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アルバイト 解体屋さん 前編

https://note.com/ryotasun/n/n3e3b9c5a89eb

数々のアルバイトをしてきた亮太ですが、


その中でも1番稼げたアルバイト。解体屋さん。

閉店した居酒屋や、老朽したマンション、駅ビルのリフォーム。

現場は様々な場所に行きましたが、
どの現場も血反吐が出る程キツイ仕事でした。

白紙の履歴書

21歳の夏。

大学を辞めて、芸能の仕事も無く、毎日を不毛に過ごしていましたが、当たり前の様にお金が無くなります。

時間だけはあるのですがやる事がありません。

地元の図書館に行って、
本を朝から読み漁り、
夕方帰ってきて楽器を練習して寝る。
この生活が3ヶ月も続くといよいよニートの称号がもらえそうでした。

芸能の仕事で組んでいるバンドメンバーが解体屋さんで働いていて人手が足りないから来ないかと誘ってくれました。

彼とは同い年なのに、
天と地ほど生活スタイルが違いました。
真面目に朝から晩まで働く21歳と冷房を求め図書館で適当に本を読み日が暮れたら少し楽器を練習する21歳では社会人として月とすっぽん、輝いている月からすっぽん亮太に救いの光が降り注ぎました。

「解体屋事務所の電話番号メールで送ったよ、話しつけといたから連絡してね」

すぐに電話をしました。

電話はすぐにつながり、事務の女性と話その後、親方さんに電話を代わり軽く面接のようなことを聞かれます。

なにせ皿洗いの面接も落ちるような亮太ですからここは慎重にお話をさせていただきました。 

はい、やる気あります!頑張ります。元気が取り柄です!ありがとうございます。

バンドメンバーからの紹介だし、
失礼があっちゃいけない気持ちも働いたのか、
元気よくしっかりと質疑応答に答えられて、
親方さんにも好印象を与えられた手応えを感じました。

「はい、わかりました。じゃあ明日から現場にきてもらうからね。それではFAXで履歴書を送ってもらって折り返し電話するのでよろしくお願いします」

やった!合格だ!

そして便利です。わざわざ履歴書を持っていかなくてもFAXで送って終わりなんて、最先端でした。

「では一度電話を切りますのでよろしくお願いします」

受話器を置いてすぐに履歴書を書き上げFAXを送ります。 

ピーーーガガピーーーーピーーーガガガ

FAXを無事先方に送り一安心。

この後は電話を待ちながら、仕事ができる喜びと紹介してくれたバンドメンバーに感謝の気持ちをメールしたり、作業着はないから汚れてもいい服を用意したりしました。

とにかく予定が入る事、仕事がある事はこんなにも嬉しいんだと心躍っていました。

はて?

しかし、FAX送った後、
折り返しの連絡をしますと親方さんは言っていたがかかってきません。 

ご飯でも食べに行ったか?急なお客さまが来たか?まさか、書類で落ちた!?

FAX送ってから30分経っても折り返しがない、まさか、、、

恐る恐る解体屋事務所に電話をかけます。

すぐに親方さんが出ました。

あの、、、FAX送ったんですけど。。。

白紙だよ!

明らかに怒っている声。

お前、裏表間違えてFAX送ってるよ!

あ!

白紙だから!折り返しかけれないだろ!この後予定あるのに待ってたよ!

すすす、すんまそーん!

電話を切ってすぐにもう一度FAXを送り直しました。先ほどとは逆の面を向けて。

瓦礫の山

白紙FAX野郎の亮太でもどうにか採用して頂き
初出勤です。

場所は駅から歩いて15分ほどのマンション。
5階建。

ジーパンにブーツ、ロングTシャツで現場に挑んだ亮太は場違いを実感します。

皆様、
作業着を着てヘルメットを被り口元には高性能なマスクをしています。

ちょっと裏山の草むしりでもするような格好の
亮太は明らかに浮いていました。

昨日大変失礼なFAXを送ってしまった親方さんからペラペラの不織布のマスクを一枚支給されて瓦礫まみれのマンションに入って行きます。

マンションの中は一体どこから壊せばいいのかわからないほど荒れていましたが、
職人さんたちは話し合いながらハンマーで壁などをぶち壊していました。

その壊した破片を拾い、麻の袋に詰めて外の4トントラックまで運ぶ。

その作業をただひたすら繰り返すのです。

壊すこと、解体する事はせずに、ゴミを外に持っていくだけの仕事です。

とにかく埃まみれになり、朝9時から夕方5時までゴミを運び続けてました。

日給8000円。

疲れた。お金を稼ぐのは大変です。



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