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あまりに個人的なMuse杯

Night Songs コンテスト
*Muse*

一人でも多くの人に届いてほしい個人的に好きな作品を紹介します。これらのミューズたちと出会えたことにびっくりでした。ただただ好きな作品たちです。出会えたことに感謝します。※掲載の順には意図はありません。

くだけた言葉遣いで失礼します。

1.光を待つひと
七屋糸さん

朗読して全文を読みました。神秘的で、ロマンティックな物語は音楽のように響き、美しい光景を広げていく。大作です。なぜだろう、この読後感、どこか懐かしく心地良い感覚です。

世の中にはたくさんの小説はあっても、「小説の世界に浸る」という体験をもたらしてくれる作品は限られているよね。その中で七屋さんの小説は、文章の中で脈打つ鼓動と息遣いを感じた。「ここ」にいるはずなのに、ぼくはこの物語の世界に中にいる。スペシャルな体験をありがとうございます。


2.彗星が見えなくなる前に
たなかともこ@みかんせい人さん

淀みなく二人の間に流れていたかけがえのない物語と想いが収斂された大切な言葉の数々を、このコンテストに送ってくださりありがとうございます。曲を流しながら、一言ひとこと、大事に読ませていただきました。

涙なしには読めない。言葉と記憶が一気にあふれだして、感情の堤防が崩壊したままこちらまで押し寄せてくる。何だろう。ともこさんは「整理できないまま投稿しました」って言っていたけれど、整理されてない方が(整えちゃうよりも)ずっといいと思った。そのまんま、ドン、と。受け取りたい言葉たち。

それから、最終日に投稿されたともこさんの「」という作品。これね、Twitterでコメントシェアできなかった。できないよ140字でなんて。いろんな想いがドバっと打ち寄せて、同時にぼくの中でもドババっと起き上がる。

いい作品と出会った時は、うまく感想がでない。そういうものだと思う。すばらしい作品をありがとうございます。


3.Mother’s love
verdeさん

乳白色の光に濡れた彗星の尾っぽ。星たちは無作為に飛んでいるようで、その実、宿命的な出会いに向かっている。その美しく仄白い軌道が見えた。短い文章だけれど、泣くには十分な質量だった*

泣いた。そう、泣いた。決して長い文章じゃない。でも、泣くには十分。ぼくにも妻がいて、妻の娘がいる。妻が義母のことを大好きだったということもある。この中に妻のぜんぶを見た。verdeさんの作品だけど、僕にとってとても個人的な体験だった。


4.星のかけらの子どもたち
オルカパブリッシングさん

物語が音楽と重なる瞬間、毛が逆立った。儚さは美しく、そして、普遍的でもある。雨の日に観るショートムービーのように、幾層もの感情と手触りが心に残る。

オルカさんってすごいの。物語メーカーなんだと思う。「メーカー(製造機)」なんて失礼だね。「作家」なのだと思う。この作品はMuse杯を告知した翌日届いた。「翌日」だよ?信じられる?内容を読むと、『彗星の尾っぽにつかまって』とリンクしているんだ。オルカさんにはミューズがたくさん舞い降りているんだと思う。コンテストのレベルをぐんっと上げてくださり、ありがとうございます。


5.きっと明日は
ハタモトさん

その写真には詩があった。物語が存在がした。悲哀、やさしさ、慈愛、儚さ、ぬくもり、フラジャイル、光。言葉で埋め尽くしても、言い表すことができない。ここには、詩がある。

ハタモトさんの写真には物語が息づいている。悲哀をこんなにあたたかく切り取ることができる?すごいよね。いつかお話してみたい人。


6.奇跡の子「雅-miyabi」
COCO_miyabi_new_eraさん

すごい。泣いちゃった。

びっくりしたよ。産まれたての赤ん坊が投稿された。この「雅」という名の子が産声を上げた時、『彗星の尾っぽにつかまって』がこの世界に流れていたと思おうと、一生の宝になるよね。それだけでロマンティックだし、そういう瞬間に立ち会えたことに心から感謝します。


7.揺らぐ、
ふらにーさん

読み進めながら物語の中に引き込まれ、胸がドキドキした。目に見えないものをつらまえ、言葉にならないものを感じ、そこにある漂うものをただ味わう。ミューズにはそんな力があるのかもしれない。

ドキドキしたなぁ。すごく力のある文章だよね。こういう文章を書ける人を尊敬する。最初から、最後まで、その甘やかな余韻までもドキドキさせちゃうんだ。「何が起こった」というわけではないんだよ。それが「力のある」最大の理由付けになるでしょう?

