若いマウスの血液注入により、老齢マウスの脳が若返り、記憶力も向上

Older mouse brains rejuvenated by protein found in young blood というnatureの論文ニュースより。論文自体もnature誌に掲載されています。

若いマウスの血液注入が若返りに効くことはわかっていた

若いマウスの血液が年老いたマウスの学習能力を回復させることはすでに知られているところです。

今回の研究では、この若返りの原因となる血液成分の特定に成功しました。

血液中のPF4が若返りの鍵を握っていた

若いマウスの血液中には血小板第4因子（PF4）の濃度が老齢マウスよりも高いという事実があります。

研究者らは血液中の他の成分を加えずに、この血小板第4因子（PF4）だけを老齢マウスに注射しました。

その結果、様々な種類の免疫細胞の比率が、若いマウスに見られるような比率に変化、そして一部の免疫細胞では、遺伝子の発現パターンが若々しい状態に戻りました。

PF4で脳が若返り、学習能力・記憶力も向上

老齢マウスに特徴的な神経炎症、特に海馬における神経炎症を低下させることもわかりました。そして、シナプス可塑性（神経が変化できる能力）を促進する分子のレベルが上昇していました。

また、PF4を注射した老齢マウスは、迷路の中（水の中に足場があるプール）を泳がされたときに、どこの水中に足場があるかを記憶するテストで、老化した対照マウス（＝PF4未投与）よりも学習能力（記憶力）が優れていました。

この他にも物体認識記憶・空間的作業記憶・恐怖記憶において、老齢の対照マウスも優れていることが示唆される結果が得られました。

血中に存在する物質が脳に到達するには、脳の門番とも言える血液脳関門（BBB）を通過する必要があります。しかし、PF4は血液脳関門を通過できませんでした。

従ってPF4単体ではなく、PF4を含めたメカニズムが免疫細胞や海馬などに影響を与え、若返りに寄与していると考えられます。

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