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【米国就職】就活に全てを捧げたMBA生活

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最近MBA在学中の方から現地就職の相談を受けることが多いのですが、正直卒業して半年経つとあんなに苦労した就活の記憶も薄れてきています。。今更ですが覚えているうちに何かしらの形でまとめてみようと思い筆を執ることにしました。少しでもMBA→現地就職を目指す人の参考になれば幸いです。

自己紹介:
日本の大学を出た後、総合商社に入社。9年間で事業会社管理→トレーディング→米国駐在→新規事業開発等を経験しました(典型的なジェネラリストコースです)。幼少期に米国東海岸に住んでいたこともあり、所謂帰国子女です。もともと商社での勤務、商社マンとしての生活に満足していたのですが、米国駐在時に米国でキャリアを積むことに憧れ、2020年2月からMBA受験の準備を開始。2021年8月から2023年5月までUC BerkeleyのMBAに私費・家族連れ(妻・子供1人)で通い、2023年8月からシアトルにてAmazonのFinance Managerとして勤務しています。

米国就職を主目的としてMBA留学したこともあり、MBA在学中はほとんどの時間を就職活動にあてました。本稿では私のMBA生活を4つの段階に分けて振り返りたいと思います。


①サマーインターン就活:日本就活編 (2021年5月-2021年9月)

少し私のMBA受験の話になってしまうのですが、私の場合2021年1月に米国MBAスクールに5校出願し、受かったのはUC Berkeleyのみでした(合格通知が来たのは2021年3月下旬)。そもそもUC Berkeley以外Interview Inviteすらこなかったこと、私が出願したスクールの中でUC Berkeleyが一番入るのが難しいといわれていたことから、「きっと無理だろう」と思っていた矢先に奇跡的に合格通知をいただくことができました。辛くて辛くてたまらなかったMBA受験に終止符を打ち、妻と心から喜びあったのも今思うとせいぜい1週間くらいのことだったんじゃないかなと思います。9年間勤めた商社で築き上げてきたキャリアと安定した生活を捨て、妻と当時3歳だった子供を連れてMBA留学することが現実となり、しばらく夜もなかなか寝れないくらいプレッシャーを感じるようになります。そのプレッシャーを少しでも和らげるため、米国就職を第一目標としていたものの、日本でもサマーインターン先を探すことにしました。

MBA界隈の方はよくご存じかと思うのですが、MBAに合格すると日本では留学開始前の5月くらいから外資系投資銀行・戦略コンサルの日本オフィスやVCから「壮行会」という名のもとの会社説明会(場合によっては選考会)が開催されます。5月-6月にかけてだったと思いますが、思い出せるだけで12社の壮行会に参加しました。そこから投資銀行2社と戦略コンサル2社の選考を受けることになり、留学が始まる前の6-7月くらいからInterviewが開始します。超当たり前の話なのですが、投資銀行や戦略コンサルに行こうと思ったらそれなりのバックグラウンド、コミットメントが必要なわけで、生半可な気持ちで受けて受かるようなものではありません。頭ではわかっているものの、当時は精神的に追い詰められていたため、準備も十分じゃないまま突撃し、これでもかというくらい派手に事故りました。ただ戦略コンサルのうち1社のみ、幸運にもそのファームが注力している分野が私のバックグラウンドや当時の興味関心とドンピシャにはまるところがあったため、7月から面接を始めて9月ごろに翌夏のインターンシップのオファーを取得することができました(以下、このファームのことをB社と呼ぶ)。MBA生活が始まって1か月くらい経ったころだったと思います。

②サマーインターン就活:米国コンサル編 (2021年9月―2022年1月)

米国MBA生の多くは入学後MBA1年目と2年目の間に行う翌年のサマーインターンシップの機会を得るために動き始めます。景気状況や企業にもよるのですが、大部分のMBA生向け採用はこのインターンシップを通じて行われるので、MBA生同士で各社のインターンシップの枠を必死に競い合います。業界によってサマーインターンシップのための選考時期は異なっており、投資銀行はサマーインターンシップ前年の12月に面接、戦略コンサルは1月に面接、そのほかテックや事業会社は基本2月から6月にかけて面接が行われます。

