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オスグッド・シュラッター病について

はじめまして!

千葉県内の整形クリニックで理学療法士

都内大学バスケットボール部でトレーナー活動をしている

岡野良介と申します。

私は、バスケットボールが好きで、バスケットボールに関わりたいと思い、現在までスポーツ現場で活動をしてきました。

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微力ではありますが、スポーツ指導者や選手の方々にとって為になる情報をお伝えできればと思います!!

今回は成長期で起こりやすい、オスグッドについてお伝えします。

オスグッド・シュラッター病(以下|オスグッド)は成長期のスポーツ障害で、とても頻度が高い怪我の一つです。

オスグッドは痛みがあっても軽視されることが多いため、痛みを我慢しながらプレーすることにより重症化してしまうケースもみられます。

症状が重症化することで大事な試合に痛みを抱えながら出場する、もしくは試合に出場できないことも少なくありません。

バスケットでは、ディフェンスやジャンプなど膝を曲げた姿勢をとることが多いため、膝が痛いままだとプレーに支障をきたすことが考えられます。


今回は、オスグッドについて選手・指導者の皆様に知っていただき、日々の予防の理解を深めていただければと思います。

●オスグッドとは

オスグッド・シュラッター 病とは

10〜15歳ごろにおいて発症する、スネの骨端症(骨の端の部分の障害)です。

大腿四頭筋という、ふともも前面の大きな筋肉の使いすぎによって発症するもので、成長期が終わることで症状は消失しますが、長期に及ぶ場合は改善までに2年程度の期間を要します。痛みが強い場合はスポーツ活動に影響を及ぼすなど、症状の重さは人それぞれです。

●なぜオスグッドになるか?

小学生高学年から中学生の時期は骨の発育が早く、筋肉の柔軟性が追いつかず、筋肉が緊張する状態が続きます。成長期の骨は靭帯や腱よりも脆弱であるため、大きい筋肉がついている部分の骨は筋肉の強さに負けてしまいます。

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また、身体の骨-筋肉のアンバランスにより動かしづらさやぎこちなさ、姿勢の変化が現れます。この状態で、スポーツによる過剰な負荷が膝に加わりオスグッドへと進行していきます。
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●オスグッドになりやすい選手の特徴

①時期

第2次成長期である11〜14歳の時期に好発します。下記の図は成長速度曲線といい、成長の度合いを表したものです。Phase2が第2次成長期に当たります。また、「phase2での成長速度が早ければオスグッドになりやすいとの報告」もあり、成長期に急に身長が伸びた選手は注意が必要です。

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②柔軟性

大腿四頭筋(前もも)の硬さはオスグッドのリスクを高めてしまいます。柔軟性を維持しましょう。

大腿四頭筋(前もも)の柔軟性テスト

方法:①お尻が動かないように抑える

   ②反対の手で足首を持ち膝を曲げる

   ③前面に伸長感が出たら計測

   ④踵とお尻の距離を測る   

5cm以上(だいたい指4本分以上)で硬いと判断します!!

③姿勢

では大腿四頭筋が硬くなる原因は何でしょうか。

その原因が普段の姿勢やプレー中のフォームに問題がある場合が多いです。体幹筋が弱かったり、背中・股関節が硬いことによって、大腿四頭筋(前もも)に負担をかけてしまいます。

そのためオスグッドの予防では姿勢(フォーム)の改善が必要になります。

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オスグッドになりやすい人まとめ

①急に身長が伸びた ②前ももが硬い ③姿勢(フォーム)が悪い

●運動は中止すべき?

▫︎下記の部位の圧痛や膨隆などの症状が強い ▫︎安静時痛(何もしなくても痛い)がある  ▫︎膝がしっかりと曲がらない ▫︎スポーツによって症状が悪化する

以上の項目が一つでもある場合はスポーツ活動を中止し、医療機関に受診しましょう。

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(著書:平野篤・芋生祥之 スポーツ外傷・障害の理学診断 理学療法ガイドーOsgood -Schlatter病.文光堂

強い圧痛:筋肉が骨を剥がそうとしている状態。

安静時痛:筋肉や骨に炎症が起きている状態。

膝がしっかり曲がらない:お皿周りの筋肉や靭帯に柔軟性がなくなった状態。


この状態が続いてしまうと、

「骨が剥がれてしまう」

「筋肉が萎縮(弱くなる)してしまう」

「かばって動いていたため、他部位に痛みが出る」

などの状態が予測されます。上記の内容が出たら無理をせず医療機関に受診をしましょう。

基本的に予後は良好であるため、安静時痛がなく、痛みがスポーツ活動に支障をきたさない範囲の痛みであれば運動をしてOKです。


以上がオスグッドの、診方についてです。

●まとめ

・オスグッドは11-14歳に多い

・重症化すると治るまで時間かかる

・原因は大腿四頭筋(前もも)の筋肉の硬さと不良姿勢

・中止基準では医療機関を受診


オスグッドは、「ただの成長痛」と理解されがちですが、必ず原因があります。

原因がわかれば、予防をすることができる怪我であると考えています。

成長期の子供たちが痛みなくプレーし、痛みによって満足にスポーツができなくなることがないように、参考にしていただけたら幸いです。

次回は予防について書いていきたいと思います。


参考文献

論文:臨床スポーツ医学2014 vol.31 成長期の膝痛に対する理学療法の考え方      

論文 渡邊裕之 成長速度曲線による発育特性とオスグッド・シュラッター病発症との関係ー中学サッカー選手に対する縦断的研究 .日本発育発達学会     

著書:平野篤・芋生祥之 スポーツ外傷・障害の理学診断 理学療法ガイドーOsgood -Schlatter病.文光堂


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