デンマークで死刑が存在しない理由
ヨーロッパでは、ほとんどの国では死刑は行われないということを知っている人は多いのではないだろうか。
日本は死刑がいまだに存在している珍しい国だ。
SNSでも、「こんな奴は死刑になって当然」とか「なんで死刑にならないんだ?」とか、死刑の存在を肯定する声が散見される。
SNSが世論をそのまま反映しているとは思えないが、死刑の存続を望む人が一定数いるのは事実だろう。
一方、デンマークを含む北欧では、死刑がないのは勿論、刑罰の内容や重さも日本に比べてかなり人道的だ。
社会から隔絶し過酷な環境に閉じ込めるのではなく、比較的自由の許された環境で社会の居場所を残すことで更生を促すという考え方は、多くの日本人には受け入れられないかもしれない。
しかし、それでいて再犯率の低さを保っているのだから、やはり北欧諸国のやり方には一定の効果はあるのだろう。
国によって刑罰の考え方がここまで違うのは何故なのだろうか。
気になった僕は、キッチンメイトのPetreaに聞いてみた。
「死刑についてどう思う?」
日本では未だに死刑制度が残されていること。
死刑制度の存続を望んでいる日本国民が多いこと。
この話をした時の、彼女のリアクションが僕は忘れられない。
彼女は、「死刑」という言葉を聞いた瞬間に顔をしかめ、「何て残酷な」とでも言いたげな悲しい表情をしていた。
僕は、ヨーロッパの人たちからすれば、死刑なんてなくて当然のシステムなのだとその瞬間で悟った。
彼女はこう続ける。
「もちろん私は犯罪行為を憎むわ。でも、だからと言ってその人が生きていいか死ぬべきかを他人が勝手に判断することなんてできないと思うの。
私たちは環境に強く影響を受けるでしょ。中には酷い環境で育ったせいで犯罪をするしかなかった人もいると思う。
私達だって、彼らと同じ境遇で育っていたら、彼らと同じ過ちを犯していたかもしれないわ。
だから、犯罪の原因は加害者だけじゃなくて、社会の側にもあると思う。」
罪を憎んで人を憎まず。
面白い考え方だなと思った。
彼女が言ったのは綺麗事なのかもしれない。しかし、この考え方で社会の治安と幸福度を保っている北欧のやり方には、参考にできることも多くあるだろう。
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