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人生をフルコースで深く味わうための

「頑張りたいと思う日もあれば、頑張りたくないと思う日もある」って言葉があるけれど、正直な話いつだって頑張りたくない。仕事は好きだし、現状には満足しているし、不満はなにひとつない。むしろ恵まれた環境に感謝している。でも、生活のためにお金を稼がなくていいのであれば、仕事は自分のタイミングで働いて、あとはゆるりと生きていくと思う。

真っ昼間から公園のベンチで小説を読んでいたいし、夜になったら缶チューハイを片手に河川敷を散歩していたい。気が向いたらたまに文章を書いたり、編集したりして、猫と一緒にのんびり暮らす。報酬がどうとか、納期がどうとか、そういったことで頭を悩ませたくない。

会社員時代は当たり前のように会社に出勤して、同僚や先輩、後輩と顔を合わせていたのに、リモートワークが当たり前になって、対面で人と話す機会が圧倒的に減った。仕事の会議では仕事以外の話はしないため、くだらない雑談をしたいと思う時間が増えたような気がする。世の中が便利になった反面、いいことだけではないんだなぁとしみじみ思う。

もしかしたら、寂しい気持ちが芽生えているのかもしれない。そんなときは、コンビニ店員さんとの会話すらもうれしくなる。向こうは仕事だから僕と会話しているだけなのに「また来てくださいね」という店員さんの言葉に、ついつい安堵してしまう。

コンビニから家に帰ろうとしているときに、悲しいニュースが目に入った。最近は悲しいニュースが多い。見たくなければ見なければいいのに、なぜか目に入ってくるから、心が辛くて仕方ない。なぜあの人がとか、動機すらもわからないのだけれど、悲しいニュースはどんなものでも悲しくなる。しかも、感情移入をしてしまうタイプだから厄介なのだ。何も感じなければいいのに、相手の気持ちを勝手に想像して、勝手に辛くなるなんて、哀れだと自分でもそう思う。

どれだけ努力しても、うまくいかないことはこの世にいくらでもある。夢は叶わないもののほうが多いし、成功者よりも涙を飲んだ人のほうが多い。その事実を知っているのに、多くの人が成功者になれると信じている。だからこそ、努力するし、負けそうになっても諦めずにいる。努力する人はかっこいいし、眩しくて仕方ない。その一方で、挫折を味わって、夢を諦める人もいるから、世界はときに残酷だと思う。

人には向き不向きがある。そして、成功には実力だけでなく、環境や運が作用する場合のほうが多い。「ファンタジスタ」という漫画に「二流の選手は環境の変化に対応できない。一流は、それに逆らわない。そして、超一流は、それを利用する」という台詞があった。まさにそうだと思った反面、超一流と呼ばれる人は少ないし、世の中のほとんどの人は環境に勝てないんだよと思う自分がいた。

選ばれしものになる可能性は極めて低いし、自分のなかの才能を発見できずに終わってしまう人もいる。なんて難しいことを一切考えないで生きていきたい。成功、失敗なんてどうでもいい。そんなことよりもくだらない話で盛り上がりたい。意識が高いとか低いとかどうでもいいし、成功したと世間から思われている人も、裏では涙を流しているのかもしれない。

僕はもっと人生を深く味わっていたいんだろうなと、20代後半になってから気づいた。でも、たまには競争社会を生きるのもいいと思っているから人間の感情って本当にめんどくさい。ときに全部を投げ出したいと思う日がある一方で、全部を諦めたくないと思う日がある。不器用な自分も、器用に生きようともがく自分もちゃんと認めてあげたいし、それが人生なんだよって言ってあげたくなる。

どうまとめたらいいかわからなくなってきた。結局、誰かのヒーローになりたいとずっと思っている。そういえば学生時代の友達が、最近家を買ったらしい。学生時代にずっとバカをやっていたあいつもとうとう大人になったんだ。あいつがもし父ちゃんになったらヒーローになってしまうのかな。そうなったらうれしいし、ちょっぴり寂しい。おれなんか30歳になってもまだ迷子だよ。このままフラフラして一生生きていくのかもしれない。まあ、それもいいか。人生は旅であるという言葉があるぐらいだし、迷子は迷子なりに試行錯誤しながら生きていくことにするよ。

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