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研究プロジェクト Day0→1

研究プロジェクトとは?

グロービス経営大学院では、OBOGや講師、事務局の方が、負荷はかかるがやっておいたほうがいいというものがいくつかあり、僕の中でその3大“やっておいたほうがいいやつ”が、『あすか委員』『JBCC』『研究プロジェクト』だ。どれも大変そうなので、正直入学時点ではやるつもりはなかった。

あすか委員とは、年に1回開催されるグロービス経営大学院最大のイベント、あすか会議の運営委員のことだ。これをやるかどうかギリギリまでかなり迷ったが、仕事とクラスの忙しさを鑑みてやらないことにした。

MBA生の甲子園とも呼ばれるJBCCは在学中しか出場できないものなので、とりあえず出るだけでることにした。Covid-19の影響で延期となり、スケジュールのきつい時期に開催日がずれてしまったが、同期5人でチームを組みやれる範囲で取り組み予選出場した。(結果は予選敗退…)

そして研究プロジェクトだが、これを受講する気はまったくなかった。

グロービスの科目は、1科目(1~1.5単位)を3ヵ月で履修するのが基本だが、研究プロジェクトは6ヵ月で3単位を取得する。また、クラスの内容も通常のものとは違い、特にテーマはなく、講師が一方的に何かを教えることもないし、予習アサインメントもない。

では何をするのかというと、研究プロジェクトには大きく2つのコースがある。ひとつは、ケースライティング・テーマ研究をするもの。もうひとつがビジネスプランだ。

ケースライティングのコースは、講師がテーマを設定するタイプと、自主的にテーマを設定するタイプの2つに分かれる。指定された(または任意の)業種や企業を研究し、ケースを執筆するようなクラスらしい。出来が良ければグロービスのクラスで教材として使われるかも!?

ビジネスプランは、とどのつまり“起業する”というクラスだ。どの地域で、どんな領域で、どんなビジネスで誰と戦うのか、顧客に何を提供するのか、全て自分たちで考え、実行していく。

ビジネスプラン担当講師の中から自分たちのビジネスプランと相性のいい講師を選定し、ビジネスプランを提出して審査に通れば履修することが可能になる。講師の中には「起業するかどうか迷っているレベルの人はご遠慮ください」と明示している人もいて、起業への本気度と覚悟を持った人だけが受講することを望んでいるクラスだ。

受講の経緯

遡ること半年前の、2020年4月20日。
同期のT君から「研プロ興味あります?」という探りのLINEがきたのが事の発端だ(笑)

研プロには7月期までに27単位以上を取得するという縛りがあり、自分はこれを満たさないと思っていたので、やる/やらない以前に、そもそも受講資格がないという認識だった。(しかしこれは本年度卒業見込み者なら普通に満たしている単位数で、これは僕の勘違いだった)

何通かのやり取りをする中で、せっかくだしやるだけやってみるかなという気持ちになり、やるならビジネスプランということで2人で合意形成した。この時点ではまだ軽い気持ちだった。

研プロは3~5人の1チームというルールがあるので、それからメンバーを集め、最終的に4人でチームを組むことになった。

チーム構成は、20代1名、30代2名、40代1名。製造業のエンジニア(だれでも知ってる大企業)、弁護士、教育関連企業(元・某有名教育関連企業)、これに僕を加え、なかなかバラエティーに富んだ組み合わせとなった。

最終審査を通過するまで

所属している業界も立場も様々なため、いったい何のビジネスで起業するのかが、最初の苦しみとなった。

バリューカードを使ってチームビルディングをしたり、ブレストでビジネスアイデアを出しまくったりと、しばらくアイデアを模索する期間があった。しょうもないものまでいれると300個以上のビジネスアイデアを出した。

ビジネスアイデアを模索しながら、研究プロジェクトの履修についても情報収集したが、研プロのことを知るにつれ「これ、マジのやつだ‥」と、本気度を試されることになった。

グロービスは、グロービス経営大学院の他に、ベンチャーキャピタル(以下、VC)と企業向け研修を行う会社を持っている。

グロービス経営大学院でMBAのスキルと志を磨き、可能性のあるスタートアップ企業にVCから出資を行いつつ伴走し、企業が成長し仕組みが必要となる段階で企業向け研修やコンサルで支援をしていく、というのがグロービスのビジネスモデルなんだと思う。

この研究プロジェクトのビジネスプランコースは、経営大学院でMBAを取得した学生達を起業というステージに引き上げ、ダイヤの原石を見つけて出資していこうという位置づけにあるのだ。多分。