B社東京オフィスのサマーインターンシップのオファーを取得した私は、ここから本格的に米国就職に向けて動き出します。私の当時の目標は東京オフィスの選考を通じてかなり強いフィットを感じていたB社米国オフィスに就職することでした。したがって、2021年9月から戦略コンサルのサマーインターン就活の準備を開始しました。

まず着手したのはレジュメのアップデート(というよりは書き直し)からでした。MBA出願の際にもレジュメは提出しますが、MBA出願のレベルで求められるレジュメのクオリティと実際に米国就活で求められるレジュメのクオリティには大きなギャップがあります(前者の場合英文レジュメに慣れていない他の日本人受験生との競争ですが、後者の場合はネイティブと競うことになるため、求められるレベルも必然的に高くなる)。学校のキャリアセンターにいるコーチ(レジュメの添削、面接練習、キャリア相談まで行ってくれる)に合計20回以上添削してもらい、アメリカのマーケットでも戦えるレベルまで仕上げました。

レジュメを完成させると10月中旬くらいからネットワーキングを開始しました。コンサル米国オフィスの就職を狙う場合、サマーインターンの枠を獲得するだけでもネットワーキングは必須でした。お作法等はキャリアコーチに教えてもらい、各ファーム2-3名のコンサルタントとネットワーキングしました。第一志望だったB社米国オフィスに関しては5名以上の人とネットワーキングしたと記憶しています(合計30名ほど)。

11月くらいからキャリアコーチやクラスメイトとケース面接の対策も開始しました。ちなみにアメリカと日本のケース面接は大きく異なるので要注意です(アメリカのほうがより複雑で難しい、と思う)。ケース面接対策は大体20回-30回やれば十分と言われていたと思うのですが、私は35回以上行ったと思います。

そしてさらに同時並行で12月くらいから面接(ケース面接ではなく普通の面接)の対策も開始しました。キャリアコーチと15回は模擬面接をしたと思います。

米国コンサル就活の何が辛かったといえば、これらの準備をMBAの一番負荷がかかる最初の4か月でやらなくてはいけなかったことです。授業の準備やグループワーク、試験、学校のイベント、家族ケア等をしながら同時並行で上記就活準備をしなくてはいけなかったのは、少なくとも私にとってはかなり負荷でした(あとネットワーキングのときにコンサルタントの方と英語で賢そうにお話ししなくてはいけないのもストレスでした。今思うとコンサル全く向いてないw)。12月の冬休み中もクラスメイトと毎日ケース面接の対策を行っていたため、一切休むことなくずっと全力疾走していました。この時期に家族にもすごく迷惑をかけてしまったこと、今でも後悔しています。

さて、2022年1月になるとついにコンサルの面接が始まりました。私の場合9社にアプライし、B社を含む7社から面接の案内がきていました(これは同級生と比べてもかなり高い書類通過率だったと思います)。いろんなことを犠牲にしながらも、人一倍準備に時間をかけていたので、少なくとも1社くらいからはオファーをもらえるだろうと思っていました。 ただし現実はそんなに甘くありませんでした。7社中5社は一次面接で落とされ、B社を含む2社は最終面接で落とされました。当時コンサルは大量採用中だったので、コンサルを志望していた私のクラスメイトはおそらく私以外全員どこかしらからかオファーをもらっていたと思います。この時の心境を表す言葉は「絶望」以外になく、一緒にケース面接練習をしていたクラスメイトたちが無事オファーを取得し楽しそうに学生生活をエンジョイする中、私は失意のままMBA 2学期目を迎えます。

③サマーインターン就活:米国事業会社編 (2022年2月-2022年9月)

それまで基本的にコンサル就活に注力していたのですが、実はさかのぼること前年の11月?にAmazonだけはアプリケーションを提出していました。アプリケーションを提出したのも提出期限30分前に友達から「みんな出してるから出しなよ」と言われたからです。当時はテック就活に興味なく、軽い気持ちでアプリケーションを提出しました。実際2022年1月上旬に面接の案内がきていたのですが、コンサルの面接と被っていたため、一度辞退していました。ところが2022年の2月頭、再度Amazonから「明日面接の枠に空きが出たから受けないか?」と連絡がきました。ちなみにこの時はまだコンサル全滅のショックから立ち直れておらず、何なら自暴自棄になっていたので、対策なしで面接に突撃することになりました。どのくらい自暴自棄になっていたかというと、面接の冒頭に志望理由を聞かれた際、「because Amazon is one of the best companies in the world!」と超適当な回答をするくらい荒れてました(そしてその場が凍る)。ただ逆に目立ったのか何なのかわからないのですが、落とされはせず、waitlistになりました。

