足首をひねった!これは骨折?捻挫?—骨折の現場判断について—
捻挫は
「相手の足を踏んでしまった」
「切り返す時にひねってしまった」
「ジャンプの着地に失敗した」
など受傷シーンは様々です。
これはステフィン・カリーが捻挫をしたシーンです。
捻挫は「足首をひねる」際に受傷しますが、足首の骨折も同様に「足首をひねる」ことで受傷し、
受傷シーンを見るだけでは捻挫なのか、骨折なのかを判断することはできません。
もし骨折であった場合、早急に処置をしなければ骨折部が悪化し、さらに治るのに時間がかかってしまいます。
最近ではW杯で篠山選手が母趾の骨折をし、復帰までに2ヶ月もの時間を要してしまっています。
骨折は治るのに時間がかかります。
さらなる悪化を防ぐために、骨折なのか?捻挫なのか?を判断する必要があります。
今回は、足首をひねった際に「骨折なのか?」「捻挫なのか?」を判断する基準をお伝えできればと思います。
◆捻挫と骨折の加わるストレスの違い
捻挫とは靭帯の損傷で、足首をひねってしまい靭帯が過剰に伸びてしまうことで損傷を起こします。
骨折は、骨に対してストレスがかかった際に生じます。
足首の骨折は
骨と骨がぶつかった結果生じる
圧迫(あっぱく)骨折
骨に対して一方向からストレスがかかった
屈曲(くっきょく)骨折
骨に対して二方向からストレスがかかった
剪断(せんだん)骨折
があります。
捻挫は靭帯が伸ばされて損傷し、
骨折は骨が圧迫や屈曲、剪断のストレスがかかり損傷されるということです。
骨折になるということは「強い外力が加わり損傷した」ということがわかります。
◆骨折が治る過程
骨折は基本的に体重をかけず、折れた骨がくっつく事を最優先させます。
「骨折の重症度が高い場合」や「骨折部が離れ修復期に骨が修復できないと判断された場合」は手術をすることもあります。
骨折が起こってしまったら、
まず患部を安静・保護し悪化をさせないことが重要です。
骨が修復された後、徐々に足首に負荷をかけリハビリテーションを行っていきます。
◆骨折を判断するバッファロールール
バッファロールール(Buffalo Rule)とは足首の捻挫をしたときに骨折の有無を判断するためのテストです。
このテストは骨折を見つけるのに優れているため、
「項目に当てはまったらほとんどの場合、骨折が確認できる」
といったテストです。
①足首を捻ってしまったら、まず変形の有無を確認します。
変形がある場合は、目視で骨折であることがわかるため患部は動かさず、安静にしましょう。
変形とは、「骨がまっすぐではなく曲がっている」「足首が過度に曲がっている」ことを指します。
明らかな変形の場合は救急車を要請しましょう。
②次に骨の圧痛(触って痛いか)を確認します。
確認する部位は外くるぶし、内くるぶし、小指、足の甲の内側です。
外くるぶし、内くるぶしの骨折は外くるぶし、内くるぶしから6cm上方までの圧痛を確認します。
小指の骨折はジョーンズ骨折と呼びます。
小指を末端から辿っていき小指の端に圧痛があるかを確認します。
足の甲の内側の骨折は舟状骨骨折と呼びます。
内くるぶしから下方に1〜2cm、前方に2〜3cm指を動かし
周辺に圧痛があるかを確認します。
これらの骨の評価を一連の流れで行っていきます。
骨折があった場合、強く押すと痛いため軽く触れる程度に触りましょう。
③ ①と②が当てはまらなかったら、その場で立ってもらい1人で4歩続けて歩けるかを確認します。
①〜③のどれかが当てはまるようであれば骨折の疑いがあります。
患部はなるべく体重をかけず安静にし、早急に病院へ受診しましょう。
※注意点としてこのテストに当てはまらなくとも、骨折である可能性はありますので「痛みが長引く」「腫れがなかなか引かない」場合は病院へ受診しましょう。
◆緊急性が高い骨折:救急車を呼んだ方が良いものは?
① 明らかな変形
足首をひねっただけでも、開放骨折や脱臼骨折と言われる重篤な骨折となることがあります。悪化をさせないため、早急に対応する必要があります。
② 痺れや脱力感が出ている
痺れや脱力感がある場合、神経や血管を損傷していることがあるため早急に対応する必要があります。
◆まとめ
・足首を捻ってしまった際は、まず骨折の有無を確認しましょう。
・骨折が疑われた場合、悪化を防ぐため安静にし、病院へ行きましょう。
・緊急性が高い骨折の場合は救急車を呼びましょう。
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参考文献
著書:整形外科リハビリテーション学会.整形外科運動療法ナビゲーション-下肢・体幹-
著書:スポーツ理学療法プラクティス 急性期治療とその技法
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