【非デザイナーの方向け】コンサルからデザイン業界への越境エピソード
こんにちは、グッドパッチの酒井です。10年近く身を置いたコンサル業界を離れ、ご縁があり、今年5月からグッドパッチというデザイン会社にジョインしました!
自分で選んだ新天地ではあるものの、正直、自分がデザイン会社に入るとは想像していませんでした!
今回は、僭越ながら、なぜコンサルからデザイン業界に飛び込み、その中でもグッドパッチにジョインしたのか?私なりの越境エピソードについて、お話をさせていただきたいと思います。
まずは、私自身の自己紹介から。
新卒でアップルジャパンに入社し(当時は、まだiPhone3GS、初代iPadの時代)約3年在籍した後、第二新卒としてアクセンチュアに3年、直近のKPMGヘルスケアジャパンには6年程お世話になりました。コンサルタント時代は、いわゆる経営コンサルタントとして、事業戦略やデューディリジェンス、PMI、業務改革等、幅広いプロジェクトを担当し、10年近く様々なクライアントの変革 に関わるご支援をしてきました。
なぜデザイン業界に飛び込んだのか?
1. デザインが持つ力で世の中をワクワクさせたい
「自分自身もワクワクしていたいし、世の中をワクワクさせたい。もしかすると、その答えはデザインにあるんじゃないか?」と思ったことが動機の1つです。
まずはコンサル時代に感じていた課題感からお話すると、
コンサル時代、特に若手の頃は、自身の実力不足もあり、何度もハードな局面を体験しましたが、笑 仕事内容は刺激的で面白く、幸いにも10年近くこの仕事を続けることができ、全く後悔はありません。その一方、ある程度の知見と経験を持つコンサルタントが考えたアプローチや解は、一貫したロジックが通っており、きちんと定量化され、クライアントも腹落ちはしやすいものの、結論づけた解やソリューションが、事前に想定していた一定の枠の範疇に収斂してしまうということもあり、時折、少しモヤっとすることありました。
当然、毎回こうしたことが起きるわけではありませんし、やはり、しがらみやバイアスから解き放たれた第三者が、クライアントの社内の文脈を理解しつつも、「やはり、こうじゃないですか?」と理路整然と提案し、さらにその実行まで支援することは、非常に価値があると考えています(もし、毎回同じような内容の提案が続いていたら、コンサルタントはとっくに世の中から淘汰されているはずです!)。ちなみに、私が若手コンサル時代、優秀だと言われていたパートナー陣は、「最後は左脳じゃない、右脳だよ!」が言っていたことが印象に残っており、徐々にコンサルタントとして経験を積む中で、恥ずかしながら、ようやくこの言葉の意味が理解できるようになりました。
また、私自身は大事にしてきたつもりではありますが、「好き」「嫌い」「いけてる」「ださい」「よくわからんけど、何かいいじゃん」といったような「感情」「共感」「曖昧さ」「説明ができないもの」「数字に落ちないもの」といったものを、案件の中では、自分でも知らず知らずのうちに抑制、敬遠してきた部分もあったかと思います。
こうした漠然とした問題意識を抱えながら、山口周さんの「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」、IDEOのティム・ブラウンの「デザイン思考が世界を変える」、佐宗邦威さんの「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」、ロベルト・ベルガンティの「突破するデザイン」、楠木健さんの「好きと嫌いと経営」(この本はあまりデザイン関係ないですが、とても面白いのでおすすめです!)等のデザイン思考関連の本を手に取る機会があり、本当に少しずつですが、デザイン領域に触れていきました。本を読むだけでは、やや付け焼き刃感は否めず、本当に実践できていたかはさておき、笑 プロジェクトにおいても、いわゆるロジックや仮説ドリブン、定量化等のコンサル的な思考やアプローチに加え、何か従来とは違う新しい視点、発想、アプローチを自分の中で意識してきました。
また、定期的な壁打ちやピッチ作成支援といった陰ながらのサポートレベルですが、仕事の枠組みではない個人活動として、いくつかのシードスタートアップの支援を開始しました。
そこでは、コンサルがやるような外部環境分析やプランニングした上で、実行するというアプローチだけではなく、とりあえずやってみよう!ダメならピボットすればいい!(ピボットも死ぬほど大変なのは重々認識していますが、、)ぐらいの、ポジティブで柔軟な事業づくりの進め方についても勉強する機会を得ました。実際は、リーンスタートアップ的なアプローチだと思いますが、ユーザ起点でプロダクトやサービスを構想し、素早くMVPでリリースしてマーケットやユーザに問い、高速でアップデートしPMFを探っていく手法は、デザインアプローチに近いと勝手に解釈しました!笑
また、様々なハードシングスが起きる中でも、起業家はとてもワクワクしており、世の中を変えたいと思っている熱量の高い方が多く、大変刺激を受けました!ちなみに、自分自身を振り返ってみると、アップル時代は、自分自身もワクワクしたいし、世の中をワクワクさせたいという想いが強かったと思います。
こうした経験を通じ、もしかすると、デザインの力で、世の中をもっとワクワクさせることができるのではないか?と考えるようになりました。そして、このタイミングで、コンフォートゾーンから抜け出し、デザイン業界にチャレンジしても面白いんじゃないか?という思いに至りました(正直、コンサル時代は、快適とまで言える余裕がない時も多かったですが、笑)
