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オスグッドの予防ー前ももを柔らかくする方法—

前回の話で、オスグッドの原因は大腿四頭筋(前もも)の硬さ不良姿勢であることがわかりました。


今回は、大腿四頭筋の柔軟性を改善するためのポイントをお伝えし、日々のケアや予防トレーニングのメニューとして参考にしていただければと思います。

前回のおさらいです。




大腿四頭筋(前もも)の柔軟性テスト

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方法:①お尻が動かないように抑える

   ②反対の手で足首を持ち膝を曲げる

   ③前面に伸長感が出たら計測

   ④踵とお尻の距離を測る




踵とお尻の距離が5cm以上(だいたい指4本分以上)離れていたらオスグッド発症の注意が必要です。

今回は大腿四頭筋の柔軟性の改善方法をお伝えします!!



大腿四頭筋とは

大腿四頭筋は骨盤からスネについている大きな筋肉です。


この筋肉は、大腿直筋-中間広筋-外側広筋-内側広筋の4つにわかれ、それぞれ膝蓋骨(お皿)に集まり、膝蓋腱となってオスグッドの症状となる脛骨粗面(スネ)につきます。


この中でもオスグッドの原因となりやすい筋肉は大腿直筋と外側広筋になります。


オスグッドの原因となりやすい大腿直筋とは

大腿直筋は骨盤からスネまでつく大きい筋肉です。



この筋肉は股関節・膝関節を跨いでいるため「股関節を曲げる」「膝を伸ばす」の二つに作用します。この二つの関節を跨ぎ、二つの作用を持つ筋肉を二関節筋と言います。

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二関節筋はとても大きいため「関節を強く動かすことに優れています」。

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成長期となり急激に骨・身体が重くなった状態では、関節を強く動かす二関節筋が働きやすくなってしまいます。



二関節筋である大腿直筋が過剰に働き、オスグッドへと進行していきます。



大腿直筋のストレッチ方法

前述した通り、大腿四頭筋は二関節筋であり「股関節を曲げる」「膝を伸ばす」の二つに作用します。そのため、ストレッチは


「①股関節を後ろに伸ばす」

「②膝を曲げながら、股関節を後ろに伸ばす」

二つのことを行います。


また、オスグッドになってしまい

「③膝を曲げるのが痛い場合」は以下の方法を試してください。


① 股関節を後ろに伸ばす 

片膝立ち姿勢で前方の足に体重をかけるように、骨盤を前方に移動させます。その際に腰が反りすぎないよう注意をしながら、後ろ足の付け根(鼠径部)を伸ばします。



②膝を曲げながら、股関節を後ろに伸ばす 

片膝立ち姿勢で後ろの足の足首の部分を把持します。膝を曲げながら骨盤を前方に移動させ、股関節を後ろに伸ばします。足首をつかめない場合は、タオルを足首にかけて膝を曲げるようにしてみてください。



③膝を曲げるのが痛い場合 

横向きで寝た状態、下側の足を前方に曲げます。上方の足首を把持し、膝を痛くなる手前まで曲げます。この状態から、股関節を後ろに伸ばしていきます。



大腿直筋の動きを悪くする外側広筋


大腿直筋の外側には外側広筋が存在します。また、外側広筋の上を腸脛靭帯という大きな靭帯が走行します。

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この二つの靭帯・筋肉は、大腿直筋と並走し膝の外側への動きを安定させるため、スポーツによって硬くなりやすい筋肉です。



大腿直筋と並走しているため外側広筋-腸脛靭帯が硬くなると、大腿直筋の動きを悪くしてしまうケースが非常に多いです。


そのため、大腿直筋の柔軟性改善には外側広筋-腸脛靭帯の柔軟性も必要です。大腿直筋のストレッチと同時に行なっていきましょう。



外側広筋のストレッチ方法

①膝外側のリリース(ほぐす)

②外側広筋のストレッチ 

片膝立ち姿勢で後ろの足の足首の部分を反対側の手で把持します。反対の手で股関節を内側に引っ張りながら膝関節を曲げ、骨盤を前方に移動させます。足首をつかめない場合は、タオルを足首にかけて膝を曲げるようにしてみてください。


ストレッチをして膝に痛みが出る場合は、痛みが出る手前で止めてストレッチをしましょう。



まとめ

①大腿直筋の硬さはオスグッドの原因となる

②大腿直筋は二関節筋であるため、股関節、膝関節を動かし伸ばすようにする  

③大腿直筋の柔軟性を改善するためには、外側広筋-腸脛靭帯の柔軟性も必要


今回は大腿四頭筋の柔軟性を改善するポイントをお話させていただきました。



しかし、大腿四頭筋の柔軟性を改善するだけでは、オスグッドを予防することは難しいと思います。



次回は、大腿四頭筋が硬くなる原因の姿勢やフォームについてお話をさせていただければと思います。

参考文献

論文:臨床スポーツ医学2014 vol.31. 成長期の膝痛に対する理学療法の考え方      

著書:整形外科リハビリテーション学会.整形外科運動療法ナビゲーション-下肢・体幹-

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