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【消費者インサイトとは?】現役マーケターが考える「定義・分析手法・事業への活かし方」に関して

【本記事の内容】
・そもそも「インサイト」とは何か?
・「インサイト」はどのように発見できるのか?
・「インサイト」を事業に結びつける方法

(本記事は約1万字のため、読み終わるまでに15分程度かかります)

今回は表題の通り、「インサイト」をテーマに日々の業務で感じている点や本で学んだ点を整理して書いていきたいと思います。そもそもこの内容を書こうと思った理由は、私自身「インサイトってなんだ?」という疑問を抱えていたというのが結構大きな理由です。

マーケターには何種類かのタイプがいるとは思いますが、大きく2種類に分けるとすると、以下のようにカテゴライズされるかと考えています。
1. 右脳を武器に消費者の心情を鋭く読み取り、彼ら彼女らに刺さる製品を出していく人
2. 左脳を武器に理論的に物事を1つずつ詰めていき大枠を捉えながら構造的にビジネスを組み立てていく人

私は上記の大別をした際に、圧倒的に"2"に当てはまる人間で、日頃の業務の中でも消費者の心情やインサイトを考えることは結構苦手だなと感じることがあります。だからこそ、改めて考えて整理をしていきたいと思い、インサイトにまつわる本を何冊か読んだうえで今回の内容をまとめていきます。

もちろんマーケターが100人いれば100通りの定義の仕方や分析の仕方などはあるとは思うので、1例として読んでいただけると幸いです。

そもそもインサイトとは何か?

インサイトを知る上でまずは定義付けをしっかり行う必要があると考えています。結構多くのビジネスマン、マーケターが誤ってインサイトを考えている事が多いのでこの点は明確に認識をして置く必要があると思います。
近年だと、インサイトという言葉が独り歩きして、とりあえずインサイトって言っておけばいいでしょという人も少なからずいるので、曖昧な&誤った認識を持たないようにしっかりと定義づけをしておきます。

私は、インサイトの定義を次のようにしています。

インサイト:消費者に態度変容/行動変容をもたらす心理的な隠れスイッチ

この定義は非常に端的に重要な点のみを表せたと感じていますが、ここで重要な要素2点をそれぞれ解説していきます。
1点目は「態度変容/行動変容をもたらす」という点です。
最終的に人の意識や行動を変えないものはインサイトではなく、ただのノイズや感情、既成事実、浅いニーズだったりすることがあります。極端な例を挙げれば、「多くの人が1日に3回の食事をしている」というのはインサイトではなく、誰もが知っている事象であり(もちろん3回食事をとらない人もいますが、通例として)それを用いても消費者の態度変容や行動変容は全く起きない事が分かるかと思います。このように最終的に態度や行動の変容をもたらすという点が重要な要素となっています。

次に、「心理的な隠れスイッチ」という点ですが、重要な観点として"人の行動には無意識が大きく関わっている"事が挙げられます。消費者の心情や心の奥の本音は目には見えない上に、時に消費者自身も認識していないこともあり、直接聞いても分からないという難しさがあります。例えば、あなたがのどが渇いたのでコンビニに行って水を買ってくるとします。コンビニから出てきたあなたにインタビュアーが走ってきて、
「なぜ今このお水を買ったんですか?」
「買ったとき何を考えていましたか?」
などと質問攻めにされても的を得た回答は出来ない事が往々にしてあるかと思います。
もちろん中には、「水は南アルプスの天然水しか飲まないので。」であったり、「水は一番安いのを買うのでPB品の最安値を買いました」等の回答をする方もいるとは思いますが、それは一部の人しか当てはまらない事で、大抵は後からそれっぽい理由を考えて答えるというのが多いのではと思います。
それは、購買を決めるときは無意識化で選択がされていることが多いからです。特に水などの、消費者の関心度が比較的低い商材に関しては多く発生すると思っています。
「インサイト」はこのような、人の無意識化にある本人さえも気づいていなかった視点の事を指しています。

インサイトの事例

ではここで、インサイトを捉えたブランドプロモーションによって売上が向上した例などを挙げながら、インサイトとは何かをもう少し理解できるようにしたいと思います。

事例①ファブリーズ

インサイトの話の中で必ずと言っていいほど事例として出てくるのが、ファブリーズの事例だと思います。そのため知っている方も多いとは思いますが、改めて分かりやすくインサイトを理解できる事例でもあると思うのでおさらいしていきます。

