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めんちゃんこ亭にて(Kids are alright)

次男が毎週火曜日に最寄駅近くのダンススクールに通っていて、19時に終わるので、仕事帰りに僕が迎えに行くことになっている。

早く会社を出ないと19時には間に合わないので、火曜日はもはや18時過ぎには会社を出て、18時30分ごろには最寄駅につき、そこから30分弱、近くのめんちゃんこ亭に入って、ひとときのひとり酒を楽しむことにしている。

めんちゃんこ亭は、福岡ではわりとメジャーな「めんちゃんこ(ざっくり言うと鍋焼き麺)屋」である。食事としてめんちゃんこだけを食べに来る人も多いけど、安価な居酒屋メニューも豊富で、飲み屋使用もできる。

僕は30分弱で、まずメガハイボールと餃子のセット(600円)をかきこみ、そこからマグハイボール(280円)と豚エッグ(280円)を食べ飲みして、迎えに行くと言うのがルーチン。

たかだか30分弱だけど、30分だけのバカンスというか、良きクールダウンの時間になっている。

その日はいつもより遅く入店し、実質20分ほどしか時間がなかったから、カウンターでハイボールをぐびぐび飲んでいたところ、後ろの席では、60代近いジジイと、40代くらいのハゲと、あとは20代のおとなしめの若者3名が飲んでいて、その会話が聞こえてきた。

60代のジジイが「だいたい今の若い奴らは舐めた奴が多い。この前、◯◯を飲みに誘ったらよぉ、当日言われても厳しいですって言いやがって説教してやったよ!」「1週間前には誘って欲しいだと?違うだろ?先輩に誘われたらな?先輩が奢ってくれるんだからよ、帰りのバス代だけ握りしめて黙ってついてくるんだよ!」

聞いた瞬間に、一気にイライラがマックスまで跳ね上がる。欽ちゃんの仮装大賞なら一瞬で合格。おめでとー!

(話聞いてますけど、そもそもジジイの話が説教くさいだけで一つもおもしろくないんですよ。若者たち酒飲むのが嫌っつうのもあるだろうけど、ジジイの話がおもしろくてためになるんなら、行くんじゃないですかね?)

(てか、ジジイ奢ってやるとか偉そうに言ってますけど、ここめんちゃんこ亭ですよ?いい店ではあるけどクソ安い店連れてきて奢ってやるはないんじゃないの?あと帰りのバス代だけ握りしめてこいって言ってるけど、その年の差の後輩と飲んだらさ、俺だったら帰りタクシー代渡すか送って帰りますけどね)

言いたい、言いたい、言いたいが、耐える。
そのジジイが偉いのはしらないが、若者たちは「そうっすよねー!」「やばいっすねー!」とヘラヘラしながら相槌を打っている。大人といえばそうかもしれんが、そんなジジイに時間を使うな、と言いたくなる。

同じくジジイの太鼓持ちをしていた40代のハゲが話し出す。「結局ですね、やはり平成生まれの奴らは、我々昭和のような力強さがないんですよ。悪さとかもしたことがないんじゃないかな〜」とドヤって言う。

クソだ。こいつもクソだ。こういう奴らに限って、自分より立場の強い人間にはヘコヘコするのを知っている。

若者たちよ、争うのはストレスかもしれないけど、くだらない奴や、自分を尊重しない奴からは、逃げよう。そんな時間は、いらない。家でゲームしてた方が良い。

この日はマグハイボールとハムエッグに辿り着かず会計(600円)を払って、次男のダンススクールに向かった。席を立つ時に、ジジイの目をあえてジッと直視したら、速攻で目を逸らした。

翌週、この日は18時30分ごろにめんちゃんこ亭にピットイン。先週と同じカウンターに座ってしまい、先週の嫌な気持ちを思い出した。

しかしその日、後ろの席に座ってきたのは、少しヤンチャそうな制服の女子高生3人組だった。部活か塾の帰りなのか、3人それぞれ、めんちゃんこを食べながら話をしている。

また、ついつい話を聞いてしまったのだが、恋愛の話が中心。いかん、40代のハゲかけたおじさんが聞き耳たててたら気持ち悪いぞ、と自らを戒め聞かぬようにしようとしたが、その中の1人が

「てか、なかなか親孝行ができてないんよね〜」と言った。

他の子が「それな〜なかなかムズイ」と笑っていた。

ハイボールを飲みながら、おじさんは少し泣きそうになっていた。

先週のクソジジイたちよりも、圧倒的に人として素敵だと思う。

Kids are alright!くだらない大人の論理から全力で逃げようぜ!

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