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感想『はじめての哲学的思考』苫野一徳

宗教を入り口にして哲学に興味を持ち始めたところに加え、考えるってなんだろなーとか悩んでたので買ってみた。
まとめてみたものの、読めば読むほど、内容がぐるぐる循環しているような気がするし、構成がシンプルでない気がする。自分の読み取り力の問題だと思うのだけど。

もっと適切な解釈ができてる人がいたらぜひ教えて頂きたいです。

哲学とは

哲学とは、さまざまな物事の本質をとらえる営みである。これは、絶対の真理を考えることではない。できるだけだれもが納得できる地点まで考えを深めることである。
哲学は宗教とも科学とも違った、世界の見方であり、独自の思考法を持っている。

思考のワナ

物事を考える時、気をつけるべき二つのワナがある。

・一般化のワナ
経験や信念に基づいて、主張を過度に一般化してしまうことに気をつけるべきだ。
一般化している例)

「わたしはこんな教育方法でわが子を、トップアスリートに育て上げた。だからすべての学校は、この教育方法を取り入れるべきだ!」

・問い方のマジック

どちらが絶対に正しい答えであるかのような、二項対立的な問いにあざむかれてはいけない。そのようなニセ問題が出てきたら、答えを見出しうるように、問いを立て直すべきである。

ニセ問題を立て直している例)

Q.教育は子どもの幸せのためにあるのか? それとも、国家を存続・発展させるためにあるのか?

Q.教育は、どのような意味において子どもたちのためにあり、またどのような意味において国や社会のためにあるのか?

哲学的思考の奥義

本書で語られている哲学的思考の奥義は二つ。

・思考の始発点を敷くこと(欲望相関性の原理の話)

哲学の最大の意義は"思考の始発点"を敷くことにある。だれもが納得できるその始発点さえ定めることができれば、その土台の上に、僕たちはより実践的な、力強い思考を積み上げていくことができるからだ。

このような揺らがない始発点としているのが、「欲望相関性の原理」である。哲学ではこの世に絶対の真理はないとしている。「欲望相関性の原理」では、個々人の欲望に応じてその世界が意味づけされ、その姿を表すとされている。つまり、「確信」や「信憑」は全て欲望に応じたものである。
逆に言えば、意見や主張を欲望まで遡ることで、共通了解できる点を探ることができる。

・本質観取
概念の本質を明らかにすること、洞察すること。具体的な手法やコツは本書に書かれている。

まとめ、感想

上記の他にも、極意として三つの方法が挙げられていた。

留意事項は複数あるものの、著者が、
哲学的思考=本質観取 と言っているようにも見える。本質観取が、欲望相関性の原理も内包しているように見えるし。

とはいえ、特に「思考の始発点を敷く」というのは他の物事にも当てはまる重要なポイントだと思うので、この視点は特に活用できそうだと思った。例えば家づくりなら、基礎の部分だろうし、チーム作りなら、目的の共有とか、そんなところの重要さを訴えている感じだろうか。誰かが面で抑えるみたいなこと言ってたけど、そんなイメージ。

総じて、哲学って気になるけど何してるの?とか、考えるってどうしたらいいの?とか 悩んでいる人には、一つの答えが得られるのではないかと思った。


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