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【商品考察】インデックスファンド ~基準のない信託報酬のコスト計上~



新NISA口座開設先の検討の一環で昨日、9月18日のSBI証券主催『資産運用フェス2023』をリモート視聴した。

SBI証券さんは、フェスを開催するのは今回が始めてで、会場参加を含めて、約2万人の申し込みがあったらしい。


このフェスで、私はSBI証券さんをある程度、理解できたと思う。

SBI証券は、投資基盤

なのだろう。コストが安く、他社よりポイントなどがお得なインフラは作った。あとは、ご自身でご自由にという印象を持った。

結論、SBI証券さんでのNISA口座開設はパス。『NISAをやるなら!SBI証券』のロゴもコピーも社風も好みに合わない。ホームページでも、マネックス証券と比較し、会社情報の公開量も物足りない。

オンライン視聴でのフェスは、総花的で、売り手主体のセミナー。主催がSBIである必要性がない内容だったが、1点、新たな切り口を得られたので、整理した。

有価証券報告書のコスト明細記載の非統一


事前に資料をダウンロードでき、唯一、興味を引いたのは、

三菱UFJ国際投信株式会社の第8部『eMAXIS Slim生みの親が語る!
~新NISA活用法と運用コストについて~』
のコストの部分だった。

ちなみに、社名を2023年10月1日より三菱UFJアセットマネジメント株式会社に変更するらしい。わかりやすくなった!

残念なことに、コストの非統一性の部分は、あえて説明を避けたような形で、プレゼンでは割愛された。しかたがないので、資料から読み取れることを整理する。

コストの明確化は、金融庁も指導強化している項目だ。

新NISA開始を意識し、コスト値下げ競争が、野村さんまでも巻き込んで激しくなっている。まるで、半沢直樹の世界、やられたらやりかえす仁義なき戦い状態になっている。

ファンドの運用コストが家電のような扱いになるのは、顧客にとって良いのかどうかわからない。つくづく品がない世界だなあと思う。

eMAXIS Slimシリーズは、業界最低水準の運用コストを目指している。それゆえに、運用コストに関して言及しようとしたのだろう。

コスト構造を理解することは、インデックスファンドの商品性の理解を深めることができる。

資料添付は著作権の関係が不安なので、ポイントのみ整理した。


コスト明細が非統一


キーメッセージは、
『有価証券報告書のコスト明細の記載方法が標準化されていない』だ。

単純に何で?と思う。金融業界は謎が多い。

三菱UFJ国際投信さんが、各社の有価証券報告書から項目を拾って、各項目ごと割振った表(資料P18)が公開されている。踏み込んだ挑発的な内容だ。

結論としては、

目論見書には、参考情報として、
総経費率=運用管理費用+その他費用

が記載されるが、

各社のファンドの費用に含まれる項目が標準化されていないので、単純比較はできないよ!

ということらしい。

ファンドのコスト種別

三菱UFJ国際投信さんの資料によれば、3つに分かれる。

①事前に確定しているコスト(目論見書に記載)
➁事後にコストとして認識されるコスト(運用報告書に記載)
③費用認識されないコスト

例えば、
目論見書の作成コストは、eMAXIS Slimでは、①で計上しているが、他社の多くは、➁で計上している。

③は例としてタイミングコストと非公開売買コスト。実際の利益を含んだコストモデルを見たいが、社外秘で無理だろう。

他には、貸株収益なんかも計上が異なる。

販売会社の取り分である情報提供、書類送付などは、不要にしてもっと信託報酬を下げて欲しい。

実際、費用計上の違いで、どれくらい差が出るかは微妙だが、現在0.0xx%レベルで争っていることを考えると、無視はできない。

コストに関しては、日興アセットさんのTracers MSCIオルカン(全世界株式)のプレゼンでも、

信託報酬は業界最低水準とし、他社が①運用会社の費用に含めているコスト

指数使用料(インデックスライセンスフィー)

を、Tracers MSCIオルカンでは、➁その他に含めているというアピールもあった。eMAXIS Slimでは、指数使用料は目論見書等には記載していないようだ。

これに関しては、はやく標準化して欲しいと願うだけだが、トホホという感じだ。こんな基本的なことを、国際標準に沿って、業界で話し合って、すぐにでも決めて欲しい。

また、信託報酬を、資産残高に対して%で課金する悪習慣も、見直して欲しい。

類似のインデックスファンドを購入する場合、

コスト計上の方法が標準化されていないなら、ユーザーとしては、業界最低水準を目標としている最大規模のファンドを信じて買うしかないのかもしれない。

いずれにしても、

明るい未来をソウゾウしよう。
あなたの願う10年後を「想像」してみてください。

という、eMAXIS Slimシリーズが、新NISAで投資されるファンドの中核にいるのは、間違いなさそうだ。


まとめ


SBI証券さんのセミナーで、コストに関する知見を深められた。また知らなかった銘柄の知識も増えた。

次は、楽天証券さんのセミナーが控えている。

~お金から自由に、ワガママに~

楽天さんのセミナーには、メッセージ性があり、期待できそうだ。


【今日のひとこと】


こんなの考えちょることは理想よ。夢みたいなもんじゃ。
山守の下におって、仁義もクソもあるかい。
現実いうもんはの、おのれが支配せんことにゃ、どうにもならんものよ。

(映画『仁義なき戦い』1作目:菅原文太へ、松方弘樹が放つセリフ)

理想を掲げても、ろくでもないボスの下にいたら、仁義もくそもないということ。

金融業界では、理想的なファンドなんて、夢の世界。シェアをとり、顧客のNISA資金を独占しないと、どうにもならんということだ。


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