平成24年に起業し、約7年間経営をしてきて、起業/経営の大変さは身に染みて分かっている。これは生半可な気持ちではできない、と少しずつ覚悟が固まるうちに、思いつきのビジネスプランでは太刀打ちできないだろう、自分達が本当にやりたいこととはなんだろう、と考えるようになった。

そこで、僕たちは2つの条件でビジネスプランを考えることにした。ひとつは、メンバーの誰かが精通している業界であること。もうひとつは解決すべき社会課題となっていること。

そして紆余曲折を経て、介護という領域でビジネスプランを考え直した。
これが多分、6月中旬くらいだったと思う。

7月の中間審査を経て、8月下旬の最終審査は無事にパスすることができた。中には選考に漏れたチームもあったようだ。

最終審査のプラン提出日、提出前の最終ミーティングの中で重大なミスに気づいたのは早速いい思い出となった。

最終ミーティングも終盤に差し掛かった頃、

「ん??提出資料に、研究倫理eラーニングの修了証書を添付すること…??」

なんと、申し込みに必要な受講要件をひとつ満たしていないことに気づいたのだ。しかも全員…(笑)。申込期限まで残り2時間、eラーニングの履修時間1時間半とある。急いでその場で全員eラーニングページに飛んで、なんとかギリギリ間に合った…。ここでこれに気づく僕らは、“もってるな”と思った。

社会実装に向けて

ビジネスプランを固めるため、知人友人をたどり、色んな人にインタビューをさせてもらった。スタートアップ企業のCEO、介護サービス関連企業の役員や社員の方、行政の方、顧客セグメントの方など。

10月12日に研究プロジェクト初日が終わったが、その日までにビジネスプランは概ね固まり、この後はアクションドリブン、トライ&エラーで早くもどんどん行動していくフェーズに入っている。集まって話し合いをしているだけでは物事は進まない。

僕らのビジネスは、介護人材の不足=介護難民の増大という社会課題を解決していこうというものだ。

ミッションステートメントも、とりあえずいいものができた。最初のスモールスタートは、戦略的にもかなりいい感じのビジネスから始められそうだ。

しかし実装となってくると、やることがたくさん出てくる。

年内に法人を設立することも決めているが、それまでにも決めなければいけないことがたくさんある。会社名、発行可能株式総数と資本金、株主構成、役員構成などを決めなければ会社が作れない。7年前に起業したい時はなんとなく決めたが、今回はエクイティでの資金調達やIPOも目指すためなんとなくでは済まされない。ただ、7年前とは違い、今は以前よりも大きく多彩な人的ネットワークがある。頼れるものは頼りまくって形にしていきたい。

Day1後 所感

さて、このような研究プロジェクトという特殊なクラスを受講することになったが、これはもはや“クラス”とか“受講”とかいう言葉が似つかわしくないコースだ。

ただ、起業しようという人にはこんなにいい環境はない。専任の講師が1名つき、グロービスの他講師にも相談可能、単位も2科目取得できるし、クラス開催は月1回のみなので、スケジュール調整もしやすい。

僕らのチームが選んだ担当講師は、山中礼二さんだ。

山中 礼二Reiji Yamanaka
一橋大学経済学部卒業
ハーバード大学経営大学院修士課程修了
学位:MBA

キヤノン株式会社で新規事業の企画・戦略的提携に携わった後、2000年にグロービスに参加。
グロービス・キャピタル・パートナーズでサービス分野、メディア・コンテンツ分野、及びヘルスケア分野の投資を担当。
その後、医療ベンチャーのヘルス・ソリューション(専務取締役COO)、エス・エム・エス(事業開発)を経て、グロービス経営大学院の専任教員。
2015年から、一般財団法人KIBOWのインパクト・インベストメント・チームのディレクターとして、社会起業家への投資を行っている。

ーグロービス経営大学院の講師ページより引用ー

山中先生と呼ぶのは禁止なので、“レイさん”と呼んでいる。

4月20日の1通のラインからこうも風向きが変わるとは、人生とはなかなかおもしろい。これまでに学んだMBAスキルを新たな志の元にフル活用して、いけるとこまで挑戦していこう。

介護サービスの会社を経営しながら、経営学を学ぶため大学院に通っています。起業前の13年間は特養で働いていました。介護現場と経営と経営学、時々雑感を書いています。記事は無料ですがサポートは大歓迎です(^^)/