さて、2月中旬くらいになるとコンサル全滅のショックから多少立ち直ってきたので、戦略を立て直すことにしました。結局このときまだ戦略コンサルB社の米国オフィスに未練があり、秋にもう一度チャンスがあるとわかっていたので(インターンシップを経由しない採用枠)、そこでリベンジすることに決めました。リベンジを成功させるためにはB社米国オフィスから採用したいと思わせるような経験を積むことが大事だと考え、とりあえずずっと回答を待ってもらっていたB社東京オフィスのインターンシップオファーをアクセプトしました。ただ、夏休みが14週間ある中B社東京オフィスのインターンは4週間だけと決まっていたため、もう一つのインターンシップ先をアメリカで探すことにしました。

そこからとりあえず手あたり次第に米国の事業会社に応募し(本当にたくさん応募しました。思い出せないくらいです)、3月くらいから面接に呼ばれるようになりました。尚、このころ家族も私の就職活動に付き合うのに限界がきていたため、リフレッシュのため3月下旬にハワイに旅行にいきます。といっても私はハワイにスーツを持参し、家族がハワイを満喫する中、ホテルの部屋で面接を行っていました。ハワイに来てまで就職活動かあ、と思いつつも、ついにオファーが出始めます。ハワイ最終日にC社(テック)のストラテジー部門、ハワイから戻って数日後に今度はD社(製薬)のサプライチェーン部門からもオファーをもらいました。両社のオファーを比べた際に、C社ストラテジー部門でのインターンのほうがB社米国オフィスからは好意的にみられるだろう、ということでD社はすぐに辞退。C社のオファー回答期限まで一週間程度あったので、期限ぎりぎりまでwaitlistになっていたAmazonの繰り上がりを待つことにしました。

そしてオファー回答期限の日、相変わらずAmazonからは音沙汰なしだったので、その日の午前にwaitlist辞退のメールを送信。その後C社に対してOffer Acceptのメールをドラフトアップしていると、辞退したばかりのAmazonから返信があり、なんとインターンシップのオファーを言い渡されます(まさかの展開にパニック!)。C社に数日回答を待ってほしいと伝え、考えることにしたのですが、考えても考えても決めきれませんでした。最終的には妻に夏休みどこで過ごしたい?と聞き(Amazonはシアトル、C社はNYだった)、即答でシアトルだったので、これまで就職活動に付き合ってくれた妻の意向を尊重しなくてはと思いAmazonでインターンすることにしました。

④進路決定 (2022年5月-2023年1月)

さて、無事インターン先が決まったところで2022年5月にMBA 1年目が終了。夏休み中にB社東京オフィスとAmazon両方でインターンするために、1年目最後の試験が終わると翌日に帰国。数日だけ休んだ後、B社東京オフィスでのインターンシップを開始しました。実際にB社東京オフィスでインターンをしてみて、個人的にB社とはものすごくフィットを感じ、よりB社への想いを強める経験となりました。インターン後に正式に採用オファーも取得。そしてB社東京オフィスでのインターンシップを終えた翌日の便でシアトルへ飛び、1日休んだ後にすぐさまAmazonでの12週間のインターンシップを開始。とにかく採用オファーをもらうことだけに集中し、無事インターン最終日に採用オファーを取得することができました。

インターンが終わって9月にBerkeleyに戻るともう既にB社米国オフィスの採用プロセスが開始していました。早速B社東京オフィスでインターンしたときに得たネットワークを駆使しB社米国オフィスにアプローチ。10月頭にB社米国オフィスの最終選考を受けることが決まり、遂にあと一歩のところまで来ました。ここまですべて作戦通りだったのですが、ここで急に気持ちの糸が切れます。最終選考の準備をする気が全く起きず、授業に出席しても全く内容が入ってきませんでした。思えばMBA受験→退職→日本就活→MBA留学→インターン就活→インターン、とほとんど休まずに精神的に負荷のかかることを続けていたので、限界だったのかもしれません。そしてAmazonでインターンシップした経験から、中長期的なキャリアや家族のことを考えると、MBA卒業後はB社よりもAmazonに就職するほうが良いんじゃないかという気持ちが芽生えるようになりました(詳細長くなるので割愛)。悩んだ末、B社米国オフィスの最終選考及びB社東京オフィスからのオファーは辞退することにしました。

