見出し画像

廃校オフィスへ入居者を呼び込む5ステップ


もうすぐ10年目になる廃校オフィスBabameBase。この立ち上げに出会い、いつの間にか指定管理で運営する側になって6年目。もうすぐのべ入居者数が40社目を迎えます。


全国で増え続ける廃校。その一番簡単で安上がりな活用方法が、用途変更をしないオフィス。それゆえ、さまざまな地域から視察がきて「廃校オフィスを成功させるにはどうしたらいいか?」と相談が来ます。
この9年間に五城目町役場や仲間が取り組んできたことから考えたコツをまとめてみました。


1.どんな場を作りたいのか、コアチームで妄想

 
 当たり前ですが、その場に関わる人たちで、その場で起きたら嬉しいことを妄想します。町役場のもともとの狙いは企業誘致、移住定住の促進でした。立地的に不利で、ビジネスに向きません。役場も政府も”小さな東京”を目指す価値観があります。そこに編集を加えて、東京に対抗するのではなく、田舎ならではの価値観でその土地で事業を生み出していく土着ベンチャー(ドチャベン)を育成することを目指そうと役場担当者と妄想を握ることができました。
 社会課題解決に寄りすぎると正義感が強すぎて扱いづらい。かといって、自由すぎると共感が得られない。そして、2013年当時は地方創成がはじまるくらいのタイミングで、「田舎でベンチャーは無理」という価値観があった。次の社会のフェーズへ向けた投げかけとして、いい妄想だったと思う。
 今からまた新たな箱物活用が求められるとき、どう妄想するのか?描くときに大切なことは後日またまとめたいと思います。


2.人の流れを作る


 妄想で描いた建物の使われ方を、イベントを通して見える化します。地域民間主導では、こどもたちと夏休みの流しそうめん、起業家を招聘してのまちづくり勉強会(建築家、高校生レストラン代表、林業家など)、地域企業主導で、海外大学による楽器作りWS、雪遊びイベント、町役場主導で大人の修学旅行(女性起業家育成)など、多様な関わりを見せつつ、場所へのニーズがあることを議会に示すような動きが大切。


3.事業を通した発信


 入居企業が県と協働で、ローカルベンチャー育成プログラム”ドチャベン”が発足。起業家を招聘してのレクチャー、県内対象地域のスタディ・ツアー、アイデアコンペを実施し、入賞者は実際に地域で起業を支援されます。移住起業する人、協力隊として地域に入る人、入賞して起業したものの廃業した人もいます。 県の事業を通して地域に根ざした事業作りという視点を発信し、それがはじまった場所として五城目を位置づけができてきた。


4.関わりたい人を格安で入居してもらう


 廃校オフィスの運営がはじまって6,7年目の頃、ビジネスマンだけでは場所の多様性が少ないと思いはじめました。一方で、ちょくちょく遊びにきてくれる大学の研究者の方々がいて、彼らと学生とフィールドワークを行うと、地域の人たちも喜ぶし発見があります。 そこで、入居してほしい大学関係者10名に依頼をして、格安で入居してもらい席を置いてもらいました。提供する代わりに、それぞれのSNSで告知をしてもらったり、大学連携をしている旨をPRしてもらうなどしました。1年間の契約で、結果として2大学の継続につながりました。

5.地域と関われる仕事をつくる


 オフィスとしての運営だと、地域の人がくるきっかけがありません。町内向けツアーなど実施しても、特に関わりを持ちたいと思う人はいません。給食室があったので、そこを貸し出せるように役場と交渉し、食品に関わる事業が入るようにしました。たまたまご縁のあった料理人の方が入居、地域農家と一緒に作物を栽培し、地域の職人のお母さんに台所にはいってもらい、今までにない小さなコミュニティが生まれています。

空間と時間が関係を支える


 これからも、小さなコミュニティを入居者それぞれが育んでいくためのきっかけをどう作っていくかを考えています。たとえば、料理のためのハーブを栽培するポットに種をまいてもらう、川遊びのための道具をみんなから集めておいて、大切にしたい来館者と遊べるようにしておくなど。 廃校の場で起こっていくこと、1つ1つの現在性を捉え、偶然が生まれやすい状況にすること。なぜなら、偶然こそ場所と人に意味を与えてくれるから。
 「空間と時間が関係を支える」という言葉を西村佳哲さんと田瀬理夫さんからもらった言葉。カリスマが人を集めるのではなく、場所と活動が記憶として積み重なり人と人の関係性が生まれていくようにすること。今年は西村さんと多くの時間を過ごす中で著作の意味が神山、陸前高田という空間でやっと腑に落ちました。



あなたも変わりものね!サポートは町のこどもたちの探究心を育むものに使います。ありがとう!