見出し画像

いい1on1は、世界が喜んでる

今日最後の1on1ミーティングは、とてもいい1on1でした。
大きな変化の瞬間(正確には、それに気づいた瞬間)に立ち会えた気がしました。

いい1on1というのは聴き手の勝手な"手応え"で測るのではなく、話し手が何を得たかで測るべきだと思っています。その点において、当該の1on1は彼女自身が、1年前と比較した際の大きな変化を感じられたいい1on1だったのではないかと思います。


今日起きたことは"貪欲さ"、あるいは"希望"みたいな言葉で語ることができるのだと思います。

これまでしょうがないと思っていたこと、それは不安や制限、自分を縛る何かを、これまではそこに抵抗を感じていなかったと彼女は語りました。でも今、大切にしたいことを手に入れた(ことを自覚した)今、それらにその縛りを初めて"犠牲"だと捉えるようになったと語りました。


別の高校生(当時)が1on1で、良い教育とは「見えない鎖をとること」だと言っていました。"バイアス"とも言い換えられるのかもしれません。今回の"縛り"の話とも通ずる気がしました。家庭、地域、学校、あらゆるサービス、社会での様々な繋がりの中で、人は知らずのうちに"見えない鎖"によって、内発的な何かを抑制しているのかもしれません。

"内発性"の解放は、反社会的なことなのでしょうか。そうとは言い切れないはずです。単純作業ではない複雑な課題は外発的な動機づけ(賞罰)ではなく、内発的な動機づけによって取り組むことで解決されるという研究もありました。

"(知識労働者のパフォーマンスを決定づける重要な要因とは)外因的なプレシャーや金銭的報酬ではなく、興味や楽しさ、満足感、仕事のやりがいなどの内因的なモチベーションとパフォーマンスとの相関関係が見出され、そのモチベーションが高いほど創造的に働く傾向があり、生産性、仕事の意欲、チームワークへの貢献において高いパフォーマンスを示された。"

テレサ・アマビール(ハーバード・ビジネス・スクール名誉教授)
『組織の創造性を高めるマネジメントとは何か』森本博行、Harvard Business Review(2019.2.9)


この"縛り"からの解放が、"内発性"の萌芽が人間の知識労働者のパフォーマンスを向上させるのだとしたら、ビジネスでも社会課題でももはや複雑な課題しか残されていない現代においては、それは世界のどこかで誰かが喜ぶことになるんじゃないかと妄想を膨らませてしまいました。世界は誰かの内発的な動機を待っているのだとしたら、それに気づく1on1は価値があるのではないかと思いました。


選択の良し悪しなんてないと信じています。何を望むかは本人しか決められないと信じています。でももし何か"内発的"な選択をするのであれば、その力になれなくてどうすると強く思いました。それほどにこの新たに生まれた"貪欲さ"というか"希望"というかの芽生えは、あまりに魅力的でした。"自発性"という言葉ではありますが、フロムの言葉を思い出しました。

"じっさい、子どもにせよ芸術家にせよ、あるいはこのような年齢や職業で分類することのできないひとびとにせよ、かれらの自発性ほど、魅惑的説得的なものはない。"

エーリッヒ・フロム(社会心理学者)
『自由からの逃走』日高六郎訳、東京創元社(1952.1.1)


私たちは自由で、自発的な、ひとりひとりの独自の多様な価値観とその表現に魅了されているのです。その原点に触れた夜でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?