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〈ダイアログ〉と〈ギフト〉

ルノワールが描いたような空が広がる。

確か彼は画家になる前、磁器の絵付け職人として暮らしていた。彼の絵画に満ちた淡い光たちは、白磁に色を重ねた色彩の面影を感じさせる。十年ほど前、ぼくの住んでいる街にルノワールの個展が訪れた。そこで体感した感覚と記憶を頼りに書いているので、それが正確な情報かどうかはわからない。

何が言いたいのかというと、思わぬ経験がその人の個性になる可能性があるということ。スティーブ・ジョブスは「Connecting the Dots」と言った。あまりにも有名な「点と点をつなげる」ということば。

人生には無駄はない。ただ、忘れてはいけないことは「つなげるのは自分」ということ。目の前の出会いも、今自分が情熱を注いでいるものも、失敗だと思ったその経験も。考え方次第で、強みにもなれば、個性にもなる。成功体験は自信になるし、失敗や辛い体験がその人の芯の強さになる。そう、だから人生というのは捨てるところがない。

〈ダイアログ〉と〈ギフト〉

「ことば」を磨くことは、「生き方」を磨くこと。それは、身体から切り離したことばだけではなく、より根源的な領域として、「声」を磨いていきたい。身体を通して、「ことば」を磨く。

あらゆる行為は〈対話〉を通して。あらゆるメッセージは、誰かへの〈ギフト〉になり得る余白を残して。「声」や「ことば」が贈り物になる世界を追求したい。

〈ダイアログ〉をデザインする。それは、わたしとあなたの対話だけでなく、対話の生まれる「場」をもしつらえる。共感と想像。発想と創造。それらが掛け合わされる空気の研究。

「ダイアログ・デザイン」を体系化し、ことばをギフトへと育む。忍耐強く、何度でも挑戦したい。その一日一日が、その一瞬一瞬が、ぼくのエチュードになる。

今までがらくただと思っていたものでも、光の当て方によってそれは宝石になる。それは体験のリメイクであり、点と点を物語で結ぶ行為。忘れてはならない。「つなげるのは自分」であるということを。

〈人生で大切にしている考え〉

日々是好日

良い日も悪い日も全てが佳き日である。晴れた日には太陽の慈しみを、雨の日には雨の愛おしさを、それぞれ味わえる感覚を大切にしたい。ポジとネガの両方に、同じ価値を見出し、大切に扱っていきたい。それを可視化すると、太極図のように陰陽が同居しているイメージになる。

Art de Vivre

「暮らしの芸術」とも「生活の技法」とも訳すことができる。日常に自然と芸術が融け込んでいる。ポエティックな佇まい。それは、プロダクトであり、目に見えない空気。そういうものを大事にしたい。

「etude(エチュード)」とは、音楽では〈練習曲〉、絵画では〈下絵〉という意味。

何ということはない。

「これを成し遂げる」というものはないけれど、この一年は、ことば、声、対話、ギフトによって、生き方のエチュードを重ねていきたい。

あの日、ルノワールの絵画を前にした時のこころ揺さぶられた体験は、今でも身体が覚えている。空の青にひかる雲の白を見た時、ぼくの身体の何かと接続し、記憶が想起する。点と点がつながる。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。