【データ分析系書籍紹介】ピープルアナリティクスの教科書
人材マネジメントの重要性が高まっている昨今において、「ピープルアナリティクス」は高い可能性を秘めており、一方で、難度の高いデータ活用領域だと思っています。
そんなピープルアナリティクスの入門書(と思われる)、「ピープルアナリティクスの教科書」という書籍を紹介します。
著者は、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の方々です。
「教科書」というだけあって、ピープルアナリティクスの必要性やデータ活用手法、実務イメージ、運用など幅広く書かれています。また、巻末には9つの事例や、人事データ利活用する際に意識すべき事項を記した資料も掲載されています。
ピープルアナリティクスとは何か?
著者によると、ピープルアナリティクスとは「人材マネジメントにまつわる様々なデータを活用して、人材マネジメントの意思決定の精度向上や業務の効率化、従業員への提供価値向上を実現する手法」と定義されます。
要するに、「人材データを使った価値提供手法」といえそうです。
なぜピープルアナリティクスが必要なのか?
ピープルアナリティクスが必要な理由として、以下の3点が挙げられています。
1.人材の多様化:従来のマネジメントモデルが通用しなくなっている
2.働き方の多様化:仕事の状況が見えにくくなっている
3.事業変化の加速:モチベーションの変化を加速
予測不能なVUCAの時代だからこそ、データを用いて様々な状況を予測し、より適切な意思決定が求められます。人事領域においても同様であり、ピープルアナリティクスがより重要になってきます。
本書で特に参考になったポイントを抜粋
本書籍で特になるほど、と思った箇所を抜粋します。
従業員からの情報取得は難しい。そのため、
・情報取得には、従業員に対してメリットを提供しなければならない。(キャリアパスの提案など)
・情報提供側の負荷を軽減するために、項目は少なくする。(パルスサーベイは5項目以内 など)
データ分析人材の不足に対し、外部要員として学生に参画してもらうすることも視野に入れる。ビジネスを知らなくてもデータ分析ができる学生はたくさんいる。
人事データ分析で、有用な分析結果が出るのは100回やって2~3割程度。だからこそアジャイル的な進め方が向いている。
人事は昔から人事の中に閉じがちである。デジタル化も遅れがちであるが、人生100年時代において改革を起こすためにも、人事こそ実験をすべきである。(リコージャパン山田氏)
現場力を体現する人財を作るということは、突き詰めると「適材適所」であるといえます。(サトー江上氏)
社会科学の考え方を応用する(書籍外)
著者であるピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の方の動画を見ると、「マーケティング」はもちろん、「社会科学」領域におけるデータ分析方法をピープルアナリティクスに応用していく考え方が示されており、大変興味深かったです。
「解釈主義」を理解したうえで、「実証主義」的なデータ分析をしていくことが大事だな~と感じましたので、とりあえず因果推論と社会科学の基礎的な書籍と思われる本を1冊ずつポチってみました。
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