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文章の磨き方 vol.5(ライターの価値を上げるのつづき)

このシリーズを書き続けていますが、読んでくださっている方はご存知の通り、ぼくの「文章の磨き方」はインスタントな方法ではありません。

どちらかというと「姿勢」や「考え方」、一つひとつの意識と行為を伴った「エチュード」や「鍛錬」のようなもの。「道」や「生き方」に近いものだと思っています。それをつらつらと言葉にしながら、自分でもあらためて「そうだな」と感じる。

こういう種類のこと(文章術のようなもの)を書くと「何を偉そうに」ということを言われたり、思われたりするでしょう。有料マガジンというのはとても便利で、届けたくない人には届かない仕組みになっています。マガジンをはじめて最もよかったことは、今まで言語化することを控えていた内容を言葉にすることで思考が整理されたことです。それは次のアイデアにつながり、もう一歩先にある問いを導き出します。最大の収穫はそこにあります。

同時に、「文章を磨くこと」は視力を高めてくれました。「視力」とは、遠くのものが見えたり、近くのものが見えたりするカメラとしての性能のことではなく。どこに焦点をあて、何を切り取るか、というレンズを向ける対象やそのエディットが細やかになっていくイメージです。同じ光景を目にしていても、受け取る内容が異なる。表現する力よりもずっと、吸収する力が豊かになっていくことがわかります。

その光景の描写、あるいはそこから広がるイメージを言葉にしていくこと。感じたこと、イメージしたこと、目の前にあるもの。形あるものから、形のないもの全てを言葉へ落とし込んでいく。全てはエディットとフィクションであり、自身のイメージへと近づけるために言葉をむしゃむしゃ食べて、表現を豊かにしておく。「正確に伝えること」と「クリエイティブな誤読」を使い分けながら。

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「繭が風を手に入れ、シルクとなった」 対話のこと、文章のこと、考えるということ。

「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。