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【介護×MBA】利用時のDMU考察

たまにはグロービスでの学びを介護保険サービス業界にがっつり落とし込んだ記事でも書いてみようと思う。

今回は、利用者もしくは家族が介護保険事業所を決めるときにどんな意思決定が行われているのか、DMUから考えてみたい。

DMUというのは“Decision Making Unit”の略で、日本語にすると「意思決定関与者」。

DMUは複数の場合が多く、意思決定者、ユーザー、インフルエンサー(影響者)、購買者、ゲートキーパーの5つがある。

ユーザーはその名のとおり、商品やサービスを実際に使う人。
意思決定者は、買う!契約する!と、決断を下す人。
インフルエンサーは、情報を提供したり助言をしたり、意思決定に影響を及ぼす人。
購買者は、実際に店頭などで購入する人。
ゲートキーパーは、情報を取捨選択して伝える情報を選ぶ人。

例えば、子どもが親にゲーム機をねだっているシーンをイメージしてみよう。ユーザー(使用者)は子どもだが、そのゲーム機を買うかどうか決定権を握っているのは親だ。その親が子供にゲーム機を買うべきかどうかママ友(パパ友)や先生などに相談し助言を得ていた場合、ママ友や先生はインフルエンサー(影響者)ということになる。

ママの一存では決められずパパに相談してみないと決められないわ、みたいな場合だと、意思決定者はパパになりママは購買者となる。子供がほしがっているゲーム機がA、B、Cと3種類あり、ママがCは買わせたくないと思い、パパに「〇〇がAとBのゲーム機欲しがってるんだけど、どっちがいいかなー」と、白々しく“C”という選択肢を除外した場合、ママはゲートキーパーとなる。

これでなんとなくDMU(意思決定関与者)が分かってもらえただろうか?

では、介護保険サービスの場合はどんな場合が考えられるだろうか?

【ユーザー】これは紛れもなく利用者だ。
【意思決定者】利用者もしくは家族の場合がほとんどだろう。
【インフルエンサー】家族、ケアマネジャー、主治医、すでに該当のサービスを利用している知人友人、地域包括の職員、病院スタッフなど、ここは色々考えられる。
【ゲートキーパー】意思決定者が利用者の場合、家族にとって都合のいいサービスのみを紹介するなど、家族がゲートキーパーになる場合があるかもしれない。
【購買者】利用者もしくは家族。

DMUはこんな感じだろうか?

介護保険サービスの場合、利用したことがなければ自分の住んでいる地域にどんな介護保険サービスがありどんな事業所があるのか、一般の人はほとんど知らないだろう。その時に頼るのは、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所やかかりつけ医(医療機関スタッフ)などだろう。

介護保険サービスの選択をする場合はインフルエンサーの影響力が強い。DMUなど知らなくても、仕組み的に居宅介護支援事業所等の影響力が強いのでケアマネジャー等に営業をかける事業所が多いんだろう。

しかし、DMUを整理してみたらわかる通り、意思決定者は利用者もしくは家族である。ケアマネ等に営業などしなくても常に待機者がいる人気の事業所もある。

本来ケアマネジャーは中立な立場だが、恣意的な情報操作や紹介、提案がないようより強く中立性を求められるようになってきている。

質の高いサービスを提供していても、それが知られていなければ選択されづらい。DMUを整理してみることで、ケアマネ営業一辺倒ではないプロモーション戦略が見つかるかもしれない。


介護サービスの会社を経営しながら、経営学を学ぶため大学院に通っています。起業前の13年間は特養で働いていました。介護現場と経営と経営学、時々雑感を書いています。記事は無料ですがサポートは大歓迎です(^^)/