酸いも甘いもみんながいたから#25

怖い。すごく怖い。
心が震える。凍る。
シンラさんの今後。私たちの今後。
どうなっていくのか。予想が出来ない。
ソウマ君が戻ってきたことは無論喜ぶべきことなんだと思う。
だけどそれはシンラさんの窮地が引き換えで。
だから素直に喜べないのが実情だったりして。

ギターを笑顔で描き鳴らす。
歌うことに全力で。
レコーディングに他の追随も許さない。
いつだってどんな時だって引っ張ってくれていた。
深夜でもスタジオで熱く未来について語っていた。
ソウマ君と似ていてワインを傾けるのが好きで。

そんなシンラさんが私たちは好きだった。
語弊があるよね。こうなった今も好き。

戻ってくるまで出来ること、ステージに立ち続けること。
今度はシンラさん不在になった Moon Raver で演っていく。
この覚悟がいつまで続くかじゃない。
キープし続ける、絶対に。
負けない。負けてられない。眼を覚ました時に悲しむ顔なんて
見たくない。
俺のせいで、活動止まってたんだな。そう言いながら、
俯いて涙を流すシンラさんの姿が目に浮かぶ。
そんな風にさせたくない。

病院のロビーで三人で言葉を失っていた。

「走ろう。走ろうよ!まだまだ出来ることたくさんあるよ。
まだまだあると思う。」

「そうだな。限界とか無理とかはやってやってやった人だけ
が使える言葉だよな。僕たちまだまだ若い。悲観的になるのは
まだ早計すぎる。僕たちが死んだように生きてる訳にはいかない。」

「ムンラバの第三章だな。サードシングルが勝負とも言われる
この業界である程度の数字を叩き出してる。
俺もまだまだ走れると思う。行こうぜ。連れて行こう。
応援してくれてるファンもシンラも。」

 スタジオで掛け合う三人、寄り添う三人。
もっともっと精進しないと。

誰が何と言おうと。

自分が自分を諦めたら最後だとおもうから。

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