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【中国の人事部】中国人の人間関係構築を知る③ | 024


みなさん、こんにちは。
今回も前回、前々回に引き続き吉村章先生の「中国人の面子」より抜粋をさせて頂きます。引き続き、日本人の考える人間関係とは決定的に違うことを読んでお楽しみいただければと思います。

3)自己人、熟人、外人とは

知っている人にはフレンドリーですが、知らない人にはなんとなく冷たい感じ。これが中国人の特徴です。しかし、ほんの少し言葉を交わすだけで、急接近で友人になれるのも中国人の特徴です。

上の写真にある図をご覧下さい。右側の領域は「外人」です。「知らない人」という意味です。そして「タマゴ」の縁が「熟人」です。「知っている人」という意味です。

この「外人」から「熟人」の位置まで、一気に急接近していくことができるのです。初対面の相手でも、この距離を一気に縮めて早く友人になってしまうほうが得なのです。遠慮せずに一気に距離を縮めて友達になること。これが中国人とうまくつきあうポイントです。

「あなたは家族と同じくらい大切な友人がいますか?」みなさんが気になるのは、「家族と同じくらい」というフレーズです。


日本人には友人の大切さを考えるとき、「家族と同じくらい」という基準で考えないのではないでしょうか。友人は友人として大切です。もちろん家族も大切です。しかし、「家族と同じくらい」という基準で友人を見ないのです。

「タマゴ型コミュニティ」の「自己人」とは、この家族と同じくらい大切な友人です。タマゴの殻の内側で強い絆で結ばれた仲間です。「親友」「いい友達」「気の合った仲間」など、さまざまな言い方ができますが、単なる友人や仲間ではなく、もっと深い結びつきがあります。

「自己人」の仲間とは、固い絆で結ばれた仲間、人を裏切らない仲間、絶対的な信頼関係の上に成り立っている仲間です。この人を絶対に裏切らない信頼関係は、日本人が想像する以上の強い絆で結ばれています。それが「タマゴ型コミュニティ」の殻の内側の仲間なのです。

「外人」の位置からタマゴの殻のところまでは急接近できますが、このタマゴの殻を破って中に入り込むのはたいへんです。コツコツと信頼関係を一つひとつ積み重ねて、一歩一歩近づいていかなければなりません。もちろん、一度でも人を裏切ったりすると、二人の関係は完全に崩壊してしまいます。

中には、「タマゴの殻」という敷居を低くして、すぐに中に入れてくれる中国人もいます。しっかりとした「自己」を持ち、自分自身に自信がないと、「外人」をそう簡単には入れてくれないはずなので、そういう人は、たいへん懐が深い人が、またはよほど無防備な人です。逆に、とてもしたたかな人かもしれません。一人ひとりを選別して関係を深めていくよりは、まず一気にタマゴの中に取り込んで、その後でつきあいたくない人物をどんどん追い出していくという方法もあります。考えようによっては、この方が効率的です。

ここで「タマゴの関係」にもうひとつの考察を加えます。タマゴの種類を大きく二つに分類することにしました。一つは「ハードなタマゴ」、もう一つは「ライトなタマゴ」です。

「ハードなタマゴ」とは、結びつきの強い絶対に人を裏切らない仲間です。重要な仕事の仲間、お金の貸し借りをしたり、保証人を引き受けたり、結びつきが強ければ強いほどタマゴは硬い殻になります。裏切ったり、裏切られたりすると、深刻な結果が待っています。鉄の掟で結ばれた関係です。

もう一つは「ライトなタマゴ」です。ご近所の仲良しさん、趣味の仲間だったり、遊び仲間だったり、お茶の仲間だったり、これがライトなタマゴの仲間です。旅行好きのグループ、カラオケ友達、太極拳やダンス、スポーツクラブの仲間など、緩やかな結びつきですが、大切な仲間です。これらは容易に入っていくことができるハードルの低いタマゴです。鉄の掟(?)はありませんが、一定のルールで仲間を大切に思う気持ちには変わりありません。

家族と同じくらい大切な友人は絶対の信頼関係で結ばれた仲間です。「ハードなタマゴ」もあれば、「ライトなタマゴ」もあるはずです。


次回は「4)職場の人間関係は「会社の同僚」ではなく「自分との関係」をお伝えします。


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