見出し画像

いつかすべての高校生・大学生に。始まりの話、その5。情報化社会の弊害。

高校生、大学生を前にしてまず思うのは、学校がとても忙しいということです。そもそも課題や宿題の量が多く、大学生ならば取らなくてはいけない授業もとても多い。とにかく学校が忙しくて、自分の自由にできる時間が極端に減っている気がします。

タスク管理やスケジュール管理といった社会人1年目が抱えるような悩みを、高校生が自分の課題としてあげていて、その課題を管理できるツールや、スケジュールの決め方の話をすると、喜ぶ学生がすごく多いんです。

加えて、YouTube、Instagramの威力は尋常ではなくて。スクリーンタイムをかけたり、さらに友達にパスワードをかけてもらって1日15分しか見られないようにするなどしながらも、依存している人は多いです。つい見てしまう。身始めると止まらない。彼らはなにかに時間を奪われていると、まさにミヒャエル・エンデの『モモ』を思い出しました。


選択肢と迷いを、情報化社会は生んでいる

いまは流れてくる情報の量が、われわれが学生のときとは違って本当に多く、友達のことも、世界のことも、日々のニュースや情報がSNSを中心に大量に流れてきます。

好奇心には2つ種類があって、まずは、ひとつのことを掘り下げていく好奇心。そして、いろいろなことに興味を持つ好奇心。いまの時代は後者の好奇心があまりに刺激されやすく、どんどん刺激されないとすぐに飽きてしまうようになっていることは、ドラマや映画の場面転換の速さからも読み解くことができます。

それによって興味関心が分散してしまい、一度やったことを振り返ることなく、次のおもしろそうなこと、次の興味のあることへどんどんと移っていって、端的に言えば少しずつかいつまんでいるだけになることが多いとも感じています。
いろいろなことに興味を持つこと、やってみることはいい経験になりますが、とにかく興味が拡散して、もうひとつの好奇心、ひとつのことを掘り下げて行く好奇心を持つことのないままとなっています。
その結果として、結局自分が本当にやりたいのことが何なのかわからなくなってしまう。選択肢と同時に大いなる迷いと悩みを、この情報化社会は生んでいる。情報化社会にはいい面もあれば、悪い面もあるのです。
 


また、高校生にありがちなのは、興味のあることも大学に進んでから始める前提にあることです。

いまは学外学内問わず、セミナー、ワークショップ、ビジネスコンテスト、ハッカソン、ボランティア、サマースクール、プログラミングなど、学生が参加できる機会(opportunity)はとにかくたくさんあります。大学に入らないとできないと自分で思い込んでいるだけで、心理学部に行きたいのなら心理学について学ぶ機会、マーケティング部に行きたいのならマーケティングについて学ぶ機会は、探せばいくらでもあります。

大学に入ってから転部することもできるけど、それはとても大変です。そういうアイデアが生まれても、おそらくそのハードル故に、実施されないでしょう。

それが本当にやりたいかどうか確かめずに進路にしてしまう前に、やりたいと思っていることがあるのであれば、いまできることを探していってほしいと思っています。


(続く)

※これは、高校生・大学生のパーソナルメンター「1on1 college」がどうやって生まれたか、インタビューしてもらった内容を文字におこしたものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?