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批評と品性

自分の所有する刃物の切れ味をプレゼンしたいがためのレビューというのは品がない。

うまく切ることだけが目的で、はじめから対象への敬意がない。そこには「好き」とか「嫌い」とか何もなくて、自己顕示のための“踏み台”として利用しているだけだ。敬意を抱かず、責任も負わず、土台だけ借りてきてオリジナリティを見せつけようというこころ積もりが気に入らない。

レビューというのはおそろしい。わたしはそう思う。それは、受ける側の「脊髄反射で書き殴られる可能性」だけではない。自分が書く側の立場として、おそろしいのだ。対象に敬意を抱くことは容易ではない。そして、批評に対して責任を負うこともまた容易ではない。ことばにした途端、そこに責任が生まれる。「書く」には覚悟が必要だ。そう思うと、おそろしくて筆が重たくなる。

そこに“想い”や“覚悟”という前提がなければ、いくら雄弁に語っていても、自己顕示欲を満たすためのうすら寒いパフォーマンスであることが見抜かれてしまう。品のなさが浮き彫りになってしまう。レビューはおそろしい。

だからこそ、覚悟を決めた人は美しく映る。それは、内容以前に“前提”に対して誠実であるから。そうありたいと思うのです。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。