第1章 地上探索編|Ground search   『7 光の勇者』

「おぉ~、光の国とは大違いだね……」金髪を肩まで伸ばした少女がディスラクシェント城の入り口の前で下の独立国を眺めていた。

 彼女は光の国名門学院を主席で卒業したお嬢様であり、頭もいいと皆は思っているが少なくとも二人は少女の真実を知っている。

 光の神から授かった聖剣の一種でオプロ系転生神器の一つ《純龍聖剣(じゅんりゅうせいけん)ドラゴンスレイヴ》を使用する光の勇者であり、神器の属性は無論、光である。

 神器とは、神が創りし武器である。

 全ての神器は細かく合計6つに分けられる。

 
 まずは創造神器と転生神器。

 この二つの違うは元として物体であるか生命の違いである。有名物であれば、風属性の中で最強の神器は槍の《翠槍シズゼリア》という領域名を取り風の神が創造した武器だ。

 創造神器は属性に非常に特化しているが、それを上回るのは転生神器である。

 生命を元に創られているのでその元の主を召喚し強力な攻撃を繰り出すことも可能であるが属性の中で最強と呼べるのは創造神器であり、オプロ系である。

 神器は使用者を選ぶが、永久をさまよう神器もいる。

 今では氷結の大陸と呼ばれている大陸はかつては巨大な王国だった。


 だが突如天から浮遊してきた水属性の中で最強の神器によって大陸全体が一瞬にして氷に閉ざされたのだ。

 神々は最古の魔王第二位の仕業と思ったが、調査に出向くとその神器に使用者はいないことが判明し、今では最古の魔王第二位を封印している強力な力として今でも凍てつく、大陸の中心に突き刺さっている。

 全ての神器はまず創造と転生に分けられ、それから三つに分けられる。

 オプロ系かアイギス系かオノマ系か……。

 
 その三つは系統の違いだけだが決してオプロだけが強いとは限らない。

 オプロとは武器、アイギスとは防具、その名の通り神器同士の戦いなら最強の防御であり、使用者に身体能力を上げる魔法など付与できるものもあるが、数が少ないとされる。

 オノマは言葉、これはオプロとアイギスとあわせたものであるが時に攻撃、時に硬い防御……だがそれを使いこなせるものでなければ意味がなく、これも数が圧倒的に少ないとされる。

 「あぁ、文化の技術も全く異なるこの国はさすが最強の神と最強の種族の国ってとこかしら……」黒髪ロングの女性はそう金髪の少女に乗っかった。

 この女性も勇者の一人で弓使いで百発百中の腕前を持つ。

 オプロ系創造神器《光氷弓(こうひょうきゅう)アイシィレイ》で広範囲に属性光と氷を広がらせる火力もそこそこだ。

「さすがだな……」少年はそう呟いた。光の勇者はかつて漆黒の魔法使いとともに大魔王を倒したとされる神以外での魔王を討伐したとされる三人の勇者の子供たちである。

 黒髪の少年、ソージ・アルト・レスティアルはソピアと同じく神器《純龍聖剣(じゅんりゅうせいけん)ドラゴンスレイヴ》を装備している。

 同じ神器は存在しないが二つで一つという珍しい転生神器である。

 そして金髪の少女が妹のソピア・アルト・レスティアルと茶髪ロングの女性で弓使いもサリア・ヒート・レヴォルアントの三人が今代の勇者である。


 そして城の扉が開き、リツリが勇者たちを出迎えた。

「最高位配下”最破”が一人右翼の陸リツリ・リファースト、我が神とこの城内使用人を統括する者でございます。どうぞお見知りおきを……」

「あぁ……」使用人などとの関わりがあまりないソージ達は反応に困った。

「では、最破達が集まっておりますのでその地まで転送します……」と言い、リツリは自分とソージ達の下に魔法陣を展開した。


 そして第五の地の扉が開き、リツリとソージ達が入った。

「ほう……光の勇者の使命は何だ……」とジュウロウは聞いた。

 唐突だが勇者と言ったら誰もが知る答えだ。

「大魔王を倒すことです……」長年に渡り、人間の勇者は世界を蝕む存在の魔王を倒すことのみなのだ。

「我々は我が神、破壊神の最高位幹部の”最破”である。まずは我々が立てた計画について話そう……」最破達は破壊神レイムより真実という存在に気付き、計画を立てていた。

 世界全てを見えきた者達……。

 奇跡的に真実の光景を目に焼き付けた者達が行動を始めようとしている……。


「我々の目的はこの世界の真実を知ること……神々が世界を知っていると思っているようだが神でも真実を知る者はいない……わかりやすく話せば君達はレイム様とともに大魔王を倒してほしい……可能なら戦力に加えたい……恐らくだが最古の魔王達は気付いているはずだ。この先どうなるかはレイム様にかかっている……」ジュウロウはざっくりとその後も計画について話した。

 最初の段階では最破達が動き、俺達を最破に加えると言った。
 

 だがそれは試練を乗り越えてからだと、そしてレイムにはこの計画については内密だと言った。

 今の段階だと薄いものだが彼らの目には偽りなどなかった。

「お前たちは世界の果てを目にするだろう……」と先代の勇者に言われた。


 そんなこと言われて、何か糸があることは分かる。俺達はここに来たことも運命だと言うのなら……。

「わかりました!やらせてもらいます!」ソージは覚悟を決めた。

「はい!ソピアも!」

「私もやり遂げて見せます!」ソージ達は最破達の前に決意を見せ、最破達も頷き安心の表情を見せた。

「では、試練と言うかお前たちの力を見せてもらおう……相手は私だ。さぁ、始めようか……」


 その瞬間、最破とソージ達は床に展開した転移魔法に包まれた。

 再び視界が戻るとそこは闘技場だった。広い戦闘フィールドの砂の大地……フィールドの周りには石材で造った階段が円状に広がっている。

「ここは……」

「ここは、第七の地【破壊の闘技場】……左翼の壱ビー・リゼドルが管理する地だ……」最破達には管理する地があり、もし侵入された場合に第一から頂上までに侵入者を食い止めることになっている。

 この地は破壊の力の一つである”破壊の影”をベースに造り上げている。

 破壊神の固有の能力を加護を受けている者達も望めば行使でき、その中でも空間系の能力として”破壊の影”という望んだ空間を創造できるのだ。

 
 そして戦闘フィールドにいるのは、ジュウロウとソージ達だけだ。

「さぁ、剣を抜け……お前達の力、見せて見よ!」

「あぁ、やってやる!」ソージとソピアは龍の鞘、柄を握り剣を抜き、純白な刀身が姿を現し、サリアは黄金と蒼の装飾された弓を構えた。

「では、行くぞ……私に一回でも攻撃を与えられたらそこで終了だ……」鞘も柄も木材の古そうな刀を抜き、構えた。
 
 その瞬間、殺気と言うかわからない何ががフィールドに漂い、背筋が凍った。石階段に座る最破達の中から犬のぬいぐるみが立ち上がった。

「では……戦闘、開始ッ――!!!」

 この瞬間、光の勇者たちと”最破”第一位『能力最強』のジュウロウ・ハリアートとの試練の戦いが始まった。




~コメント~

 光の神から光の勇者、そこもわけが……受け入れるための最強の相手との戦闘が始まる。