見出し画像

千原さんと話した夜

昨夜、対話パーティは記念すべき100回目を迎えた。

ゲストは、アートディレクターの千原徹也さん。わたしの尊敬する人。千原さんの考え方やことばが大好きで、お話を聴いて、あらためて「好きだなぁ」と思った。やさしくて、芯のあることば。夢を実現してきた力が、ことばに重量を与える。少しでも『これはデザインではない』を手に取る人が増えてくれるとうれしい。

対話パーティの中で、千原さんに「アイデア、プレゼンテーション、空気づくり」の三点を軸にお話を伺った。内容は、聴いてくれた人だけの秘密。ただ、一つだけ紹介すると「千原さんの対談は、どうして特別なものになるのでしょう?」という問いの答え。

千原さんがトークショーをすると、不思議と対談した相手はかがやく。最初は相手が魅力的だからだと思っていたが(もちろん魅力的ではあるのだが)、何度も見ているうちに気付いた。千原さんが相手の魅力を引き出しているのだ。そこには、学ぶべき要素がたくさん埋蔵されている。ダイアログ・デザイナー(対話をデザインする人)として、どうしても訊きたいことだった。

「できるだけ、テーマに沿わないように話すことを試みる」と千原さんは答えた。問いに対する答えというのは、だいたいが皆似通っていて。おおよそ同じ答えに到達してしまう。それだと、おもしろくないし、自分である意味がない。だから、「いかに脱線するか、予定調和にならないか」を考える。

それはきっと、対談相手と一緒に新しい答えを探す旅のようなものなのだと思う。千原さんのその姿勢に影響を受け、新しい化学変化が生まれる。思いもよらない一歩を踏み出すと、思いもよらない答えに到達する。千原さんは、そうやって対話を楽しんでいる。

「そうは言っても、千原さんだからこそ相手が話したくなる、ということもありますよね。相手との関係性を築いた上での話だと思うのです。そこには何があるのでしょう?」と質問を重ねた。すると、千原さんは「うん、それはわからない」と答えた。

うん、わからない。だから知りたい。当然、答えは出てこない。それをわかった上で質問した。千原さんにも、聴いてくれている人にも一緒に考えてほしかったから。結局、それは技術論ではなく、「千原徹也」という人間力。“自分らしさ”の追求にあるのではないだろうか。

「いかに現場で、自分らしくいられるか」

それは、現場でも、創作でも、人生でも。ことばにすると簡単だけれど、とてもタフな生き方。

さて、対話パーティは次回から101回目に入る。TwitterのSpacesだけでなく、オンライン、オフライン関わらず、たくさんの人と対話を重ねている。もっと、もっと、精力的に対話の「場」をデザインしてゆきたい。

テーマを決めて、あえてそこから離れてゆく。そこでの対話が、スペシャルな体験になるよう心がけて。千原さんと対話できたからこそ、これをわたしのライフワークにしてゆきたい。

このタイミングで、大好きな千原さんにお話をお伺いできてよかった。うれしかったし、とても楽しかった。千原さんと対話すると、毎回こころとからだが軽くなる。わたしも、誰かにそう思ってもらえるような存在であることができたら。これほど、喜ばしいことはない。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。