ただこのタイミングで急激にリセッションの波が押し寄せます。Amazonに限らずテック業界では採用凍結が始まり、そのうちレイオフも始まりました。更に採用オファーの取り消しもちらほら始まり、実際私と一緒にAmazonでインターンした同級生も何人かは採用オファーが取り消しになりました。

不安になった私は、Amazonのオファー回答期限まで数か月あったため、再度就職活動をすることにしました。ただこの時点で採用凍結はかなり進みコンサルやテック業界の募集はほとんどなかったため、スタートアップを見始めます。ちょうどE社という日系スタートアップが米国で人を募集していると聞いたので連絡を取ってみました。当時E社はインターンの採用はしていなかったのですが、先方にインターンとして雇ってほしいとお願いし、インターンとして雇ってもらうことに。ただ当時日中は授業があったので、授業の合間の時間を使ってインターンシップをさせてもらっていました。このE社でのインターンはすごく楽しかったです。そして数か月働いたのちにありがたいことに正社員となる話も浮上してきました。ただし、Amazonのオファー期限も迫っていたため、悩んだ末、オファー取り消しのリスクは残るもののAmazonのオファーを取ることにしました。MBA卒業後はせっかくなら外資で働いてみたい、というのが主な理由でした(ただE社の仕事は楽しかったので、結局その後も卒業間際までインターンとして働かせてもらいました)。そうしてようやく長くて辛かった就職活動も終了。その後幸いにも私のAmazonのポジションは採用取り消しになることなく、現在に至っています。

まとめ

最後に就職活動においてやって良かったなと思っていることを紹介します。

①レジュメの質にはこだわる - 私の書類通過率はクラスメイトの中でも高いほうでした。それは私のバックグラウンドというよりもレジュメの完成度の高さに起因するところが大きいと思っています。とにかくその道のプロの人たちに何度も何度も添削してもらうことを強くお勧めします。

②スタートダッシュする - 日本では渡米前に各企業の壮行会が開催されます。選考に進むか否かは個々の判断だとして、MBA生活が始るとすぐにどの業界を狙うのか決めなくてはいけないので、日本にいるうちから各企業の会社説明を聞いておくのはいいと思います。

③学校のキャリアセンターは使い倒す - どこのスクールにもキャリアセンターはあるかと思います。キャリアコーチの質はまちまちかもしれませんが、少なくとも外国人の我々よりは米国マーケットや就職活動について精通しているので、とことん使い倒しましょう。私はキャリアコーチとはレジュメの添削や面接対策で50回近く時間を取ってもらいました。

④投資銀行か戦略コンサル就活の流れに乗る - 前述の通り、サマーインターンの選考は投資銀行→戦略コンサル→事業会社の順番で行われていきます。投資銀行と戦略コンサルの選考を両立するのはほぼ不可能だと思いますが、投資銀行+事業会社or戦略コンサル+事業会社は両立可能です。仮に事業会社狙いだとしても、どちらかの選考フローにとりあえず乗ってみるのはありだと思います。とにかく日本の就活とは違う点が多いので、早い段階慣れておくのは大切だと感じました。

⑤面接中はアメリカ人になりきる - これは心構え的なところですが、自分の場合面接中の数時間だけはアメリカ人になりきることを意識するようにしていました。模擬面接してくれたキャリアコーチ曰く、私はそのつもりがなくても、面接官からすると私の言動から内気で謙虚な日本人感が出てしまっているらしいです。アメリカにおいて謙虚な姿勢は自信がないと捉われがちなので、私の場合は少し大げさなくらい自信あり気な姿勢で臨むと丁度良かったようです。

以上、超超超長くなってしまったのですが、私のMBA体験記です。おそらくここまで読んだ人は物凄く現地就職に興味のある方か、私のことを知っているひとでしょう。前者の方は、私の体験記が少しでも参考になれば幸いです。後者の方は、今度私に文章を短く纏めるコツを教えてくださいw

MBAからの米国就職関連で何かご質問があればいつでもLinkedInからご連絡ください。それでは!

https://www.linkedin.com/in/ryota-kubo/


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