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ふらつき症状あり!?薬学的考察による副作用の発見

いつもありがとうございます!
山口竜太です。

薬剤師、ノンテクエヴァンジェリスト、イベンター、一児のパパなどしてます。
肩書きはメディカルアーティストです。
唯一無二の肩書きで、世界を変えたいとか言っています。

今日紹介する症例は「ふらつき」です。
高齢者に多い症例で、さらには危険性も高い。

こちらがその危険性をとても丁寧に示しておられるので提示しておきます!

実際、私も「転倒リスクがあるので、この薬をやめましょう!(続けましょう!)」という提案をします。

本症例は「やめましょう!」でふらつきによる転倒リスクを軽減できたものです。

ではいってみましょう!


基本情報

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書き忘れたけど、認知症もある方。
とても穏やかで、私がこの方のところにいくといつも「お疲れさまぁ。何もお出しするものないけど。気をつけて帰ってね。」と言ってくれる方。

そんな方について、看護師から「ふらつきがある」と報告があり。
はてさてどうしたものか?
チームで検討を始めました。


バイタルサインは安定

ふらつきの報告があり、医師はまずバイタルサイン(血圧など)を確認。
結果はどれも良好。大きな問題はない。

こういう場合、よく行われる治療は「眩暈止め」の薬剤の投与。
汎用される薬剤の1つだ。

だが私はそこで待ったをかける。

気になることがあるからだ。


バイタルサインではわからないこと

データ上は問題ないが、気になることがあった。

Kさんの生活習慣だ。

生活習慣が変わっていることを、私は知っていた。
それが原因ではないか?

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そう、車いす歩行の方だが、リハビリを始めていた。
これまでしていなかったことをするようになって、生活習慣が変わった。

そのため、今まで気にならなかった、また問題にならなかった事柄が、問題として浮き彫りになってきた。

その可能性があったのだ。


データだけでなく、生活をみる

医師「血圧も異常ないし、一度やめてみますか。」
山口「了解しました。」

この可能性を医師に伝え、「それなら」と一度アムロジピン錠を中止してみることになった。

数日後、Kさんの体調を確認しにいく。

山口「Kさん、最近はふらつきどうですか?」
Kさん「そういやまったくないわね。全然平気よ ^^」
山口「そうなんですね!よかったですね ^^」

なんと!本当にふらつきがなくなっていたのだ!

ふらつきがなくなることで、転倒リスクも軽減できるし、リハビリにもどんどん参加できる。
さらには、「眩暈止め」も飲まなくとよくなったし、薬も1つ減った。

素晴らしい!

ただ、一点だけ確認しないといけないことがある。
血圧の管理だ。

山口「Kさんの血圧はどうですか?」
看護師「上は130~140、下は90ぐらいでコントロールできてます。」
山口「アムロジピン(降圧薬)中止のままで問題なさそうですね。」

そもそも、この方がアムロジピンを服用していたのは、血圧が高かったからだ。
血圧が高いと、血管に負担がかかり、脳などの血管にダメージが加わることで、重大な問題に繋がる可能性がある。

アムロジピンを止めることで、血圧が上昇してしまっては困るのだ。

血圧を確認したところ、大きく上昇はなく、問題のない値で落ち着いている。
これなら、血管イベントの危険性も低く、大丈夫だろう。

これにより、Kさんはふらつきもなくなり、薬も減らすことができた。


生活をみる・薬学的考察をする

データだけではわからなかった、生活習慣の変化。
生活習慣をみる視点。

アムロジピンは血圧を下げる薬だが、その本質は筋肉の緊張をほぐすこと。
薬学的考察の視点。

薬剤師とは薬の専門家だ。
しかし、薬の専門家は薬剤師とは限らない。

薬剤師は、薬の専門家であり、医療者としてその方の生活もみる。

その両方の視点があったことで、解決できた症例であった。

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