ファブリーズの事例での「捉えたインサイト」と「訴求した提供価値」をまとめると以下のようになります。

捉えたインサイト:「部屋に残ったニオイの原因は中に潜む菌だった」
訴求した提供価値:「99%の除菌で部屋ごと洗おう」

上記のインサイトは洗濯用洗剤のアリエールにも似たようなインサイト発掘の事例がございますが、まさに「消費者に態度変容/行動変容をもたらす心理的な隠れスイッチ」を捉えた訴求になっていると思います。

特に人の目には見えないもの、今回の事例で言うと「菌」が、現在の悩みの原因であったという切り口は、そうだったのか!という発見と、そしたら除菌しなくちゃ!という行動を促す力が働くと思います。

事例②リップモンスター

次の事例としては、化粧品カテゴリーからKATEのリップモンスターを紹介したいと思います。こちら若い女性や美容意識の高い方はご存知の製品かと思いますが、化粧品市場が落ち込んでいるコロナ渦に売り出して爆発的にヒットした製品となっています。

こちらの製品が捉えたインサイトと、訴求した提供価値は以下かと思います。

捉えたインサイト:「コロナ渦でマスク生活でもメイク(濃いリップ)をしたい、でも乾燥ですぐ取れちゃうし不便」
訴求した提供価値:「ジェル状被膜技術で長時間の色持ち」

この事例はコロナ渦でもメイクをしたいという女性の欲求をしっかりと捉えた上で、開発力でそれを実現させた点に事業として成長があるかと思っています。

コロナによって社会全体が大きく変化をして、消費者自身も大きく変化していく中で新たに生まれるインサイトは多くあると思うので、それらを上手く捉えたケースだと考えています。

インサイトを捉える重要性

次に、インサイトが何かについては1個目の話の中である程度理解ができたかと思いますが、それではなぜこのインサイトが重要なのかという点も話をしておくべきかと思います。

私自身はインサイトの重要性を以下の様に考えています。

「コモディティ化」に対抗する手段であり、消費者が心から買いたい!と思えるものを作る上での重要なカギ

成熟した市場においては、コモディティ化が進んでいくというのは経済の常だとは思いますが、他の製品との差別化を図る上であったり、消費者の購買意欲を爆発的に上げるカギを握っているのがインサイトになっていると思います。
なぜなら、一定程度の技術力がありどの会社も良いものを安価に作ることが出来るようになった日本などの成熟した国においては、市場内が似通ったもので溢れていってしまうからです。そこで他社製品ではなく自社製品を選んで購買をしてもらうにはインサイトをフックに自社製品だけの差別ポイント(PODやUSP)を作るように努力をしていく必要があると考えています。

なぜこれまで以上に重要なのか

そしてこのインサイトは過去と現在を比べると、重要性がより増していると私は考えています。そして今後将来に渡って、その重要性は増し続けていくと考えています。それはなぜか。大きく以下の2つの理由からそう考えています。

1. 市場全体が成熟していく事でコモディティ化が進むから
2. 新しい世代は「良いもの」ではなく「欲しいもの」を求めるから

1点目については、上記でも記載をしている点ですが、市場全体が成熟していく事で目に見えて分かるようなニーズがどんどん満たされるようになってきて、結果的に見えていないインサイトのようなものを満たさなければ、消費者が購買をしようと思えないモノになってしまうという事が起きています。

例えば、20世紀の後半などで言えば、戦後の経済成長の時代で、「洗濯板を使って洗うのではなく、もっと楽にできないか」であったり、「夏の時期も涼しく過ごすことが出来ないか」と言った分かりやすいニーズが顕在化していて、それらは基本的には技術革新/開発によって実現されるものだったと思います。(その結果として三種の神器や3C等と言われた「洗濯機」や「クーラー」が登場しましたよね)
ただ、今の日本社会は顕在化されたニーズはほとんど満たされていて、どこに生まれても一定程度の豊かな生活を送る事ができる社会になっていると思います。そして今後、新興国においても経済発展が進み人々が豊かになるにつれて同様の現象が起きていきます。

そして、2点目については、今の10代・20代の若い世代というのは、生まれてからモノに飢える事がなく常に満たされてた生活をしてきた世代であるという点が重要な点です。

ゆとり世代の終わりかけ、またさとり世代と言われるような今の若い世代は、生まれてからずっと充足された生活をしてきたことから、過去の世代に比べて物欲が弱いという話は聞いたことがあるかもしれません。
ただ良いものを作ればみんなが当たり前のように買っていた社会はどんどん終わりを迎えてきて、これからのメインターゲットとなっていく若い世代には「良いもの」ではなく、「欲しいもの」を提供していく事が必要になっていきます。そして「欲しいもの」を作っていく上では、「インサイト発掘」は欠かせないステップでもあるという点で重要さが増していると考えます。

「インサイト」はどのように発見できるのか?