ぼくはふらにーさんのことを前から知っているからわかるのだけど、きっと本気を出してくれたんだ。こんなにうれしいことはない(確認してないけどね)。感謝の気持ちでいっぱいです。これからもずっと読みたい人。


8.Night Songs Muse〜8月最後の夜に
yuka imamura | 暮らしに愛を蒔く人さん

花たちのささやき、そのいのちのきらめきが星となり、尾をのばして鮮やかな輝き出す。花たちが鉱石のように光に満ち、色彩に萌える。生きるということをあらためて思い出す。

yukaさんと出会えてよかったなぁ。yukaさんの写真や、その選び方や、物語のつくり方。「美」との距離感やその見方に惹かれる。ずっと見ていたいし、この続きが見たい(続きなんてない)。そう思わせてくれる人。この作品だけでなく、いろんなクリエーションや振る舞いを拝見したいです。


9.交差点
湖嶋イテラさん

イテラさんの人生と『彗星の尾っぽにつかまって』が重なり合う。曲の中にご自身の物語を発見(思い返す)されるイテラさんの創作、そのアティチュードを含め敬服します。誰しもが、この曲から自分の物語を発掘できるのかもしれません。

イテラさんってすごい。ほとんどの人は『彗星の尾っぽにつかまって』からインスピレーションを受けて、新しい「何か」をつくるよね。でも、イテラさんは、あの曲の中に自分の人生を見つけるの。それができる人は、自分の人生を生きている人だよね(できない人が自分の人生を生きていないというのではなく)。そんなオリジナリティを言葉に、物語に昇華させるイテラさんを尊敬しています。


10.あなたが僕を忘れても
siv@xxxxさん

「きおく」と「ことば」でつなぐ意味の領域を超えた奇跡たちは、どこでなくなり、どこでよみがえるのだろう。それらの感情は一言ではあらわすことはできない。心を掴まれました*

sivさんの文章を読むたびに「筆力がある人だなぁ」と思っています。事象の描写だけでなく、心をていねいに描く。記憶がなくなることで、より記憶の価値があがる。それは感情と結びつき、行動ともリンクする。読み進めながら、主人公の心象と重なっていく感覚。sivさんの作品であり、彼(主人公)の物語であり、同時に「ぼく」の物語にもなっていく。


11.いつも見てるよ
Minminさん

すごい人を見つけた。

驚きでいうと一番かもしれない。こんな書き手の人がいたんだ。この作品、すごいよ。ぼくは何回も読んだ。Muse杯をやってよかった。端的にいうと、好きです。


12.あなたの木の葉に触れにゆきます
奥村 まほ(okumaho)さん

まほさんの短歌。「見える」と「見えない」が共存する世界。声に出しても楽しい。繊細で美しく儚い。木の葉が揺れることで「風」を感じるような歌たち。ぼくの木の葉にも触れてくれた。

まほさんの言葉が好き。エッセイや小説も好きだけれど、言葉を削ぎ落してエッセンシャルになった短歌がすごく好き。「見える世界」と「見えない世界」を同居させる。まほさんという「人」が見えるし、ファンタジックな「イメージ」が見える。だからリアリティがあるんだ。言葉が消えていく余韻、残響のような光景をいつまでも楽しんでいたい。


13.君に届け。無伴奏チェロ組曲
E.Vジュニアさん

すばらしい小説でした。長編として毎晩眠る前に読みたい。雄星と未結が星空を眺めた場所で、みんなで音楽会をしたいね*「彗星の尾っぽにつかまって」の。

この小説、大好きでした。テーマも、この世界の人たちの関係性も。たぶん、noteだからこの長さだったのだと思うんだけど、もっともっと長く、細やかに、緻密に、十分な余白を与えたものとして読んでみたい。120分の映画を4分のMVにした感じがあって。「ぜったい、もっと書きたい描写があるのに!」とか、一人でやきもきしながら読んでいました。すばらしい小説です。

この小説に出てくるヤルヴィホールで「noteと広沢タダシとMuseの音楽会」を開きたい。


14.おいてけぼり
ととさん

男女の小説。物語も、そこでのやりとりも、文体も。とにかく良いのである。それは本当に。読後感に、春の日向を感じる。文字数の関係で形容できない想いを一言に集約すると「この作品が好きだ」である。

