【FT要約】「プーチンが私の主張を証明している。それが何であろうと」by Robert Shrimsley
Putin proves my point. Whatever it is | FT Magazine
Financial TimesのRobert Shrimsley氏(以前は英政治担当の筆頭記者、FT電子版編集長)の論評が興味深かったので、要点を紹介します。ちなみに、FTはイギリスの新聞です。
不必要なNATO拡大がロシアを敵に回し今回の事態を招いた。ロシアはエストニア・モルドバ・スロベキアからの侵略を恐れている。熊を突っつくからこうなったのだ
西側はぜい肉でぶよぶよになり自己満足に陥っている。トランプは正しかった。西側は自由放任主義で、プーチンが正しく判断している通り、自国を守る意志がない。誰もが知ってるように熊に弱みを見せてはいけない
自国の安全なエネルギー供給の構築(クリーンエネルギーと原子力)に失敗しガスに依存するようになった。化石燃料は熊から買うものではない
熊(ロシア)はブレグジット(Brexit)が好き。それは西側を分裂させることになるからだ。イギリスはEUから距離を置き、アメリカのそばにいることができる。EU諸国は自らが卑屈で(supine=あお向け)弱く、そして分裂していることを示している
英国はロンドンを"Dirty Russian Money"の世界的な首都にしてしまった。従って他国を説教する立場にはなく、それが英国自身の経済政策を束縛してしまっている
コロナに対する我々の臆病な反応は、もはや我々が逆境に耐えられないことを示している。プーチンが勇敢にも人々に会ってる間(長いテーブルを使って)、我々はびくびくしながらワクチンを接種し、死者の数を抑えようとしていたのだ
上記の"Dirty Russian Money"の話を少し補足します。
ソ連崩壊後、旧ソ連のエリート達が、莫大な財産を使い、投資し、資金洗浄をすることに対して、ロンドン金融街(The City)は手を貸したそうです。そして、ソ連邦崩壊と時を同じくして、1990年代にロンドンの金融セクターは発展を遂げます。
エリツィン政権時代に政治と癒着していた財閥(オリガルヒ)が、プーチン政権に変わったことにより以前のような癒着が容認されず打撃を受けることになりますが、これによりロンドンに逃げた財閥家族やロンドンにも拠点を設けた財閥もいると思います。
イギリスで2008年に導入されたゴールデンビザの制度では、EU国民以外の富裕層(ロシア人とか)がロンドンで生活し消費することができ、7~8年後に市民権を申請すれば献金もできるようになります。これにより、主に保守党に対して大きなお金が流れたというOpen Democracyの調査もあります。
【龍成メモ】
Netflix令嬢アンナの真実の主人公アンナも、小さい時に家族と一緒にロシアからドイツに移住しています。
このドラマを見ていると随所に「ドイツ」「ロシア」「トルコ」「スイス」など国名が出てきて、それが特別な意味を持って登場しますが、日本語字幕の時はそれが(直接の意味としては)訳されないことが多く、面白かったですし、気になりました。
それについても時間があったらnoteにしたいと思っています。
#オリガルヒ #EU #ウクライナ #プーチン #ゴールデンビザ #ロンドン #ロンドン金融街 #ウクライナ危機 #令嬢アンナの真実
表紙はSteppinstarsさんの写真です。
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