ここまでの話で、インサイトとは何か、そしてインサイトの重要性についてはご理解頂けたと思いますが、実際にどのように分析していくのか、目には見えないものをどのように発見することができるのか、そのコツについて幾つか紹介したいと思います。

その前に、よくインサイトを掘るとのお題目で企業が行っている事として、以下のようなものがあると思います。

1. ネットアンケート
2. デプスインタビュー
3. デスクリサーチ

これらも手法として間違いではないと思いますが、ただそれを実施する事でインサイトに辿り着くことが出来るかというと不可能な上に、それぞれ気をつけるべき点があります。

気をつける必要があるのは、心理的スイッチであるインサイトが故の難しさがあるからです。それはつまり、人が恣意的に語らない奥底の感情であったり、気付いていないが故に語るノイズのようなものです。分析手法を説明する前に、このインサイトを発見するのに邪魔をする「タテマエ」を紹介したいと思います。

インサイト発見を邪魔するタテマエ

タテマエとは、「本音と建前」などと言う建前のことでありますが、これがなぜインサイトの発見に邪魔をするか。

冒頭でも記載をしましたが、人の行動には無意識が決定することが多いです。そのため購買理由は、"なんとなく"ということもしばしばあります。そんな時に、それを買った理由はなぜか?と聞かれたら、聞かれた身としては自分の事だから答えなきゃという気持ちが働くのか「それっぽい事」を語ってしまうものです。

私も業務の中で、消費者インタビューを実施する事がありますが、「シャンプーを購入する際に重要視している事」を伺った時の最初の回答と、「どういうシャンプーなら買いたいと思うか」という後半の質問で、大きく矛盾をしていることがあります。それはインタビューをされている側としては、様々質問されると、自分の考えを述べなくてはという気持ちが働いたり、話しながら専門家のような気分になって、自らの行動とは乖離したことを口にしてしまうからと考えています。何故なら、人が本音や自分で認識をしていない部分を話す時は本当かよりも妥当な答えかを優先するからです。

例えば、ダイエット関連グッズのインサイトを発掘する中で自分のスタイルに悩む若い女性をターゲットに消費者インタビューをしたとします。ターゲットの生活の中からヒントや手がかりを探ろうとして生活習慣やリズムなどを掘っていこうとしたものの、インタビューを受ける側からすると、「お菓子を暇さえあれば口にしてしまいます」や「朝起きたらなかなか起きれず活動できないので、布団の中でスマホをいじってしばらく過ごします」のような事は例え事実であったとしても、自分がそういう人間であると見られてしまうことは恥ずかしいと感じて答えずに、架空の話をしたり、少しそれっぽい答えをすることが多いと思います。

ではどうすればいいのか、次は具体的な分析方法に関して私が考えている点を記載していきます。

インサイトを分析する上での意識するべき点

それでは具体的なインサイトの見つけ方、分析する際の意識している点を書いていきたいと思います。もちろん、ここで記載することは多種多様な方法の中の例に過ぎないですが、少しでも参考になればと思います。

先ほど書いた、「ネットアンケート、インタビュー、デスクリサーチ」は手法としては間違いではないと記載をしました。ただタテマエには気を付ける必要があるとして、出てきた情報をそのまま鵜呑みにすることがいけないという留意点は分かっていただいたかなと思います。私が普段、インサイトを分析する際考えている点は以下の4点です。

1. 現状消費者はどのようなパーセプション(認識)を持っていて
2. どのようなモーメント(瞬間)に
3. 何をドライバー(きっかけ)に
4. どのような感情を抱くのか

私は、インサイトを具体化する上で上記のような整理をするように心がけています。その理由としては、「インサイトを、点で捉えてしまう事が最大の罠である」と考えているからです。インサイトとは、消費者が日常の連続の中で抱いている不和や不満、淀みのようなもの(ネガティブな感情の場合)、はたまた期待等(ポジティブな感情の場合)を指していると思います。その際に、それらを紐解いていく上でも丁寧にその文脈を理解する必要があると考えているので、上記のようなアプローチを取っています。

