自らが起こした戦争によって人口減少に見舞われるロシア
Ukraine war threatens to deepen Russia’s demographic crisis | FT
FTの記事では戦争による頭脳流出と経済危機により、今後数年に渡りロシアの出生率が低下するだろうと予測しています。
深刻な頭脳流出
ロシアからの技術者の流出については「制裁下のロシア企業、カザフスタンへの移転を検討」や「アルメニアに逃れるロシア人やロシア企業」というnoteを以前に書きましたが、2月下旬の戦争勃発以来の4週間で5万から7万人の技術者たちが国外に流出したと、業界団体のトップは見積もっています。
さらに4月には7万人から10万人が国を去ると見ているそうです。
イスラエルはロシアからの移民受け入れにも積極的
IT化を加速させたいカザフスタンはロシア人技術者の受け入れに非常に積極的ですが、イスラエルもロシア人の移民受け入れに積極的です。
イスラエルはウクライナだけでなくロシアからの技術者(難民)を受け入れるために、「グリーンルート」と呼ばれる高速で難民申請を承認する仕組みを設けました。
「ロシア人に国外に行き場がない」という状況であれば、ロシアを出たくても出れないという状況に陥りますが、現状は逆で、ロシア人技術者を欲してる国が多数ある状況です。
イスラエルでは特にロボット工学、航空工学、ナノテクノロジーの技術者をターゲットにしているようです。
今後の所得減少による出生率減
経済学者の分析によると、ロシアでは今後、所得が12〜15パーセント減少するのではないかという懸念があります。
FTの記事に「合計特殊出生率(平均的な女性が産む子供の数)は、所得の低下により、今後1、2年で10%低下する可能性があります」という予測がありました。
コロナウイルスによる超過死亡がロシアにおいては100万人を超えるという推計もある中で、今回の戦争がさらに人口減少に拍車をかけそうです。
【龍成メモ】
かつての名門企業が凋落した際に人材の草刈り場になりますが、ロシアも同じような状態にあり、またそれを「難民」という建前で行うあたりが、大人同士の戦いは怖い…と思いました。