見出し画像

#1 ケアとはなにか?

このブログ及びマガジンは、介護福祉士、ケアマネジャーとしての13年の現場経験を経て、自らの会社を立ち上げ現在も経営し、MBA(経営学修士)を取得する過程で学んだことをフル活用して、よりよき介護業界のために発信をしていくものです。

本編:ケアとはなにか?

ケアの定義とはなんだろうか?
広辞苑で調べてみるとこう書いてある。

ケア【care】
①介護。世話。「ー-ワーカー」「高齢者をーする」
②手入れ。「ヘア-ー」

なかなか味気ない解説だが辞書とはこんなもんだろう。

東京大学名誉教授の上野千鶴子氏は著書『ケアの社会学』の中で、ケアの定義としてこれを採用している。

「依存的な存在である成人または子どもの身体的かつ情緒的な要求を、それが担われ、遂行される規範的・経済的・社会的枠組みのもとにおいて、満たすことに関わる行為と関係」

これはメアリー・デイリーという人が編集した『Care Work』という本の中で、記事の執筆者のあいだで使われている定義らしい。

この定義は様々な人が働く介護現場で使うには少々難解だと思うが、私が注目したいのはこの定義の最後の言葉である“行為と関係”という部分だ。

ケアというのは、サービスを提供する行為だけでなく関係も含んでいるところにとても共感した。

またこの本の中ではケアの語源も紹介されていて、ケアという言葉は主に2つの言葉で使われていたらしい。

「心配、苦労、不安」という意味と、「思いやり、献身」という意味で、これは「重荷としてのケア」と「気遣いとしてのケア」の対立する意味があったとのことだ。

この他にもケアの定義が紹介されていて、それが次のようなものだ。

「一人の人格とをケアするとは、もっとも深い意味で、その人が成長すること、自己実現することを助けることである」
ー引用:『ケアの本質』ミルトン・メイヤロフ著ー

ちなみにこの『ケアの本質』という本の事例では、ケアの対象は子どもや自分に対するものであって、高齢者の介護はまったく出てこないらしい。

ただ、成長と自己実現を助けることというのは高齢者介護でも本質は同じだと思う。

これを踏まえた上で、自身の経験から考えたことも加えながら、このマガジンではケアの定義をこうしようと思う。

このマガジンでのケアの定義
要介護者の成長と自己実現を助けるために、医療・看護・リハビリ・介護・相談等の手段をもって行う治療以外の行為と、関係性のあり方

この定義にした理由にはこんな狙いがある。

・自己実現が目的であることを明示したかった
・介護だけでなく、医療や看護、リハビリにもケアといえる部分があるためそれを含めたかった。
・とはいえ、治療はキュアであるのでそれは除外したかった。
・直接的または間接的に行う行為だけでなく、ケアの提供者と対象者や、対象者と関係者の関係性にも注目したものにしたかった

これはかなり個人的な定義なので広く使われることを意図していないし、今後改める可能性ももちろんあるが、その時が来るまではケアというのは『要介護者の成長と自己実現を助けるために、医療・看護・リハビリ・介護・相談等の手段をもって行う治療以外の行為と、関係性のあり方』という意味で使っていくことにする。



介護サービスの会社を経営しながら、経営学を学ぶため大学院に通っています。起業前の13年間は特養で働いていました。介護現場と経営と経営学、時々雑感を書いています。記事は無料ですがサポートは大歓迎です(^^)/