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主人公と一緒に負けヒロインのその後を見守る、斬新なラノベ『負けヒロインが多すぎる!』

こんにちは、ラブコメ大好きふんまつスープです。好きな負けヒロインは『政宗くんのリベンジ』の小岩井吉乃です。

今回は一風変わったラノベをご紹介。

第15回小学館ライトノベル大賞でガガガ賞を受賞し、そして先日アニメ化も発表された
『負けヒロインが多すぎる!』、通称「マケイン」です。

作品概要

『負けヒロインが多すぎる!』は、 雨森たきび先生によるラブコメで、イラストはいみぎむる先生が担当しています。

いみぎむる先生は『この美術部には問題がある!』の作者である他、最近だと『リコリス・リコイル』のキャラデザを担当されていた方です。

ストーリー

想い人の恋人の座を勝ち取れなかった女の子——「負けヒロイン」。

食いしん坊な幼なじみ系ヒロイン・八奈見杏菜。
元気いっぱいのスポーツ系ヒロイン・焼塩檸檬。
人見知りの小動物系ヒロイン・小鞠知花。

ちょっと残念な負けヒロイン——マケインたちに絡まれる、
新感覚・はちゃめちゃ敗走系青春ストーリーがここに幕を開ける!
負けて輝け、マケインたち!

TVアニメ「負けヒロインが多すぎる!」公式サイトより

原作サイトのあらすじがコピペできなかったのでアニメ版サイトの方をのっけたのですが、あらすじがいまいち伝わらないためちょっと補足すると…

自称背景キャラの温水和彦(ぬくみずかずひこ)は、ある日突然、クラスの人気女子である八奈見杏菜(やなみあんな)が彼女の幼馴染である男子に振られる姿を目撃してしまいます。

それをきっかけに、温水君は図らずも、
杏菜を始めとした負けヒロインたちと交流することになっていく…といったストーリーです。

まさかの負けヒロインにスポットが当たるということで、そのストーリーもとてもユニーク。
ここからはそんな本作の魅力を詳しく書いていきたいと思います。


マケインたちの複雑な心境に心揺さぶられる

「振られたって、頭じゃ分かってたんだよ。でもね、身体が分かってなかったんだろーね」

「振られたってなんにも変わらないし、すっきりもしないんだよ」

「でもね、無理やり周りが進んじゃうから、こっちも進むしかなくなっちゃうの」

第一巻一話より

先ほどもいったように負けヒロインが主役ということで、この作品に登場する3人のヒロインは、物語序盤に全員振られてしまいます。

普通のラブコメの場合、最終的に負けヒロインは自分の気持ちに区切りをつけ、
想い人のことを応援する流れになることが多いのですが、

『マケイン』の場合、この
「気持ちに区切りをつける」
部分の過程がメインに据えられており、

彼女たちの切実な思いがたびたび吐露されるのが印象的です。

想い人やメインヒロインの子を傷付けたいわけではないけれど、どこにもぶつけることのできない想いがあって。

だけど無情にも日常は続いていくから、嫌でも自分の心に蓋をする必要があって…


基本的にはラブコメらしい明るい作風なのも相まって、ふとポロリと漏れるマケインたちの本音が沁みます

「そうだよな…そう簡単に忘れられるわけないよな…」
という形容しがたい悲壮感をしみじみと感じる一方で、彼女たちにどうしようもなく愛着が湧きます

この作品でしか堪能できないマケインの魅力があります。


主人公の絶妙なキャラと立ち位置

「なんか俺。まるで八奈見さんの弱みに付け込んでるみたいでさ。こういうの良くないかなって」

本来、俺なんかと話をしてくれる人ではないはずだ。
クラスカースト上位の可愛い女子で人気があって明るくて。
適度におバカなキャラも演じれて、でもちょっと泣き虫で。

「弁当、美味しかったよ。いままでありがとう」

そして十二分に素敵なヒロインだ。袴田の奴、きっと後悔する日が来るぞ。

第一巻四話より

⇧ちなみに袴田は杏菜を振った男子

わたくし筆者はラブコメの評価基準として、
「主人公に好感が持てるか」
というのを割と重要視しているのですが、

本作の主人公である温水君は好きな部類に入ります

なぜなら彼は、負けヒロインを主題とした物語の主人公として、非常に理想的なムーブをしてくれているからです。

あらすじでも書いたように背景キャラを自称する温水君。

基本的に男女のいざこざに巻き込まれるのは面倒というスタンスで、
無気力系というよりは周りに比べてちょっと感覚がずれている少年、というイメージ。

女心を理解していない、あるいは空気の読めない発言を悪気なく言ってしまい、マケインたちから「そういうとこだよ、温水君」
と言われるのがお約束です。

ここで重要なのが、このキャラ付けのおかげで温水君とマケインがくっつく雰囲気が消滅している点です。

彼は決して嫌われているわけではないのですが、異性として見られていないのは明らか

つまり何が言いたいのかというと、
主人公が、ニュートラルな第三者視点からマケインを見届ける役割を担っているというのがgood。

これにより、タイトルにも書いたような
「主人公と一緒に負けヒロインのその後を見守る」
かのような感覚を、読者は味わうことができます。


そして次に重要なのが、彼は別に薄情なヤツではないということ。

普段はその名の通りぬるま湯のようなテンションの温水君ですが、彼女たちが落ち込んでいる際は不器用ながらも気を遣おうと頑張ります

マケインとその想い人である男子の仲を取り持とうとしたり、マケインを励ますのに失敗したことを深く思い悩んだり…。

そんな彼の行動が彼女たちの心に変化をもたらし、物語が前へ進んでいきます。

このような
「主人公がマケインを見守りつつ、物語も動かしていく」
という構図が絶妙で、

あくまでマケインを主軸に置きつつ、かつ主人公も空気化せず魅力的に描かれています
これこそが、彼が理想ムーブをしていると感じる由縁ですね。

そんな彼ですが、巻数が進むとマケインたちとそれっぽい雰囲気になるシーンもちょこちょこ出てきて…?
彼らの超ゆっくり進む距離感の変化も注目ポイントです。


まとめ:負けヒロインの「その後」を描く、新感覚の青春ストーリー

以上、『負けヒロインが多すぎる!』のご紹介でした。

今までありそうでなかった新感覚のストーリーなので、アニメ化したらさらに人気が伸びそうだな~って勝手に思っています。

2024年放送とのことなので続報を待ちましょう。(声優誰になるかな…解釈一致だといいな…)

あと余談ですがコミカライズ版も中々良かったです。

とにかく絵がきれいで、ヒロインたちはもちろん、原作イラストだと中々見られない男性陣の姿もたくさん見られて楽しいです。

あと端折り方が上手いなと思いました。
原作そのままだと冗長になる場面がほどよく削られ、テンポ感が良いです。アニメ版はこっちベースになる可能性あるかも。

ということで、原作、コミック共に面白いです。負けヒロイン好きに限らず、ラブコメ好きの方はぜひ手に取ってみてください

それではまた別の記事で。


p.s. アニメ版の声優発表されました。杏菜の中の人が推しの声優さん(遠野ひかるさん)だったので歓喜。

あと小鞠ちゃんの声が想像以上に小鞠ちゃんだった(語彙力)。作画もよさそうなので期待して待ちましょう。

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ふんまつスープ
ここまで読んでいただきありがとうございました。 寂しがりぼっちなのでスキを頂けると大変励みになります。モチベ爆上がりします!