2. デザイン会社ならクライアントのクライアントであるユーザにまでインパクトを与えられる
デザイン会社は、クライアントである企業だけではなく、クライアントのクライアントであるユーザに対してもインパクトを与えることができること。(やや言い過ぎかも知れませんが、)①企業、②事業、③プロダクト・サービス、④ユーザの四身一体でみることができる点に、その可能性と魅力を感じたことが2つ目の動機です。
コンサルファームのクライアントは、いわゆる大企業で、マネジメントに近い方々がカウンターになるケースが大半です。案件の中で、経営や事業レイヤーでどのような課題を抱えているのか?その分析や特定を行い、徐々に解像度を上げていきながら、課題に対するソリューションを提示し、場合によってはその実行まで支援する形となります。当たり前ですが、クライアントは依頼元の企業となります。
デザイン会社の場合も、当然、コンサルと同様、クライアントは依頼元の企業となります。また、企業の経営や事業レイヤーにおける方針や方向性、文脈を理解した上で、課題の探索や特定を始めながら、それに対するソリューションを提供するという意味では、コンサルファームと似ている部分もあります。
Source:デザインプロセス/グッドパッチ
ただし、デザイン会社の場合、ユーザを起点としたアプローチを取ることが多く、まずは、ユーザが抱えている課題は何か?どのようなアンメットニーズが存在するのか?ユーザはどういった価値に基づき行動をとっているのか?等、ユーザに対する洞察や分析を徹底的に行います。そして、そこからソリューションの着想を得て、アイディエーションを行い、コアとなるユーザ体験や価値を定義た上で、早期にプロトタイプをつくり、適宜ユーザにあてるサイクルを繰り返しながら、実際のプロダクトやサービスのソリューションまで落とし込んでいくアプローチを取ります。
つまり、デザイン会社は、よりユーザを起点としたソリューションで、クライアントのクライアントであるユーザの課題を解決し、さらにはクライアントの課題も解決することを企図しています。
また、私個人としても、コンサルティングファームのアプローチとデザインアプローチをうまく融合させることができれば、企業、そしてユーザ、さらには社会に対してバリュー、良いインパクトを出すことができるのはではないか?という想いを強く持っています。
(注記:昨今、コンサルティングファームもデザイン会社の買収や、デザイナーをはじめとした多様なバックグラウンドの方の採用を強化しており、コンサルティングファームが必ずしもこうしたアプローチを取っていない/取れないわけではない点、ご留意ください。)
3. グッドパッチのビジョン・ミッションへの共感
こうした中、グッドパッチの掲げるビジョン、ミッションに共感し、さらに代表の土屋(noteはこちら)や社員の方と話をする機会を得ました。そして、徐々にデザインのバックグラウンドではない自分がデザイン会社で働くことに対する解像度と腹落ち感が増してきました。
グッドパッチの掲げるビジョン、ミッションはこちら。
特に、さらりと書かれていますが、「私たちはビジネスの本質的価値を最大化するため、日々デザインに向き合っています」の部分は、個人的に共感するところが大きかったです!
ちなみに、私は、ビジョンとミッションのどちらにより共感したかと言いますと、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンの方でした!実は、異業種からきた中途や新卒メンバーはこのビジョンを選ぶことが多く、デザイナーなど同業種から来たメンバーは、ミッションを選ぶ傾向が多いようです(なぜなら、多くのデザイナーは、現状デザインの力を十分に証明できているとは思っておらず、まだデザインが秘めている力はこんなもんじゃないと思っているため)。
また、ビジョンとミッションの共感に加え、想定以上にグッドパッチがクライアントに提供している価値やサービス範囲が広かった点、さらに、昨年IPOを果たし、今年10周年(ムービーはこちら)を迎え、第二の創業として新たなフェーズを迎えるタイミングで、ジョインすることの面白さとやりがいを感じて、入社を決めました!
Source:デザインの5段階モデル(James Garrett氏の考案の5段階モデル概念の再構築。詳細はこちら)/グッドパッチ
さいごに
いかがでしたでしょうか?これまでデザインとあまり接点がなかったものの、新たにデザイン業界に飛び込み、越境された方も多くいらっしゃるかと思います。
ただ、私自身もそうでしたが、笑 特にビジネスバックグラウンドの方は、デザイン業界は自分とあまり縁がない、遠い世界の話と思っていらっしゃる方も多いと思います。
次回は、そうした方、特にコンサルタントや、大企業で経営企画やマーケティング、事業開発等を担当されている方向けに、デザイン会社でも活用可能なケイパビリティやスキル、マインドセット含めて新たに習得すべきポイント等についてご紹介したいと思います!
ちなみに、Meetyで雑談会をはじめましたので、業界やバックグラウンド、中途、新卒問わず、少しでもデザイン領域にご関心がありましたら、気軽にお問い合わせください!
酒井のMeetyはこちらから
異業種からもたくさん優秀な方がデザイン業界に入りこんで、業界全体を面白く、さらに大きくしていけたらと思います!