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新潟県の燕三条が取り組むファクトリーツーリズム

前回の投稿から4ヶ月が経ってしまったが、2024年5月末に新潟県燕市から香川県琴平町に引っ越しをしたので、これを機に約2年住んだ燕三条の魅力についてまとめていこうと思います。

燕三条ってどんな地域?

まずは燕三条の前提情報からご説明できればと思います。燕三条というエリアは、県央地域という、新潟県の真ん中に位置します。新潟市と長岡市の間です。よく勘違いされるのですが、「燕三条市」ではなく、「燕市」と「三条市」が正しいです。なので、ここからは、燕市と三条市に分けて、紹介していきます。

◎燕市

・人口:76,340人(2024年4月末時点)
・面積:111 km²
・主な産業:洋食器や銅器
 ※東京オリンピックの選手村に使われたカトラリー。国内シェアは90%
・その他:背脂ラーメン

◎三条市

・人口:91,875人(2024年3月時点)
・面積:432 km²
・主な産業:包丁や工具などの金物工業
 ※スノーピークも三条市
・その他:カレーラーメン

10年前から続く「燕三条 工場の祭典」


近藤製作所

2013年から続く、工場を開放し、製造現場をそのままお客様に体感していただく工場見学のイベント「燕三条 工場の祭典」。全国のファクトリーツーリズムのはしりともいわれています。
もともとこのイベントは、製品の低価格化や流通の変化で需要が変化し、職人の後継者不足や閉業などを課題とし、これらの課題をどうにかしようと取り組んでいるイベントです。

来場者数はイベント期間中の3-4日間で多いときは56,000人にもなるそうです。このイベントをきっかけに、県外から職人になりたいという若者が地域外から訪れたり、工場を人に見せることにより、工場がきれいになったりして、様々な変化が起きています。
また、イベント以外にも通常の営業中も工場を開放する会社が少しづつ増えています。

日本でも少しづつ認められ、海外での評価も高まりつつあります。2022年にはドイツ・ベルリンで行われた世界三大デザイン賞のひとつ「Red Dot Design Award」の授賞式で、「燕三条 工場の祭典」が昨年開いた展覧会がグランプリに選ばれたりもしています。

燕三条のものづくりの歴史


燕市で200年続く玉川堂

燕三条のものづくりのルーツは和釘と言われています。農家が農作物を収穫できないときに、農家の副業として和釘の生産が始まったとされています。
江戸は火事が起きやすく、和釘の需要が高まったそうです。

和釘づくりから、三条は製品を深め、鍬や鉈などの農耕具、そして包丁などの刃物へと進化させていきました。燕は、製品の幅を広げていき、鍬や鋤などの農耕具を作るとともに、江戸時代後期には、間瀬銅山で銅の採掘が始まりました。そこから、煙管や矢立、花器などが製造され始めます。

洋釘が輸入されてからは、和釘の需要は一気に衰退しましたが、現在でも三条で作られる和釘は寺社仏閣などに使われています。

こうやって、燕と三条は時代に合わせて作るものを変えていき、様々なものを作って来ました。

燕三条のオープンファクトリーの魅力


煙管の作り方を教えてくれています

これまでたくさんの工場に連れて行っていただきました。
200年続く銅器の工場、包丁、爪切り、屏風、カトラリー、煙管、農耕具などいろんな工場を見てきました。実際に行って、感じたのは、下記のとおりです。

普段だと少し高いと感じるが、現場に行くことでモノの価値がわかる

燕三条の製品は、工場に行く前は「高いな」と感じることが多かったです。ですが、高いのは当然理由があり、手間暇かけて職人さんが手作業で作っているからです。
その現場を見たり、これまでの苦労の話を聞いたり、工夫しているところを聞くと、モノの値段を気にすることなく、単純にモノが欲しくなります。(多少は気にしますが笑)

職人さんのイメージが変わる

職人さんの以前までは、寡黙で硬いイメージでした。ですが、実際に話してみると、自分たちの技術に誇りを持っていて、話したくて仕方ない方も多かったです。(もちろん寡黙な方もいます)

海外の人向けの包丁の製作体験のときに、英語が喋れないから通訳経由で話すのではなく、自分で身振り手振りで伝えようとしている姿を見たときに、本当に感動しました。そこから凄くファンになったのを覚えています。

実際の工場の様子

玉川堂

鎚起銅器と呼ばれる手法で茶器やおちょこなどの生活雑貨を1つ1つ職人の手作業で作っている燕市にある銅器製造業です。

鎚起銅器とは、写真にあるように1枚の銅板を槌で叩きながら、打ち伸ばしたり、絞ったりして形をつくっていく銅器です。

工場見学に行くと、縦長の住居で奥から「カンッカン」と槌を打っている音が響きます。

諏訪田製作所

黒基調とした、おしゃれな佇まいの諏訪田製作所。ニッパー型の爪切りなどを約90年作り続けている。

工場には、カフェとショップも併設しており、ゆっくり時間を過ごすことができる。

庖丁工房タダフサ

鍛冶の町三条で約70年、様々な種類の包丁を制作しているタダフサ。
予約をすれば、工場見学も可能。

これからのファクトリーツーリズム

毎年秋に「燕三条 工場の祭典」が開催され、56,000人もの方が来訪しています。ですが、その時期にしか人が来ていないということでもあります。それでは、打ち上げ花火的でもっと一年中平均的に燕三条に訪れる人が増えるよう取り組んでいく必要があると考えています。

定期的にツアーや製作体験を行うことで、燕三条の魅力を発信できればと思っています。

あくまでも観光は手段、ツアーや体験を経て、ものづくりの世界に興味を持ってくれる人が増えたり、職人さんになりたいとか。そして、少し頑張って、いいモノを買ってくれる。そんな人が増えたらいいなと思ってます。

先日半年ぶりに工場に行ったときに、「あ、この感じ!」色々な話しを聞きながら、「やっぱかっこいいな」となりました。定期的に帰って訪れたい場所ですし、色んな人に行ってもらえるように発信をしていきたいと思います!

▼絶賛HP改修中ですが、こちらで燕三条の観光情報を発信していきます!

▼Instgramはこちら
@visittsubamesanjo

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