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縦割り教育の恩恵を感じること

自分は小学3年生〜中学卒業まで、地元京都の少年サッカーチームに所属していた。単一小学校で編成されるチームではなく、いくつかの小中学校の児童と生徒が参加している地域のクラブチームという位置付けのチームだった。当時は小学1年生〜中学3年生まで約100〜120名くらいが所属していたと思う。チームでは毎年、中学2年生を「班長」とし、小学校1年生〜中学3年生までを振り分けた15名編成くらいの「班」が作られる。平日は学年ごとに横割りで編成されたチームで活動するのだが、土日の練習会や行事(合宿やハイキング)の際は縦割りで編成された「班」単位で1年間活動するというのがこのチームの特殊な慣例だった。班長となった中学2年生は土日の練習会で、小学1年生から中学3年生までが一緒に取り組める練習メニューを考え実行する。体格差や走力の差などもあり、特に少年期は年齢で細かくカテゴライズされるサッカーという競技ではなかなか難しいことに取り組むことになる。

しかし、このチームにおける班別活動は、サッカーが上手くなることだけが目的ではなく、年長者が年少者の面倒を見たり教えたり、年齢差を超えて子供たちが関わり合うことが一番の目的なのである。小学1年生から中学3年生にもなるとその年齢差は9歳にもなり、日本の義務教育の場面ではなかなか接することのない年齢差の仲間と時間を共に過ごすこととなる。自分も中学2年生時に班長を務めさせていただき、サッカーという活動を通して自分より年少者に目線を合わせて関わり合うことを学ばせていただいた。

社会に出てからは特に、世代を超えた縦の人間関係を構築することがいかに大切かということを肌で感じている。子供の頃から縦割り教育を受け、チームのお兄ちゃん達と自然に遊んでこれた自分は、大人になってからも社内外関係なく年長者に可愛がられるのが得意な方で、色んな先輩方に本当によく面倒を見てもらっている。もちろんとても感謝しているし、そのおかげで自分は何とか会社経営ができていると思う。そして、自分よりも若い人と仲良く接することも日頃から意識している。自分は今40歳手前ではあるけれど、自分よりも若い人達と話したり遊んだりする機会をできる限りたくさん設け、興味を持って話を聞こうとするからこそ、素直な若い感覚を知ることができる。だからこそ、若い仲間が増えて仕事や趣味の幅も拡がり、自分の感覚も若くいられるということを日々実感している。

年齢を重ねれば重ねるほどに若い人との距離ができてしまい、若い人の声に耳を傾けなくなるというのはよく聞く話だし、「まだまだ若いもんには負けん!」なんて言ってる年長者をたくさん見てきた。そういう人の周りには、ほぼ同世代の人間しか集まらず、価値観の幅がどんどん狭くなっていくばかりで不幸なことだなぁと感じてしまう。できれば自分はそうならず、年齢や性別に関係なく色んな人の価値観や考え方を自分の身体の中に混ぜ込むことで豊かさを感じていたいなぁと願う。

何も知らないうちに、縦割り教育を自分の身体に染み込ませてくれていたチーム「比叡少年蹴球団」には感謝しかない。あの「班別活動」がこんなところで自分に恩恵をもたらしてくれるとは当時は1ミリも想像していなかった。なんでも点と点は繋がっていて無駄なことなんてない。まさに「Connecting The Dots」をリアルに感じた自分のエピソード。


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