ととさんの作品もはじめて拝見した。すごく好き。言葉選びも文体もぼくの好み。背筋がしゃきんとしたユーモアとだらしなさにうっとりする。←これは僕の最大の褒め言葉です。お気を悪くしないでください。


15.偽物のほうき星【連作短歌】
伊藤緑さん

美しさの裏側に、醜さの肉感に、無機質な質感に、くだらない感情に、軽さというかさぶたに、輝きが見える。すごいですよね、本当に。

伊藤緑さんの短歌。直接目で見た世界じゃなくて、一度鏡に映して世界を見る。「きれい」というのは主観にしか過ぎなくて、モノを言葉にして、別の感覚を呼び起こさせる。その実験的な言葉選びと、違和感のある響きに、異化が起こる。読み終えた後のぼくは、読みはじめる前のぼくとは違って見える。


16.永遠へのカウントダウン
涼雨 零音さん

それはまるで彗星の尾っぽのように。文章が削ぎ落されて、力強い言葉へと収斂されていく。シンプルになるほど強まっていく言葉。そこに言葉への信頼を感じる。愛の光景を感じる。体験する詩という物語。

この詩、大好きなんです。彗星の尾っぽのようなヴィジュアルもそうだけど、言葉の圧力が次第に高まっていく感覚がスペシャルで。質量を高めていくことができるのは、言葉の重さを普段から意識している方だからだと思います。小説も素敵でした。すばらしい作品をありがとうございます。


17.ランタンの灯が点る理由
千羽はる(Chiba Haru)さん

確かな筆力。美しい描写と涼やかな音は、灯の揺らぎと共に移ろいゆく。言葉と音楽がリンクする、物語と音楽が協奏する。立体的で鮮やかな作品です。

読み手を信じながら、確かな言葉選びで、響きとリズムをつくっていく。それは小説のようでありながら、詩のようでもあって。現実的な質感だけれど、夢のような感覚で。言葉によって光景が広がっていく、ワープする、そしてまた広がっていく。旅のような作品でした。すごい。


18.夏に遺す(私とあなたについて)
古越千鶴さん

音楽を奏で、写真を投影し、移ろい、ポエトリーリーディングで立体作品にしたいです*詩と物語があり、余白と余韻がある。もう一度、もう一度。

写真もいい、詩もいい。これをいつか朗読として立体的な形にしたい。音楽や照明で世界を拡張したい。このままでも十分素敵だけれど、そんな妄想を抱く作品。つまり、ぼくの中にミューズが舞い降りたという証。何度も読みたくなる。


19.失うことを受け入れること
fujita77さん

「不在」を受け入れて生きていく。「absence」は香織を構築する一部となり、その虚無を物語と想像が埋めていく。空白が人生を育てていく。そこに文学性を感じる。遠く離れた星の残響に心を震わせるように。

fujitaさんとは気が合うと勝手に思っている。この世界観が好き。夢と現実をテーマにしていることも、飲み物がキーになる存在として登場することも。今回、『彗星の尾っぽにつかまって』というテーマを一番遠くまで飛ばした人じゃないかな。でも、根底のところではちゃんとつながっているんだよね。その上品さが素敵。


20.あなたへ捧ぐ、I love you
百瀬七海さん

幾千万の愛の解釈を、綴って、紡いで、編んでいく。その一つひとつの工程にまた「愛」をのせて。それが彼女の生きる意味であり、残されたものが生きた証なのだろう。愛おしい、とても、とても。

百瀬七海さんは、『彗星の尾っぽにつかまって』の世界観と親和性が高いと思っていて。今回複数の作品を投稿してくれた。どれもロマンティックで、繊細で、光と意志を感じる。様々な形で現象を表現する。そのしなやかさとすこやかさは、言葉にせずともこちらに伝わってくる。「百瀬七海」という名前が生まれて12年目の日、特別な作品を届けてくれました。ありがとうございます。


***

好きな作品はまだまだあります。

それを書こうと思うと、全て書くことになってしまうので今回は20作品を紹介させていただきました。Muse杯に応募してくださったみなさまどうもありがとうございます。

【結果発表】


【Muse杯まとめマガジン】

運営メンバーの千ちゃんが全作品にコメントを添えて編んでくれたマガジンです。




「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。