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僕たちは、言葉でできている

言葉は、その人そのものだ。

思想、哲学、無意識、感受性、品性、美意識、人格、その全てが現れる。だから言葉に気を付けなければいけない。美意識は醸されるし、無意識は零れ落ちる。言葉に繊細であれ。

人と付き合うことは、その人の「言葉」と付き合うことと同じである。やさしく、つつましやかで、美しい言葉に心は潤う。気分に翳りが差したならば、その言葉から距離を置いた方が良い。貧しい言葉は、あらゆるものを奪っていく。ここで言う「貧しさ」は金銭的な意味でないことは言うまでもない。同時に、「語彙の量」でもない。本質的な意味は祈りのように、「行為」と「意味」を越えた向こう側にある。

言葉の力を知っている人は、慎重である。話す時も、聴く時も。その人の文章を読めば、言葉の奥にその人が見える。その人と話せば、信頼できるかさえわかる。その人の扱う言葉は、その人の生活であり、その人の人生だ。そこに敬意があるかどうかで、人生に対するアティテュードは大きく変わる。

生き方を豊かにすることは、言葉を豊かにすること。その言葉の響き、漂う香り、広がるイメージを大切にすること。言葉の豊かさは佇まいや気配、あるいは面影に本質が宿る。身体的な感覚を通して、そのことを理解しはじめてきた。知性と品性を磨くことは、言葉を磨くことだ。それは「生き方」を磨くことと同じ。美しい言葉を扱うことができる人は魅力的である。外見、年齢、職業、性別、国籍、あらゆる個人的な性質に関係なく、人を惹きつける。

「饒舌であれ」と言っているわけではない。思考の速度を高めて話すと、綻びが出る。饒舌であるよりも、慎重であれ。一つのミスで、信用を失うことがある。言葉にはあなたの全てが出るから。

言葉の交換は、手をつないだり、抱き合ったり、キスをしたりすることと似ている。思考の交換であり、感情の交換であり、感性の交換である。交換する相手を注意深く見極める必要がある。「交換」は、ある意味、「共鳴」であるから、宿る力が中間的な到達点へと向かう。濃度の異なる二つの液体、あるいは温度の異なるそれぞれを一つに混ぜ合わせるとどうなるかわかるだろう。

言葉に気を付けなさい。そして、言葉を愛しなさい。それがあなたを磨く方法であり、あなたを守る方法だから。これは僕自身に宛てた手紙だ。決して忘れはならない。




「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。