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彼岸花を撮るのは難しいとはどういうことなのか

今年も彼岸花の季節がやってきたので、撮影をしてきました。満開にはちょっと早かったみたいですが、やはりこの花は良いです。繊細な花に光が当たった様子は、まるで暗闇を照らす赤いスポットライトのよう。こんな無駄がなく洗練された色と形状をした植物が、夏の終わりを告げる頃に、日頃誰も興味を示さないような森のひっそりした場所で群衆で咲くなんて。神様は粋なものを与えてくれたなと思います。

 闇を照らす赤いスポットライト

よく彼岸花を撮影するのは難しいと言うようですが、難しいのは光の影響が大きいからかなと思います。それを予想しきれないため、結果、イメージ通りに撮れない。だから、難しいという判断になるのかと思います。であるならば、光を読めばいいんです。光を捉える練習にはぴったりの被写体なのです。

例えば下の写真は、中心の花には光が強く当たっていますが、周りの花にはそこまで強い光が当たっていません。光が当たっている花に撮影時の露出を合わせているので、必然的に周りが暗くなるんですね。逆に周りの花(光が真ん中ほど強く当たっていないところ)に合わせたら、中心の花は飛び気味(明るすぎる状態)になるのです。それが光を読むっていうことですね。

真ん中の花(その左にも少し)が強い光が当たっている

これをシャッターを押す前からわかっていて、この2枚で言えばあえてダークな雰囲気になるのを狙って撮っているということなのです。この「狙い」が事前にできないと、「難しい」ということになるんだと思います。

で、ポイントはこういう「露出を-1.0くらいにしたら、こういう仕上がりになるだろうな」という計算を、ファインダーを構えずに目で見ている段階で、頭の中で行うということです。光の当たり方は目で見てわかることです。カメラを構えてしまうと視野が狭くなるし、(ミラーレスなら)撮影結果の色味だけを見ることになってしまうので、肉眼より観察しづらいんです。だから、私の場合、ファインダーを構え、シャッターを押すのは本当に必要な時=目で見て光を読んだ上で、今いい感じになりそうだなと思う時だけです。その方が広い視野から被写体を探せるので、良い被写体を見つけられるのです。

ここでは上に近いけど下の花にも強く光が当たりました

この下の写真は、花の比較的多いエリアだったので、花の多さを強調することを主たるテーマとして撮っています。カメラを地面スレスレに構えて、花を見上げるような角度で撮影しています。こういう時は本当にZ9のチルト液晶は便利です。露出は明るめにして、先ほどと対照的に明るい雰囲気で仕上げました。

小さい虫になって覗き込んでいるような気持ち

こちらの写真は極端ですが、レンズに彼岸花をほとんどくっつけて奥にある花にピントを合わせてみました。

よくわからないくらいの方が気になる

彼岸花の色は感じさせつつシルエットだけうっすら見える感じもなかなかいいかなと思ってます。

こちらは、一番ハイキー気味に仕上げた明るい作品。

最後はあえて森の方を主役に撮ってみました。花にピントを合わせてしまうとスカスカになっちゃう感じがしたので、遠くの木にピントを合わせています。そうすると赤色はボケるんで面積的には大きくなるんですね。

花がいっぱいに見せるにはこっちにピントの方が良い

今書いた文章は、自分で書いてみて今気づきましたが、なんだか日常生活や人間関係にも当てはまりそうなシチュエーションかもしれないと思いました。遠くから見るとキラキラ賑やかで楽しそうに見えるけど、近くに行ってよく見たら結構アラが見つかる。だから程よい距離感で、ぼんやり見守るくらいでちょうど良い。みたいな、そんな人間関係もありそうじゃ無いですかね。カメラだったら焦点は自分の都合でいくらでも変えられますから、人付き合いでもそんなふうにできたら、程よく誰ともうまくやっていけるのかもしれません。

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