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宗門最高の講会「安居」のゆくえ

以前の記事にも触れたとおり、浄土真宗本願寺派では、真宗学・仏教学に通じた者に与えられる学階が5段階あり、最高位の勧学(かんがく)と司教(しきょう)が宗門最高の講会「安居(あんご)」において講義を担当します。学階について詳しくはこちらをご覧ください。

その学階と「安居(あんご)」が今、揺れています。通常、安居の最終日に次年度の予定(本講師、副講者、典議、会読論題)が発表されますが、昨年(2023年)は詳細が発表されないままに終了しました。「新しい領解文」を発端にして次年度の予定が立たない異常事態です。

5ヵ月遅れて、2023年12月に本講師と会読論題の発表がありました。「勧学・司教有志の会」の勧学が候補者でしたが、公式発表されたのは勧学寮員の北塔晃陞勧学でした。副講者と典議は司教が担当しますが、そのほとんどが「勧学・司教有志の会」に名前を連ねているため、未発表のままでした。

中外日報の記事によると、以下のように記されています。

勧学寮は対応策として、今年3月29日にあった第51回常務委員会で「安居の副講者及び典議の任命対象を、現行の司教から、勧学・司教へと広げる」との議案を提出したが、委員から「なぜ勧学にまで広げるのか・司教の育成や研鑽の機会を奪うことになる」などの反対意見が多かったため、取り下げた経緯がある。

中外日報2024年7月17日号

勧学寮は、「新しい領解文」に異義を唱える「勧学・司教有志の会」を指名しない意向です。その結果、勧学寮は新しい司教をつくることを進め、司教請求論文は通常1年間かけて審査するのですがそれを約2カ月で時短審査し、行信教校の天岸浄圓氏と山本摂叡氏が司教となり、安居の副講者と典議を担当すると発表されました。

「新しい領解文」をめぐり意見が対立していますが、それに対して浅田寮頭は「勧学・司教有志の会が主張する内容は『教義に違する』とは言えません」といい、その理由を以下のように答えています。

勧学・司教有志の会の主張の中心は従来の約生的観点から批判しており、視点が衆生に置かれた主張というだけで、教義の上から言えば異なった意見を述べているわけではありません。ただ新しい「領解文」は約仏観点を重視しているため相容れないと考えられます。これは教学的に義の立て方が違うと表現できます。したがって、有志の会の主張は教義に違するとは言えないと回答します。

第323回定期宗会にて大田勧学寮員代読の説明より

「新しい領解文」に関しては相容れないとしても、それとは切り離して安居を考えることはできなかったのでしょうか。今回は異例のカタチで開催となりますが、最終日に発表する来年の予定が決まっているとは思えません。改めて「勧学・司教有志の会」と話し合い、最善策を見つけて欲しいと願っています。


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