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文章のバラン   ス

真面目も過ぎると、肩が凝る。

立派な内容の時は、どこかくだらない表現で崩したい。くだらない内容の時は、レンチできゅっとボルトを締めたい。文章のバランスを考える。それは、書く側のつつましさと読む側への気遣いなのだと思う。

正しいことが整然と書かれていたり、高尚な格言が引用されていたりすると、口当たりがヘヴィになる。善良な受け取り手は、いわれのない負担を抱えてしまう。いつの間にか、肩が凝っている。

肩こりが悪化すると、自律神経に支障が出る。場合によっては鬱を引き起こし、さらには狭心症や心筋梗塞を誘発する。過ぎた真面目は、受け手の寿命を鉋で削る。と、ここまで書けば、くだらない。

一方、くだらない内容の時は、格調高く仕上げることで“申し訳なさ”を埋め合わせる。というのは建前的な理由で、本当はくだらないことに誠実な態度は“くだらなさ”に磨きをかけている。安定した基盤と要が、バカバカしさに自由を与える。

いい加減がいい。それは、“だらしない”という意味ではなく、“いい塩梅”の意味の方。押しつけがましくなく、いつの間にか自分ごととして読んでいる。あらゆる悲哀にも、くすっと笑える余裕を。厳格な中にも、すっとこどっこいを宿して。

そういう文章を、わたしは書きたいのである。


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