そのため、デプスインタビューの中でもただ話を聞くだけでは足りなく、背景から現状の行動、そしてどのような機会に、どのような感情を抱くのかというように関連づけながら一連の流れの中で捉えていく必要があると考えています。アンケートなどに関しても、ただ回答をそのまま受けるのではなく、本質的に何を抱えているかを分析するための材料として使いながら、例えば場面の絞り込みを行うためにアンケートを使うなどが出来るといいと思います。
→例:「洋服のニオイが気になる瞬間はいつか?」という質問項目に対して、洗濯物を干している時や、夕方の帰宅時などの回答が多いという事であれば、1回の洗濯でニオイが根本的に取れていないと悩む人はいるのかもしれない?という切り口でより深掘りをかけたり、夕方まで洗い立ての香りが継続してくれるという欲求が高いのかもしれない?などの点で深掘りをかけていく事が出来ます。

タテマエが邪魔しない分析方法/注意点

基本的には上記で説明をした前提を持ちつつ、インタビューやアンケートなどを活用していく事が出来るといいと考えていますが、他にもこちらから働きかけをすることなく、消費者の発信を「観察」することによって得られるインサイトもある考えています。

具体的な例を挙げると、
・タウンウォッチング
・ソーシャルリスニング
のようなものが当たります。聞きなれた言葉ではないかもしれないのですが、タウンウォッチングとは読んで字のごとく、「街や店頭で消費者の動きを観察することによって消費者がどのような行動をしているのかを見ること」を言います。
そして、ソーシャルリスニングとは、「TwitterやInstagramなどのSNSを中心としたアプリ上での消費者のツイートやコメントなどを見る事」を言います。

それぞれ第三者から質問をすることもないので、純粋に消費者の行動の表れとして受け取ることが出来るという意味で有益な情報ではあります。SNSについてもTwitterなどは匿名性が故に、普段は語りにくい心情や願望を吐露する場所として使用されることもありますしね。

ただ1つ注意点としては、「ノイズが多い」という点です。特にソーシャルリスニングですが、呟きは様々なものがあるので、量的質的な情報の精査は行なっていく必要があると思います。
1つの声として出ているものが今後の潮流になるものなのかという点は注意をして見ていく必要があるかと思います。

「インサイト」を事業に結びつける方法

では最後に、見つけたインサイトを事業に結びつける方法について説明していきます。
そもそもインサイトを発掘する理由としても「自身の事業やブランド、製品をより人々に魅力に感じてもらい、購買してもらったり、サービスを契約してもらうため」だと思います。そのためいくら良いインサイトを見つけたとしても、最終的にそれを消費者に価値に感じてもらうことが出来なければ非常にもったいないですよね。

ここでは2つのステップで説明をしたいと思います。まずは、「製品・サービスを作る過程」、次に「それらをプロモーションする過程」です。それぞれ、「インサイトを落とし込むこと」と「インサイトを伝えること」をいかに行なっていくかという点がポイントになっていきます。

1.製品・サービスを作る過程

初めに、「製品・サービスを作る過程」からです。ここに関してはシンプルですが、「見つけたインサイトに最適な提供価値(Value proposition)を見極め、製品に落とし込む」という点が重要だと考えます。

ターゲット消費者から見つけたインサイトに対して最適な提供価値を持った製品、サービスを作り出すことが、使い続けてもらう上で重要な条件となっているからです。
もちろん次で説明をするプロモーションによって、関心を抱かれて購買されるというステップも非常に重要ではありますが(昨今ではこちらばかり重要視されがちですが)、実際に使用した際に消費者が価値を認識せずに満足しなかった場合はリピートされることが無く、継続的に事業として成長することは無くなってしまいます。

そのため、アリエールの事例で言えば「徹底的な除菌力を武器にした製品を作る必要がある」し、リップモンスターであれば、「消費者がマスクをつけ外ししても色落ちしないと満足するレベルの製品を作る必要がある」というのは前提の達成されるべき条件だと思います。このように、疎かにされがちではあるものの、製品の提供価値をインサイトに対して研ぎ澄ます努力は非常に重要となっています。

2.プロモーションする過程

次に、作った製品をどのように消費者に伝え、理解してもらい、購買してもらうかという点を紹介していきます。

プロモーションに紐付けて購買に繋げていく上で重要と考える観点は、「消費者のレセプティビティを念頭に置きながら、インサイトに沿ってストーリーで訴求すること」だと考えています。

