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親は突然、居なくなるということを学んだ日

毎年夏になると、死んだ母親のことをたまに思い出す。

母親が亡くなってからもう3年近く経つけど、あっという間に時間って過ぎていくんだなと。

3年も月日が過ぎると、誰にとっても色々なことが変わってたりする、勿論変わらないこともあるけどさ。

例えば、コロナウイルスが世界で蔓延するなんてことは、母親が死んだあとに起こった大きな世界の変化だった。

変わらないことと言えば、母親が死ぬ前から付き合ってる人と、自分は相変わらず今も一緒にいたりする。

ビジネスや自己啓発の世界では、変わっていくことに価値があるって言われがちだけど、

変わらないものに価値をおく世界の方が、俺は自分にあってる気がする、最近はね。

まあ、それはいいとして、俺が最後に母親とコミュニケーションをとったのは、母親が倒れた日の朝のLINEだった。

当時、俺は夏休みをとって彼女とヨーロッパ旅行を計画してて、その件でちょっと母親に聞きたいことがあったんでLINEでメッセージ送った。

それで朝になって母親からのLINEの返信を読んだのだが、特に速攻で返信することでもなかったので既読スルーして仕事してたんだよね。

そしたら、午後になって父親が騒ぎだして、「ママが倒れたって」と俺の部屋に飛んできた。

母親は、介護施設で働いてたんだけど、喫煙所で泡を吹いて倒れてるところを同僚に発見されたらしくて、

俺らのところに電話を寄越してきた時点では、既に心肺停止で救急車で運ばれたらしい。

どのくらい前から喫煙所で倒れてたかは定かではないが、もっと早く見つかってれば助かってたのかは分からない。

ちなみに病名はくも膜下出血、元気にバリバリ働ける人間の命を奪う恐ろしい病気だ。

そのうち今度は母親の弟から電話がかかってきて、一応生きてるけど重篤だという話を聞いて、

俺はもうその時点で、自分でも驚くほど冷めた感情で「もうダメかもな」と父親に呟いたことを覚えている。

とはいえ、俺と父親はすぐに車で母親が入院してる病院に向かって、親戚とかもすでに集まってて、

お医者さんの話では、心(しん)の臓(ぞう)は動いてるのに全く目を覚さないので脳を見てみたら出血があったということで、

すごい箇所まで脳が損傷してるから、多分もう目を覚まさないだろうし、

仮に目を覚ましたり意識的なものが戻っても植物人間になる可能性が大半なので、

だから、今後、母親に対して、どこまでの延命を施すのか、ある程度考えてほしいということだった。

ちなみにだけども、意識ない状態での脳の切開の手術は危険なのですることが出来ないと言われて、

大学病院で全力で延命治療に取り組むと、一日で数十万円もかかること、あるらしいって聞いて、

そんな金額は支払えねな…と半分くらい絶望したりもしました。

だからある意味、なすすべなしで、奇跡でも祈るしかない状態だった。

正直な話、俺は完全にもう、この時点でバッサリ諦めたので、このまま多量の管に繋がれて無駄に延命するよもさ、

早めに死なせてあげた方がお互い楽だろうと提案したんだけど(俺はそういう人間だ)

父親はもうろうとした感じで判断を決めかねていたな。

それで、そういう話を小さな待合室みたいな場所で医者を交えて相談してたら、

話しをしてくれた内科のお医者さんが、一瞬泣きそうになってくれて、少し驚いた。

こういう患者も、こういうシチュエーションも珍しくもないだろうに、

赤の他人のために涙を流せる人ってすごいって、関係ないけど思った。

それで結局のところは、母親は目を覚まさないまま、一週間もしないで死んでしまいました。

生前、母親はよく「コロッと逝くのが良いよ」って言ってて、彼女は自分の言葉通り、

家族に迷惑をかけないように、天国へ行ったんだと思う。

俺は過去の自分の行いを振り返ってみると、母親に対して、親孝行出来たかなと思い出すと、あんまり出来てないよなあってやっぱり思う。

俺の父親は、俺がまだ子供の頃に、ばあちゃんを連れて色んなところに行ってたけど、

俺は母親をつれて旅行とか一回も連れてったことなかった。

俺は元々、旅行とかは一人旅が好きな方だし、

うちの母親は、「旅行とか行きたい?」とか聞くと「現金が欲しい」とか答えたりする人だから、

その言葉通りに、俺はほとんど金ばっかりしか母親にあげてなかったような気がする。

そっちで満足してくれるなら、そっちの方が俺だって時間取られなくて楽だしさって感じで。

でもしかし、実は温泉とか本当は連れていったら喜んだかなと考えると、後悔先に立たずって感じですよね。

親はいつまでもいると思うなって言葉があるけど、本当にその通りだと思うんで、

このコラムを読んで少しでも何かを感じた人は、是非、世界に一人しか存在しない親のために、なにかしてあげればいいとおもう。

とかいって、俺は今、生きてる自分の父親には大したことできてないんだけどね。

こういうのって、失うまで気がつけない人も結構いるよね。

いじょうです。

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https://kyokan.fun/2021/07/19/about-my-mother/


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