので「男性客ひとり」のパターンにも慣れてますから。
内容としては、本当に「よくあるタイプの物語」ではあります。
学校で一番カッコいいイケメンと、主人公の女の子との恋愛ストーリー。
このタイプの映画も良く観ているわりに、個人的にはこの「学校一のイケメン」タイプのキャラは苦手ではあります。
たぶん、「自分がモテる」ってことを自然に受け入れている、その態度がモテて当然と思っているように見えて、なんか鼻につくんでしょうね。
まあ、モテない男の嫉妬みたいなものですし、実際にこんな男の子が存在する可能性は極めて低いこともわかってはいるんですが。
ただ、この『あたしの!』の場合は、イケメンがけっして完璧ではなく、子どもの頃に「男子たちから仲間外れにされていた」って部分がちゃんと描かれていたのが、評価できました。
なんか「イケメンで、友達も多くて、男女ともに人気者」みたいなキャラだと、あまりにもリアルさがないんですよね。
とくに小学生くらいの頃は、けっこうちょっとしたこと、とくに「女の子から人気がある」なんて理由で仲間外れにされるケースもあるでしょうし。
そういう経験もあるためか、イケメンが「人に嫌われたくない」との気持ちが強すぎて、自分の気持ちを相手に素直に伝えられない弱点もあって。
この弱点と呼べる部分を、主人公の底抜けの明るさ、真っ直ぐさが救っていく……王道の展開と言えるでしょう。
一方で、主人公も自分の気持ちをあまりにも真っ直ぐに出し過ぎるためか、かつて「空気が読めない」と仲間外れにされた経験があることが描かれていました。
このへんも「ああ、ありそう」と感じさせられる部分でしたね。
こういった、ちょっとした「ありそう」なリアルさをストーリーに取り入れることで、全体的な物語に関しても、観ている人間に現実味を感じさせてくれることに成功しているのでは、と感じさせられました。
あまりにも非現実的な点しかないストーリーだと、観ていてちょっと失笑というか、頭の中で「いやいや……ないでしょ」となってしまって、楽しみきれないんですよね。
少なくとも私の場合。
もちろん映画を観る、ということは、あくまでも「虚構の世界を楽しむ」ことなのは理解しているんですが。
やっぱり少しでも現実味を感じさせてもらえると、より素直にストーリーが心の中に入ってくるような気がします。
そんなことを考えさせられた映画でした。
というわけで、映画自体の内容については、とくに言うことはなかったりします。
「まあ、良かったね」くらいですね、うん。