初めに冒頭の「レセプティビティ」とは聞きなれない言葉だとは思いますが、「Receptivity: 受容性」という英語のことで、消費者がある情報に対して得ようとする姿勢の強弱などを表しています。例えばダイエットを消費者が普段より意識するタイミングは露出が増えたり海に行く夏の少し前の季節などですよね。また、「少し贅沢なディナー」を想像するのは何曜日ですか?と問われると、「金曜日」と回答する人は結構多いのではないでしょうか。このように「年間の軸、1日の行動の軸、曜日の軸、、etc」様々な観点で捉えると、同じ物事に対しても私たちが興味を示す度合いはタイミングごとに常に変化をしています。

そのため、「消費者がその情報を受け取る度合いが高い状況で訴求をするべき」というのが前半のポイントになっています。

次に、そうは言ってもなかなか毎回毎回そんなタイミングよく訴求するのは難しいよというのも事実です。テレビCMなども基本的には家でテレビを見ている時に流れてきて、ビールや洗濯用洗剤、シャンプー、車など多種多様なものが流れてきますよね。レセプティビティは重要ではありつつも、必ずしもそのタイミングに出来るわけではないというのが実際のところです。そこでどのタイミングであろうがアセット自体を作成する際に重要だと考えるポイントが次の観点です。

「インサイトに沿ってストーリーで訴求すること」という点では、インサイトを分析する際に気をつけた4つの観点に沿って、CMなどの広告の中でも訴求をしていくことが重要だと考えています。おさらいのため再度4点を振り返っておくと、以下の4つの点です。

1. 現状消費者はどのようなパーセプション(認識)を持っていて
2. どのようなモーメント(瞬間)に
3. 何をドライバー(きっかけ)に
4. どのような感情を抱くのか

広告を持つ目的とは、「消費者に何かしらの態度変容をもたらせること」にあると思います。そうでなければ、ただお金をかけて広告を垂れ流しているだけで意味のない投資になってしまいます。そうすると、重要な点としては、「消費者の文脈に沿ったストーリーの中でインサイトをフックにニーズを喚起させ、行動変容を生むこと」にあります。

例えば、例として最近のファブリーズのCMを見ていただきたいと思います。

こちらを見て頂くと非常に明確に「誰に、何を」売りたいのかが分かるかと思います。
上で記載をしている、インサイトの深掘り4点に沿って見ていくと、以下のように整理することができます。

1. 現状消費者はどのようなパーセプション(認識)を持っていて→座ってトイレをしているのに、何故かトイレ中にニオイが残っている。
2. どのようなモーメント(瞬間)に→トイレに入った際に。
3. 何をドライバー(きっかけ)に→ニオイ(嗅覚)をきっかけに。→原因は菌
4. どのような感情を抱くのか→臭いというネガティヴな感情を抱く。

ファブリーズの例では上記の流れでCMが構成されており、CMを見た瞬間に消費者は「それ私もあるわ、、」と、自分自身も日常の中で同様の悩みを抱く瞬間を想起することが出来ます。そして今後そのような事が起きた際にはファブリーズを思い出し、店頭で見つけた際に購買してしまうといった流れになっています。

さらに、ファブリーズの例で着目するべき点が、「除菌ができる」とだけ訴求していない点です。これは、ブリッジングを行っていて、消費者に訴求をしても便益を感じてもらえないことはそれ単体だと意味を発揮しないということから、1.消費者はニオイを気にしている(という前提があった上で)2. ニオイの根源は菌にある!と伝え、3. 除菌を出来るのはうちのファブリーズです!と段階的に訴求をする事で消費者が納得をして購買するという流れが出来ています。

上記のように、1. 消費者がその情報に対しての感度が高まっているシチュエーション/タイミングで、2. 消費者が理解をしやすいストーリーや文脈で製品の訴求を行っていく事が重要になっていると考えます。

まとめ

ここまでインサイトについて、「定義・分析手法・事業への活かし方」を書いてきたわけですが、そもそもインサイトについて明確な定義や分析の仕方があるわけでもないですし、事業やブランドに活かす方法に関しては、消費者や時代の変化と共にHowが徐々に変化していくものではあるので、重要なこととしては常に社会の変化を敏感に察知しながら、本質的な部分を抽出して活かしていくというところかと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後も引き続きマーケティングに関する記事を書いていきたいと思いますので、もし良かったらフォローやいいね頂けると幸いです。

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